専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第104回 最近、若者とゴルフをしたのですが、彼はホールごとにスマホをいじっていました。彼女とLINEでもしているのかとさりげなく見たら、画面に表示されていたのはスコアカードで…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第104回

 最近、若者とゴルフをしたのですが、彼はホールごとにスマホをいじっていました。彼女とLINEでもしているのかとさりげなく見たら、画面に表示されていたのはスコアカードでした。もはや、紙にスコアを書かない世代の登場ですか!?

 昨今のITやIoTは物凄いスピードで進化しています。VRというバーチャル立体映像が楽しめる時代になっています。これを使えば、マスターズを制したセルヒオ・ガルシア(スペイン)のキレッキレのアイアンショットを、さながら自ら打ったかのように堪能することも可能なのでしょう。

 我々もそんな時代に乗り遅れることなく、ハイテクを駆使してゴルフに挑みましょう。

 というわけで、わりとポピュラーでわかりやすい、スマホを使ったゴルフの上達術を考えてみたいと思います。

 スマホにはゴルフ用のアプリが多数ありますが、今回はそれをひとまず置いておいて、動画機能を使って同伴プレーヤーに”サジェスチョン”を展開します。つまり、口で理論をごたごた言うより、目の前であられもない”ひょっとこスイング”を見せてあげたほうが、相手も納得するってものです。

 では、どんな状況で、何を相手に見せればいいでしょうか。

(1)まずは『スタンス』
 これは、多くの人が右を向く、という習性があります。打つとき、ボールを真後ろから見ることはできません。仕方がないので、自分の首をちょっと曲げて、斜めにボールを見ます。ゆえに、誤差が生じるんですね。

 もちろん、私もそうです。私の場合、基本的にはフック系のドライバーショットをするので、最初からやや右を向いて打ちます。そこからフックボールが出て、結果的にはフェアウェー方面にボールが転がる、といったイメージを持っています。当然、ミスもたくさんありますよ。

 問題なのは、右向きのスタンスでボールが右に飛ぶ人です。そういう方には、真後ろからスマホでショットを撮ってあげるといいです。それで、撮った画像を見せて「ほらね、ちゃんと右を向いているでしょ」と。

 すると相手は、「おかしいなぁ~、しっかりスクエアに構えているつもりなんだけど……」と納得のいかない様子で、何度も首を傾げます。

 この場合、勝手に撮影して相手に見せても、不快な思いをさせるだけ。右にばかりボールが飛んでいってOBを出したあととか、そういうタイミングで「実はさぁ~、スタンスなんだけどぉ~」と言って撮影してあげるのが効果的です。

(2)続いて『体重移動』
 スライス病の次に問題となるのが、体重移動です。ダフリやトップ、テンプラ、チョロなどの現象は、身体が横に揺れる”スウェー”、あるいは足がギッコンバッタンする”足の浮き”が主な原因となります。

 この問題で指摘しやすいのは、足裏が地面から離れるケースです。

 メジャーリーガーのイチロー選手をはじめ、プロ野球の各スラッガーやプロゴルファーは、パワーを出すために足を浮かせて体重移動します。でもそれは、ちゃんとボールが当たるのが前提ですから。

 素人というか、アマチュアが体重移動のしすぎでボールが当たらない、では意味がありません。結果、チョロで前進1ヤードとかね、もう泣きたくなります。

 こういう人のほとんどは、足を地べたにつけていません。だから、スマホで撮って、「こんなに足が浮いているよ」と見せればいいのです。そうすれば、大いに納得できます。

 足を浮かせて体重移動する人に、「ベタ足で打ってみて」というと、「それじゃあ、ぜんぜん飛ばないんだよね」という方がいるのですが、「今、目の前でチョロしたじゃん。それよりは飛ぶから」と言ってあげましょう。

 確かにベタ足スイングは飛距離が落ちますが、へんてこボールになるよりはずっとマシですから。

(3)さらに『浅いトップ』
 パワーがあるのに「飛ばない」と嘆いている人の多くは、テークバックしたときの、トップの位置が浅い場合が多いです。いろいろと試行錯誤した結果、そうしたスイングにたどり着いたと思いますが、もっと「飛ばしたい」と願っているなら、トップは深めのほうがいいです。そこの部分も、動画を見せてあげれば、瞬時に理解してくれます。

 ただ、アマチュアの場合、トップを深くすればするほど、ボールが当たらなくなりますから、単純に深いトップにして飛ばそうとしてもうまくいきません。体が硬い方もいますし。そういう方は、まずはストレッチから始めて、深いトップが形成できたら、徐々にボールを当てる練習をするしかないでしょうね。

 なお、トップが浅い人は、十分認識している場合も多いです。ですから、動画を撮る前に「トップが浅いの、知っていますよね?」とあらかじめ聞くのがよろしいかと。

 実は、私もトップが浅めです。たまに言われますが、「五十肩になって以降、体が硬くなって回らないのよ」と答えております。

 とにかく、動画機能を使いたいからって、勝手に撮影して相手に見せても、ただの嫌がらせにしかなりません。ラウンド中の会話で、さりげなくウィークポイントの話をして、食いついてきたら、撮ってあげるようにしましょう。

 その他、横にボディがスライドして動くスウェーや、ショットを打つ際の上下動、手の返しの甘さなどが、ミスショットの原因となりますが、そこら辺は動画でも指摘しづらいです。とりあえず、先に取り上げた3点が、動画で見れば一目瞭然の弱点と言えます。

 ここまで、自らのスマホ上達術というより、他人のための話をしてきた感じですが、要は「人の振り見て、我が振り直せ」ということです。



自分のスイングを見るのは、確かにちょっと怖いかも... 己の恥ずかしいスイングも、一度練習場などで撮影してみてはどうでしょう。あまりの醜い姿に汗がたら~り……って、それは『ガマの油売り』の口上じゃないですか。

 まあ、それぐらい自分のショットって恥ずかしいものです。

 いつも夢見がちなあなたへ。たまには夢から覚めて、現実を直視しましょうか。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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