現地時間12日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第2戦。レアル・マドリード対チェルシー(第1戦のスコアは…
現地時間12日に行なわれたチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第2戦。レアル・マドリード対チェルシー(第1戦のスコアは3-1)、バイエルン・ミュンヘン対ビジャレアル(同0-1)は、いずれも大接戦となった。
レアル・マドリード対チェルシーは残り10分まで、チェルシーが0-3(通算スコア3-4)でリードする展開だった。だが、そこで生まれたのが、ルカ・モドリッチのスーパーパスだった。
右サイドでチェルシーMFエンゴロ・カンテの縦パスをダビド・アラバがカット。マルセロ経由でボールを受けたモドリッチは、その右足のつま先とアウトの間を使い、バックスピンの効いたスライス系の浮き球を、ロドリゴの鼻先に送球した。通算スコアを4-4とする同点ゴールが生まれたのは、その次の瞬間だった。
試合は延長へ突入。その延長前半6分。光ったのは成長著しい左ウイング、ヴィニシウス・ジュニオールだった。中盤でボールをカットしたエドゥアルド・カマビンガからパスを受けると、深い位置に進出。ゴールライン際からカリム・ベンゼマの頭に狙いを定め、浮き球を折り返した。ベンゼマの今大会12ゴール目となる拝むようなヘディングシュートが、通算スコアを5-4とする再逆転弾となった。
持ち前の体力、馬力、スピードを武器に、立ち上がりからいい調子で試合を進めたチェルシーが、交代カードを切るたびに戦力ダウンしていったのに対し、レアル・マドリードは逆に、交代カードを切るごとにペースを回復させていった。
レアル・マドリードは2シーズン連続のベスト4進出。昨季そこでチェルシーに敗れた借りを、この準々決勝で返した格好だ。昨季の敗戦以降、戦力が特段アップしたとは言えないが、ヴィニシウスがスター級に成長し、ベンゼマと2枚看板になっている点が大きい。4シーズン前に退団したクリスティアーノ・ロナウドの抜けた穴がようやく埋まったという印象だ。

バイエルンを下して歓喜に沸くビジャレアルの選手たち
レアル・マドリードとチェルシーは下馬評で拮抗していた。試合内容も、試合結果もブックメーカーの予想どおりと言う感じだったが、バイエルンとビジャレアルの関係はそうではなかった。
バイエルンの「弱点」とは
バイエルンがマンチェスター・シティ、リバプールとともに優勝候補に挙げられていたのに対し、ビジャレアルは準々決勝に残った8チームの中では最弱チームと見られていた。約150万人対5万人とは、ミュンヘン市とビジャレアル市の人口比較だが、ビジャレアルの勝利を予想した人も、それぐらいの関係だったのではないか。
ビジャレアルが第1戦のホーム戦を1-0でものにしても、バイエルン有利は動かなかった。後半7分、ビジャレアルMFダニエル・パレホのミスパスから、ロベルト・レバンドフスキが今大会通算13ゴール目となるシュートをゴール右隅に流し込むと、勝負あったかのムードになった。バイエルンの逆転ゴールは時間の問題かに見えた。
バイエルンは4-4-2の布陣を引き気味にして構えるビジャレアルの戦い方を予想したのか、第1戦の4-2-3-1から3-4-2-1的な布陣に変更して臨んできた。サイドアタッカーが両サイド各1枚でも、サイドで優位に立てると踏んだのだろう。実際には3-4-2-1というより3-2-4-1に近い形で対峙できるだろうと。
前半はそれが甘い願望に終わっていた。キングスレイ・コマン(左)とレロイ・サネ(右)の両ウイングバックは、深い位置に侵入することができず、クロスの大半をプラスの角度から送り込んでいた。それが後半に入るや一転、症状は改善されていく。マイナスの折り返しは増えていった。押し込むバイエルン。ひたすら守るビジャレアルという構図は、時間の経過とともに鮮明になっていった。ビジャレアルは、ジェラール・モレノ、アルノー・ダンジュマの2トップに生きたボールが供給できなくなっていた。
ところが、バイエルンはあと1点を奪うことができない。このままいけば延長戦。焦って攻めれば、失点する可能性もゼロではない。焦らずじっくり料理しようという狙いもあったのかもしれないが、攻めあぐみという見方もできた。ビジャレアルの面々と比較すると鮮明になるのだが、バイエルンにはラテン系の選手がいない。強いて挙げればサネがそれに該当するが、全体のリズムはともすると単調になりやすい。チアゴ・アルカンタラ(現リバプール)がいなくなった穴が大きいと見る。
日本人をも勇気づける勝利
W杯で日本と対戦するドイツ代表にも同じことが言える。ビジャレアル戦のバイエルンを見ていると、ドイツ戦に必要となる要素が見えてくる。さしずめ後半43分、失点の原因を作ったパレホが見せたボール操作術などはその典型的なプレーだ。自軍深い位置でバイエルンの選手3人に囲まれながら、それを剥がすように前方で構えるジオバニ・ロ・チェルソに送った縦パスだ。まさにスペイン人にはあってドイツ人にはない魅力的なテクニックを披露した。
ロ・チェルソからボールを受けたジェラール・モレノが、右サイドで構えるサミュエル・チュクウェゼに送った左足のパスも、ラテン人ならではの技巧的なキックだった。それがバイエルンを下す勝ち越しのアシストとなった。チュクウェゼは左足でバイエルンゴールを揺るがしたのだった。
通算スコア1-2。人口比で言えば1対30。現在スペインリーグ7位のチームがブンデスリーガで首位を独走するバイエルンを下す、大番狂わせである。バイエルンはホーム、アリアンツアレーナを埋めた約7万観衆の前で醜態をさらすことになった。
ビジャレアルのベスト4進出は、2005-06シーズンに次ぐクラブ史上2度目の快挙だ。他方、昨季ビジャレアルにレンタルで在籍していた久保建英にとって、これは悔しい結果だろう。CLでベスト4に進出するチームに在籍していたかった、が本音だろう。モレノ、チュクウェゼらとともにプレーしていた昨季が偲ばれる。
16シーズン前、準々決勝でインテルを倒しベスト4入りしたときは、準決勝でアーセナルと戦い、通算スコア0-1で惜敗した。ビジャレアルは第2戦の終了間際、PKのチャンスを掴んだが、エースのフアン・ロマン・リケルメがそれを失敗。決勝進出を惜しくも逃している。
今季はいかに。ビジャレアルの躍進には、日本人であるこちらまで勇気づける力がある。