木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第11回 最近、スマホのニュースサイトを見ていて目につくのが、ゴルフの初心者向けの記事です。 こんな常識的なことがニュースになるの? みたいな記事が多いのですが、これが案外読まれているそうです。 それだけ…
木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第11回
最近、スマホのニュースサイトを見ていて目につくのが、ゴルフの初心者向けの記事です。
こんな常識的なことがニュースになるの? みたいな記事が多いのですが、これが案外読まれているそうです。
それだけ、新規参入者が多いってことですね。もちろん、ベテランゴルファーからすれば知っていることばかりで、サイトのコメント欄には憤慨しているコメントが多数見受けられます。
ゴルフは巨大なメジャースポーツで、しかも生涯できます。ビギナー向けの記事がたくさん出ているということは、"世代交代"の表れなのかもしれません。ベテランも、ビギナーも、お互い認めて、仲よくやってほしいです。
今回は、そんな増え続けるビギナーの生態を覗きつつ、ベテランゴルファーに見られる新たなラウンドスタイルについて考察してみたいと思います。
まず、どんなビギナーも例外なく、最初の頃のゴルフは誰かに連れていってもらって、ラウンドするしかありません。
今から20~30年前は、ほとんどの倶楽部でメンバーの同伴や紹介がないとラウンドできないシステムでした。
つまり、メンバーに呼ばれてラウンドする機会が多かったのです。メンバー同伴プレーは、マナーやルールに対して厳しく指導されます。ビギナーもそこで鍛えられ、マナーに沿ったまとまりのあるゴルフをしていたものです。
ところが、ネット予約全盛の今、誰かに呼ばれてラウンドするのは一緒でも、呼ぶほうもビジターですから、さほどうまくありません。そもそもみんなビギナーばかりで、パーティーの中にゴルフに精通している人が誰もいない状況が往々にしてあります。
周囲からすると、これは結構厄介です。マナーやルールも適当だったりしますからね。
昨年のことですが、南国リゾートに行ってゴルフをしてきました。その時、前の2組は知り合いが予約をしてとってあげた組でした。個人的には面識はないのですが、うちらのパーティーに予約をしてくれた人がいるのは確かです。
ところが、スタート前から前の2組の人たちは我々のことをまったく無視。というか、緊張と興奮により、朝の挨拶さえする余裕がなかったのでしょう。
それこそ、前の2組は皆がビギナーだったのです。
何ホール目だったか、前の組がまだ150ヤードぐらい先にしか行っていないのに、すでにティーショットを打っているし......。しかも、打った飛距離は100ヤードほど......って、なんだんねん。
コースレイアウト的には、ぜんぜんドライバーで打ってもいいんですよ。いやいや、刻みすぎだろうって感じでした。
前の2組は、お互いの腕前と飛距離を知っているから、ある程度接近していても大丈夫、という判断を下してプレーしていたわけです。でも、見ているこちらとしては、まぐれで飛ぶ時があるから、危ないなと。結構、ハラハラしていました。
最終的には、無事にラウンドが終了してホッとしました。それにしても、通常ゴルフ場では仲間内だけでラウンドしているわけではありませんからね。誰か、こういう人たちに正しい距離の保ち方などを教えてくださいな。
さて、ビギナーのラウンドについて話を戻しましょう。先述したように、ゴルフを覚えたての頃は、先にゴルフを始めた誰かしらに呼ばれてラウンドするわけですが、その際にはいろいろと不満がないわけではありません。
まず、日程を選べない。「何月何日、空いてる?」と言われていくわけですから。
当然、コースも選べません。そのため、料金も相手次第。つれていってくれる人が、高級コースが好きなら、いつも料金は高め。河川敷コース好きなら、いつもセルフプレーでお値段は低め、となります。
その他、ニアピンなどのゲームをしたがるとか、車で迎えに行かなければならないとか、いろんなことが次第に気になってきます。
そうしてラウンドをこなしていくと、自分で予約して誰かを呼べば、好きな時に、好きなコースでやれると思うんですよね。
ところが実際は、その誰かが見つからなかったり、友だちを誘うのが面倒くさかったりして、自らの都合だけでラウンドするのは意外と大変なことがわかるんですな。
それでも、やっと一緒に行ってくれる仲間が見つかりました。じゃあ、2サムでいいやとなったら、2バックの割り増し料金を払うことに。すると、その友だちが「そんなの聞いてないよ」と憤慨。険悪なムードになりました......なんてこともあります。
ゴルフはパーティーを組んでやる遊びです。それぐらいの人数なら簡単に呼べると思われるでしょうが、いざ探してみると、なかなか見つからないものなんですよね。
日頃の友だちづき合いがいかに疎かになっているか。はたまた、自らの人望のなさとか、その時になって身にしみてわかったりして......。
呼ばれたり、呼んだりするゴルフを10年ぐらい続けていると、ふと「ひとりでふらっと行きたい」と思うことがあります。
どこぞの倶楽部のメンバーになっていれば、そういう願いは叶うのですが、そんな金銭的な余裕はないし......。そう思っているベテランゴルファーが実に多いことか。
そんな人々の気持ちを汲んでくれたのが、『1人予約ランド』(バリューゴルフ運営)というやつです。私も会員で何度か使っていますが、すこぶる重宝しています。
2010年にサービスを開始して、現在の会員は80万人ほど。提携コースは約1000コースって、日本のコースの4割ぐらいが加入しているのですから、驚きです。
入会する時は、年齢に見合ったアバターを作って登録します。だから、エントリー画面を見れば、参加者の世代がすぐにわかるというもの。ざっと見て、8割以上が50歳以上の人々です。
たぶんみなさん、ゴルフを長くやってきて、いろんな人間関係に疲れ、面倒くさくなって、ひとりでゴルフに行きたくなったのでしょう。
もちろん、友だちをつれて2人で予約もできます。ただ、組み合わせになることが多いので、2サム派はちょっとしんどいかもしれませんね。
そして、"1人予約"とはいえ、ひとりでラウンドできるわけではなく、その日は赤の他人とパーティーを組んでラウンドすることになります。そういうのも気を遣ってしんどいなぁ、という方には不向きですね。
じゃあ、たったひとりで回れる方法はないのか?
実は「そんなマーケットは成立するのか?」と思って、試しにやってみたコースがあります。
千葉のマグレガーカントリークラブです。同コースでは、早朝と遅い時間帯に「1人ラウンド完全セルフプレー」を実施しています(平日は約1万円)。
これが結構な人気で、予約がほぼ埋まってしまうとか。
よっぽど自分の打っている姿を見せたくないのかなぁ? なんて思ったりしますが、ゴルフに集中したいとか、人との会話が面倒くさいとか、プライベートを探られたくないとか、いろいろと理由はあるのでしょう。
ひとりでのラウンドってどんな感じなんですかね...。illustration by Hattori Motonobu
この"完全1人ラウンド"は、他のコースでもちらほらやり始めています。
コース側は採算がとれているのかというと、2サムぐらいの利益は出るとのこと。というのも、通常7~8分間隔でのスタートがひとりプレーだと3~4分間隔でできるからです。
それに、4人ラウンドと変わらぬ乗用カート代もしっかりとっているので、十分に儲かるそうです。
ひとりゴルフは気楽なうえ、サボろうと思えば、延々サボり放題。このホールは苦手だからと、パターだけにしよう、といったことも可能。スコアなんて、いくらでも誤魔化せます。
けれども、実際にひとりラウンドでしている人は、わりとベテランでゴルフに精通している人が多いんだとか。つまり、ストイックに"アンクル・パー"(仮想の対戦相手)と戦うタイプが多いみたいです。
自分もひとりラウンドを楽しめる精神領域に入ってみたいなぁ。いつか、そういう気分になったら、行ってみますね。