—リアルとバーチャルが見事に融合した、エンタメ最前線のDXライブ誕生—2022年2月24日(木)川崎CLUB CITTA’にて「MIKU BREAK ver.1.0」が開催された。コロナ禍の影響もあり定員数を半減しての開催となったが会場は満…
—リアルとバーチャルが見事に融合した、エンタメ最前線のDXライブ誕生—
2022年2月24日(木)川崎CLUB CITTA’にて「MIKU BREAK ver.1.0」が開催された。コロナ禍の影響もあり定員数を半減しての開催となったが会場は満員、多くの来場者が集っていた。
そもそもMIKU BREAKについてご存知だろうか。MIKU BREAKとは、2007年に誕生し、社会現象を巻き起こした音声合成・デスクトップミュージック (DTM) 用のボーカル音源、およびそのキャラクターである「初音ミク」と、ストリートカルチャーを背景に持つ世界レベルの実力派テックダンスフュージョン集団である「CONDENSE」がタッグを組み、テクノロジーを通じて新たなエンターテインメントを生み出すプロジェクトである。
ライブを観終えた感想を一言で表すならば「アーティストライブのDX新時代到来」と言いたい。時にラップをし、ストリートダンスを軽やかに魅せる初音ミクや、彼女と同列に生身で勝負をし続けるCONDENSEのメンバーたち、そしてそれを寸分の狂いもなく裏で支えるクリエイター陣に心から拍手を送りたい。本番のステージ以外にも、計算し尽くされた観客とのコミュニケーションのこだわりを随所に感じ取ることができ、まさに多角的そして時間軸を超えて来場者を楽しませるライブ新時代の幕開けを感じた。
ライブ本番、オープニングから度肝を抜かれる。そもそもこのライブの観客は会場に入ると自身のスマートフォンでライブ専用のアプリをダウンロードし待機をする。会場が暗転するとステージに広がる透過スクリーンには、初音ミクの音声アナウンスとともに暗号が映し出され、観客は自身のスマートフォンでアプリを起動させ、ステージと連動するアプリ画面に暗号を打ち込む。さらに、観客がアプリ画面をタップすればするほど会場のボルテージがあがる演出がなされており、観客の熱量が高まったタイミングで満を持して初音ミクが登場をする。まわりの人達と一緒になり、スタートに向けてアクションをする場面がとても楽しく思え、この時点ですでに会場が一体になっていた。
そして、いよいよ本番の幕が開ける。オープニングから楽曲『Overlap』に合わせて初音ミクが踊るのだが様子がいつもと違う。可愛く踊るだけではなく、 ワックやブレイクダンスなど、しなやかで繊細なダンスからダイナミックなダンスまで、幅広く完璧に踊りこなす初音ミクがいた。バク転なども軽快に決め、エッジのきいたダンスを披露する。
ここでCONDENSEのラッパーSHUNが登場。ここから様々な切り口で私たちはリアルとバーチャルの融合を体感することになる。
みるみる映像が移り変わり、CONDENSEの全メンバーが姿を現すと、彼らのオリジナル楽曲である「Break the Bias」に合わせキレのあるラップとダンスで会場を圧巻する。
「Do It Like This」では、ヒップホップカルチャーのアイテムとして象徴的なスプレー缶を演出に起用し、初音ミクと共にスプレー缶のパフォーマンスが繰り出される。ヒップホップのフィールドでCONDENSEのメンバーとパフォーマンスをする初音ミクは良い意味で斬新で、とても魅力的だ。節々のMCでは、定番のコール&レスポンスや会場への煽り文句も、SHUNとともに行い会場を盛り上げる。コロナ対策で思うようにレスポンスができない観客たちは、専用のアプリを活用し自身のスマホ端末をタップすることでレゲエホーンが鳴る仕組みになっており、そのレスポンス音とステージのコミュニケーションが面白く、やみつきになる。
続く「Shower」では、しなやかさと激しさが交差するダンスで、植木豪、SHINSUKE、gash!がしっかりと魅せる。バーチャルの世界に合わせ、生身の人間が一定のパフォーマンスをし続けることは並大抵のことではなく、違和感なく観ることができるのは、彼らのパフォーマーとしてのスキルがあってのことに思う。
ミディアムチューンから、エレクトロ・ヒップホップ、パーティーチューンなど、個性溢れる楽曲が次々に披露される中、中盤ではRYOの見せ場のひとつであるMPCコーナーへと切り替わる。CONDENSEファンにはお馴染みのパフォーマンスも、透過スクリーンを効果的に活用し、初音ミクがMPCに憑依する事でオーディエンスの心をガッチリと掴む盛り上がりをみせていた。
MPCと掛け合わせながら植木豪とSHINSUKEが登場すると、スクリーンと連携したテレビゲームを模したようなコラボ演目が始まる。初音ミクvsCONDENSEのバトルは、ブレイキンなどの技を次々と決めながら展開されていきゲームの勝敗にハラハラしながら会場も一緒に楽しむことができた。
続いてMPCに合わせて登場したのは、フリースタイルバスケットボーラーとして国内外で活躍するZiNEZとCONDENSEのリーダーであるToyotakaのヒューマンビートボックスだ。お互いにからだひとつで観客を魅了する。なかでもToyotakaがビートボックスをしながら上を向き、回転したボールをマイクの先端に乗せるパフォーマンスには会場がどよめく。
ライブも後半戦に差し掛かると、MCでは初音ミクが「半端ない盛り上がりね!」と会場を盛り上げる。名曲である「千本桜」をブレイクビーツ調にリミックスした「千本桜 Remix」では、それぞれの得意技を生かした演奏とダンスで会場の空気を一変。クールな千本桜は非常に新鮮で、音楽の切り口でもMIKU BREAKは非常に楽しめる。
映像や照明などを惜しみなく活用する演出がある中、時にシンプルな演出もあり、CONDENSEメンバーのパフォーマンスをいかに“きちんと魅せきる”のかも計算し尽くされているように感じた。
勢いは続き「SPACE」からの「Break Out」では、会場の熱量も最高潮に。全演目が終了したと思いきや、会場からはアンコールを期待する手拍子が。するとまたもやアプリを通じてアンコールのアクションをするという演出が始まり、初音ミクの声に煽られアンコールへの期待が高まる。アプリを活用しながら指定されたボタンをタップし、ある一定数をクリアするとアンコール演目がスタート。初音ミクとCONDENSEメンバーの踊るダンスは見事にシンクロをし、力強いダンスから繊細なダンスまで彼らは横一列に並び融合し、また映像演出と掛け合わせることで、平面的にも立体的にも、代わる代わる私たちの脳内に刺激を与え続け、ライブは幕を閉じた。
さいごに。
未知なる世界がそこにあると言われても、やはり人間は自らの五感で体感をしなければわからないものがある。まさにこのライブこそその類である。初音ミクがラップをし、コール&レスポンスをし、ストリートダンスを踊る姿にはいつの間にか愛着が生まれ、それと同時に、初音ミクのファンではなかったとしても、十分に楽しめるライブの内容になっていた。これはCONDENSEが掲げる「誰しもが楽しめるエンタメ」を目指すが所以なのかもしれない。
ライブもまたDX化し、エンタメも更なる進化をすると確信したライブだった。専用アプリを通じてライブの本番前から、ユーザーはヒップホップについての学習をし、ゲーム感覚でドラミングの体験を味わうことができ、さらには、アプリ上でユーザーが作曲した曲をステージにて披露をする演出も行われていた。アプリ内には初音ミクの部屋があり、キャラクターを育てるコンテンツもあった。ユーザーは、専用アプリを手に入れることで、ライブの「前」「中」「後」をインタラクティブに参加し楽しむことができる。これからもアップデートをし続け、私たちに未知なるエンタメの感動体験を与えてくれるだろうMIKU BREAKプロジェクトに期待せずにはいられない。
詳しくはTwitterで #MIKUBREAK をチェック!
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