北京五輪女子カーリングの予選リーグが2月10日から始まる。 日本代表のロコ・ソラーレは今季、拠点としていたカナダ・カルガリーから成田空港経由で2月5日に北京入り。開会式への参加は断念した。「こんなご時勢ですし......」とチームの気持ち…

 北京五輪女子カーリングの予選リーグが2月10日から始まる。

 日本代表のロコ・ソラーレは今季、拠点としていたカナダ・カルガリーから成田空港経由で2月5日に北京入り。開会式への参加は断念した。

「こんなご時勢ですし......」とチームの気持ちを代弁したのは、ロコ・ソラーレの代表・本橋麻里だ。自身も、今回は北海道北見市の自宅からテレビ観戦で応援するという。

「開会式は寒いなかで行なわれ、どうしても短くない待ち時間などが生じてしまいます。特に今回はコロナ禍ということもあり、選手の健康面を考慮しました。

 また、メンタル面でも2月10日の初戦に向けてじわじわと上げていくのが理想。2月4日の開会式でモチベーションが上がってしまうのはちょっと早すぎる。そこで今回は、競技に特化したスケジュールをとらせてもらいました」



北京五輪に挑むカーリング女子日本代表のロコ・ソラーレ。左から吉田知那美、吉田夕梨花、鈴木夕湖、藤澤五月

 一方、チームは五輪開幕前にオンライン取材をこなした。選手それぞれは、試合の勝ち負けより、ゲームへ向けての準備や試合内容について言及。リードの吉田夕梨花は"チームショット"にこだわる姿勢を見せた。

「チームで決めるショットが、このチームの強みだと思っている。(フィフスの石崎)琴美ちゃんとJDコーチ(ジェームス・ダグラス・リンド日本代表コーチ)と(チームコーチの小野寺)亮二さんの力を借りて、皆でどれだけのショットを決められるか。"チームショット"を増やしたいです」

 セカンドの鈴木夕湖は、4年前の平昌五輪でショット率が上がらず苦い経験をしたことから、最後まで自身とチームのピーキングに注意を払う。

「オリンピックに出てくるチームは、実力差がそこまでないチームばかり。どこが勝つかもわからないという状況で、しっかりと(本番に)ピークを合わせられたチームが勝てるのかなと思っています。平昌五輪の時は選手村に入ってから、わりとガッツリとトレーニングをしてしまったので、その辺りもトレーナーさんと相談しながら(調整したい)ですね」

「最後は自分たちのチームを信じられたチームが勝つ」――JDコーチの助言を胸に、自身3度目の五輪に挑むのは、サードの吉田知那美。彼女はかつて、平昌五輪の銅メダルという結果について「勝ったのか、負けたのかわからないけど、順位には納得している」と語っていた。

 北京五輪に向けては、妹の吉田夕同様「4人全員が納得する形でショットを決められたら、最高ですね」と話す。その「納得」の先にメダルが待っているのかもしれない。

「全試合すごく楽しみ」

 そう語るのは、スキップの藤澤五月。ふだんどおり、彼女はゲームへの欲を隠さない。

 どの国との試合がカギになるか? という質問についてはこう応じた。

「どの試合も自分たちらしい試合をすることが一番だと思うので、全部の試合がキーポイント」

 4年前は本橋がフィフスとして座っていたコーチボックスには今回、石崎が入る。彼女は2020年夏からロコ・ソラーレに加入し、客観的かつ献身的なサポートを続けてきた。

 ロコ・ソラーレというチームの強さについては、「追われる立場でありながら、新しいことに挑戦できるところ」と分析。続けて「このチームの一員になれて誇らしい」と語って、今大会を自身のキャリアの集大成と考えている。

「私のカーリング人生、もしかしたら(北京五輪が)最後かもしれない。そこが、ロコ・ソラーレで本当によかったと思います」

 4年前、銅メダルを獲得した藤澤に何かが変わったかと問えば、「世界一になってみたいと思うようになった」と答えた。

 しかし、その道のりは平坦ではなかった。中部電力や北海道銀行フォルティウスといった、力をつけてきた国内のライバルに屈したシーズンもある。日本選手権を制して迎えた2020年の世界選手権は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。日本代表として世界に挑む重要な機会も失った。それでも藤澤は言う。

「いろんなことが起こったとしてもしっかりチーム力で乗り越えて、臨機応変に、そしてポジティブに、チーム力を氷の上で発揮できるチームがいいパフォーマンスができる」

 4年ぶりの世界挑戦へ。ロコ ・ソラーレの再進撃が始まろうとしている。