3月以降負け知らずのマドリード勢 ビジャレアル対アスレティック・ビルバオはEL出場権を懸けて戦う。ソシエダとエイバルが背後に迫っているだけにここで直接のライバルを叩いておきたい。 前節ベティスをアドリアンのゴールで1-0と退けたビジャレアル…


3月以降負け知らずのマドリード勢

 ビジャレアル対アスレティック・ビルバオはEL出場権を懸けて戦う。ソシエダとエイバルが背後に迫っているだけにここで直接のライバルを叩いておきたい。

 前節ベティスをアドリアンのゴールで1-0と退けたビジャレアルは、ソルダードが復帰しFW陣が非常に充実している。サンソネ、バカンブー、サントス・ボレを加えた5人の質と量では2強を除けばリーグ1。彼らをアシストするのがまたリーグ有数のボランチコンビ、ブルーノとトリゲーロス。2トップと2ボランチのセンターラインの4人が安定しており大崩れはしない。アスレティック・ビルバオはエスパニョールを2-0で簡単に下した。こちらは点取り屋はアドゥリス、アシストはベニャと中央のバリエーションでは劣るが、イグアインとウィリアムスというハイスピードのウインガーを擁している。

 ともに3月に入ってから4勝2敗と上り調子、激しいプレスからのカウンターを持ち味としている同士だから、チャンスとピンチが交互に訪れる白熱したゲームが期待できる。

 マドリードダービーはそれだけで大一番だが、ぶつかるタイミングが最高だ。レアル・マドリーはCLを含めて3月以降6勝1分、アトレチコ・マドリーは5勝2分とともに負け知らずなのだ。

 ジダン監督は今週末に備え前節レガネス戦で前々節から9人を入れ替え、BBC全員を休ませる大胆なローテーションを敢行。アセンシオ、モラタ、コバセビッチと控え組がそん色ないゲーム運びをしてレガネスに4-2で勝利。とはいえ、この試合の先発陣で週末の試合でも先発メンバーに入るのはセルヒオ・ラモス、カセミロ、マルセロの3人だけだろう。ケイラー・ナバスは2失点のイメージの悪さからキーコ・カシージャにGKの座を譲りそう。

 シメオネ監督はおそらくこのまま週末も先発するだろうベストメンバーで、ソシエダに1-0で勝利。1点差勝利だが、ボール支配は譲ってもシュートは打たせない危なげない内容だった。守備的ボランチ2枚(サウール+ガビ)と両CBが安定し、両SBが安心して攻撃参加できる得意の形ができている(左SBフィリペ・ルイスが2戦連続得点)。

 勝敗だけ見るとレアル・マドリーが上だが、得失点を見ると21得点9失点に対して11得点2失点とアトレチコ・マドリーの安定感が際立っている。昨年のこの顔合わせはアトレチコ・マドリーが1-0で勝利した。0-0が長く続く展開になればシメオネのもの、先制すればジダンのもの。いずれにせよ今週末一番の熱い戦いになるのは確実だ。 


クラシコを前にイニエスタも復帰したバルセロナ(写真:Getty Images)

苦しい時期を迎えたセビージャとデポルティボ

 セビージャ対デポルティボは生き残りをかけた決戦である。5試合勝ちのないセビージャは3位の座から転落し、4位確保も危ない状態。前節バルセロナ戦は、そのチーム状態を反映した30分間ほどで3失点という無抵抗の敗戦。サンパオリ監督の5バックはまたもや機能せず、前半だけで2枚替え。「ゲームプランの失敗」→「45分で交代」という事態を何度繰り返すのか? モラルの低下を象徴するビトロの“自主退場”で、今週末は出場停止。退任を発表したスポーツディレクター、モンチのお別れセレブレーションが予定されている試合で快勝できなければ、ファンの不満は爆発するだろう。

 ガディターノを解任しペペ・メルを新監督に迎えたデポルティボは、そのデビュー戦でバルセロナに勝利するもその後は1分2敗。前節はグラナダ相手に良く攻めたが、PK失敗もありスコアレスドローに終り、降格圏から6ポイントと安全圏とは言えない。前半を0-0以上で終えればナーバスになっている相手ファンを味方に付けられるだろう。ホームでやじられ焦った相手のパスミスを待ちカウンターの機会をうかがえば、勝ち点3のチャンスもあると見る。

 マラガ対バルセロナはスポルティングとの残留決戦に1-0で勝利して一息ついた前者と、クラシコを前に準備万全の後者の戦い。

 メッシ、ネイマール、スアレスの3トップは全員がピークに近づきつつあり、ラキティッチとブスケッツ、マスチェラーノも好調、イニエスタも復調したバルセロナにとって、前節セビージャはスパーリング相手としても物足りなかったに違いない。その試合でラキティッチとピケが5枚目のカードをもらい予定通り今週末は欠場。ピケ不在は4バックに戻しジョルディ・アルバ、セルジ・ロベルトの両SBをプレーさせれば簡単にカバーできるだろう。

 マラガは5バックで防戦という策を打ってくるかもしれないが、前々節アトレチコ・マドリーにまったく通用しなかったように、今のバルセロナに通じるとは思えない。スポルティング戦以上にGKカメニが奇跡のセーブを連発し、唯一のチャンスでサンドロが古巣相手に意地を見せる、という以外にマラガが勝ち点を奪うシナリオは見えてこない。

《文=木村浩嗣》