現地時間の4月11日と12日にチャンピオンズリーグ準々決勝の第1レグが行われた。しかしながら当初11日に行われるはずだったドルトムント対モナコはドルトムントのチームバスを襲った爆発事件により1日先延ばしされ、12日の水曜日に3試合が行われ…

 現地時間の4月11日と12日にチャンピオンズリーグ準々決勝の第1レグが行われた。しかしながら当初11日に行われるはずだったドルトムント対モナコはドルトムントのチームバスを襲った爆発事件により1日先延ばしされ、12日の水曜日に3試合が行われることとなった。


第1戦はイタリア王者のユベントスが勝利(写真:Getty Images)

準々決勝 ユベントス×バルセロナ
第1レグ 3-0
第2レグ 4月19日(水)

  火曜日に1試合だけ行われたユベントス×バルセロナは開始7分にいきなりホームのユベントスが先制。MFフアン・クアドラードの鋭い仕掛けからエリア内でパスを受けたFWパウロ・ディバラが鮮やかな反転から左足シュートを決めた。

 バルセロナもMFアンドレ・イニエスタがユベントス守護神GKジャンルイジ・ブッフォンにギリギリのセーブを強いるなど反撃に転じたが、前半22分に今度はFWマリオ・マンジュキッチの左突破からマイナスクロスにまたもディバラが合わせてユベントスが追加点。後半にCKからDFジョルジョ・キエッリーニがヘッドを叩き込む形でリードを3点に広げたユベントスが完勝で、アウェーゴールを与えることなく3点のリードで敵地カンプ・ノウに乗り込むことになった。

 バルセロナと言えばラウンド16の第1レグでパリ・サンジェルマンに4-0の大敗を喫しながら、第2レグに大逆転で準々決勝に勝ち進んできており、その再現に期待もかかる。しかし、イタリア王者のユベントスはセリエAで31試合20失点、チャンピオンズリーグでも9試合で2失点しかしておらず、その牙城の堅さは今回の第1レグでも証明された。

 “MSN(メッシ、スアレス、ネイマール”に対してもネイマールのくせを良く知る元バルセロナの右サイドバック、ダニエウ・アウベス、統率力に優れるDFレオナルド・ボヌッチ&キエッリーニのセンターバックコンビ、対人能力の高い左SBアレックス・サンドロと役者が揃っており、彼らの背後にはブッフォンが構える。バルセロナとしてはこの日も攻撃陣が停滞する中で違いを生み出したイニエスタを中心に、変化のある崩しから早い時間帯に1点を取り、スタンドを盛り上げながら少しでもプレッシャーをかけていきたいところだ。

 ただ、ユベントスは組織的なボール奪取からの鋭いカウンターを得意としており、絶好調のディバラとエースのゴンサロ・イグアインが形成する縦の2トップは欧州屈指の決定力を誇る。第1レグは出定停止だったMFセルヒオ・ブスケッツには攻守の天秤として効果的に組み立て、中途半端な形でボールを奪わせない、さらにカウンターの起点を封じる多様な役割が求められる。 


香川は1得点1アシストも、モナコに敗れる(写真:Getty Images)

準々決勝 ドルトムント×モナコ
第1レグ 2-3
第2レグ 4月19日(水)

 ドルトムントの選手を狙ったと観られる爆発事件により試合が翌日に延期され、DFマルク・バルトラは手首を負傷。大惨事にいたらなかったことがせめてもの救いだが、たった1日で精神的なショックを消すことなど困難だろう。厳戒態勢のものものしい雰囲気の中で行われた試合は両者にとって入りが難しいものとなったはずだが、アウェーのモナコが流れを掴んだ。

 FWキリアン・ムバッペがドルトムントのDFソクラティス・パパスタソプーロスに倒されてPKを獲得したが、MFファビーニョが外してしまい得点にならず。しかし、さらなるチャンスを作るモナコは得意のカウンターからFWトーマス・レマーのクロスにムバッペが見事に合わせて先制した。さらにMFスベン・ベンダーのオウンゴールでアウェーのモナコが2点をリードして折り返した。

 後半に向けトーマス・トゥへル監督はベンダーに代えヌリ・シャヒン、左サイドバックのDFマルセル・シュメルツァーに代えてMFクリスティアン・クリシッチという攻撃的なカードを切る。すると勇気を奮い立たせたのか、ドルトムントは目が覚めた様にダイナミックな攻撃を展開させる。その中心になったのがトップ下に入っていたMF香川真司だった。

 高い位置で味方のパスを引き出す香川は57分にクロスの折り返しでFWウスマヌ・デンベレのゴールをアシストすると、3点目を追加されて迎えた84分には右からのパスにファーストタッチでマークをかわし、さらにインサイドへの鮮やかなターンでブロックを外してゴールネットを揺らした。

 ホームで3つのアウェーゴールを奪われての敗戦は厳しいが、ドルトムントとしてはこれだけの難しい状況で入りながら後半に立て直したことは第2レグに大きな希望をつないだと言える。ただ、モナコにとって第1レグで出定停止だった攻守の軸であるMFティエムエ・バカヨコが戻ってくるのは好材料だ。

 ホームでは中盤のプレッシャーをさらに高め、MFベルナルド・シウバやレマーのスピードを生かしたサイドアタックを繰り出し、ムバッペとFWラダメル・ファル科の強力2トップに合わせてくるはず。

 ドルトムントは最低でも2点を取る必要があるため、香川とここまでCLで7得点のFWピエール=エメリク・オーバメヤンのホットラインを中心にデンベレの飛び出しなど、機動力を発揮してモナコのプレッシャーをかい潜り、チャンスをものにしていきたい。


レアル・マドリーがバイエルンに競り勝つ(写真:Getty Images)

準々決勝 バイエルン対レアル・マドリー
第1レグ 1-2
第2レグ 4月18日(火)

 第1レグはホームのバイエルンがリズムよく試合を運び、CKからMFアルトゥーロ・ビダルが決める理想的な形で先制点をあげた。タイトな守備でバイエルンの追加点を許さないレアル・マドリーは前半の終了間際にFWフランク・リベリーのシュートをDFダニエル・カルバハルがハンドしてしまい、無念のPKに。しかし、ビダルのキックミスで命拾いしたレアル・マドリーは後半の開始直後に右サイドのカルバハルからのクロスをFWクリスティアーノ・ロナウドが右足のボレーで捉え、怪我から復帰したばかりのGKマヌエル・ノイアーを破った。

 61分にバイエルンDFハビ・マルティネスの2枚目の警告での退場を誘うと、ロナウドを中心に鋭い仕掛けでバイエルンのディフェンスを襲うレアル・マドリーは左に流れたMFマルコ・アセンシオのクロスにロナウドが今度は右足で合わせてUEFA主要大会の通算100得点となる逆転のゴール。DFラファエル・バランとペペを欠きながら10人がタイトに守り、シンプルに攻め残るロナウドを生かす戦い方で見事な勝利につなげた。

 2つのアウェーゴールを奪う形で勝利したレアル・マドリーは有利な状況でホームの第2レグを迎えることができる。しかし、この日は怪我で欠場したDFマッツ・フンメルスとFWロベルト・レバントフスキという攻守の主力が復帰すると見られるバイエルンはこういう逆境からの勝負強さに定評がある。準々決勝としては勿体ないビッグカードを制したチームは優勝に大きく近づくはずだ。 


アトレチコがホームでレスターに勝利(写真:Getty Images)

準々決勝 アトレチコ・マドリー×レスター・シティ
第1レグ 1-0
第2レグ 4月18日(火)

 FWアントワーヌ・グリーズマンのドリブルがペナルティエリアに入ったか入らないかのところで倒されPKを獲得したアトレチコが、そのグリーズマンが決める形で先制し、そのまま逃げ切った。同じく堅守速攻を武器とする相手に対してハードワークで対抗するレスターだが、なかなか打開の糸口を見出せないまま先発のFW岡崎慎司はハーフタイムでMFアンディ・キングと交代させられた。

 ただ、アトレチコのディエゴ・シメオネ監督が前日会見で予想した通りロースコアの試合で終わったのはレスターの守備がグリーズマンやMFヤニック・カラスコといった個人能力の高い相手にも粘り強い対応をした結果でもある。ホームでアトレチコを迎える第2レグは早い時間帯にアウェーゴールを奪われない様に注意しながら、効率よくアトレチコが誇る堅守の背後を突いていく必要がある。

 前からの守備の貢献も大きい岡崎が再び出番を得れば、多くはないではずのチャンスに決め切ることができるか。レスターにとっては未知への挑戦だが、昨シーズンにプレミアリーグで“奇跡”を起こしたチームはクレイグ・シェークスピア監督のもとで“原点回帰”しているだけに、ハードワークをベースにした粘り強い戦いでスペインの強豪から勝利をもぎ取りたいところだ。

《文=河治良幸》