トップアスリートの専属トレーナーを務める新盛淳司氏が解説 フィギュアスケートの紀平梨花(トヨタ自動車)が負った右足距骨疲労骨折について、トップアスリートの専属トレーナーを務める芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が解説した。大会…

トップアスリートの専属トレーナーを務める新盛淳司氏が解説

 フィギュアスケートの紀平梨花(トヨタ自動車)が負った右足距骨疲労骨折について、トップアスリートの専属トレーナーを務める芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が解説した。大会3連覇が期待された全日本選手権欠場。どんな故障なのだろうか。

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 紀平選手ですが、当初は足関節の骨軟骨損傷と発表されていましたが、今回は「距骨疲労骨折」と報じられています。

 足首には数多くの骨があります。距骨はスネにある脛骨とつながり、体重を受け止めるために負荷がかかる骨です。フィギュアスケートのように着氷の衝撃や、回転する時のひねりのストレスが繰り返し骨にかかると、軟骨を損傷し、その奥の骨が疲労骨折を起こす場合があります。

 疲労骨折は、MRIやCTなどで診断されますが、受傷当初は画像上わからない場合もあります。イメージとしては、砂山にトンネルを少しずつ掘っていくように進行していくもので、完全に骨折するまでは痛みも軽度で、本人もわかりづらい場合もあります。

 紀平選手の場合は受傷当初から、軟骨損傷と疲労骨折が予想されていましたが、北京五輪のために競技を続ける可能性を追い求めたのかもしれません。

 骨軟骨損傷や疲労骨折の治療は、修復にプラスになる要素を増やし、マイナス部分をできるだけ減らすことが重要になります。

 プラスとは、軟骨に対するPRPなど再生医療、骨折に対しては超音波治療や対外衝撃波という刺激を加える治療があります。また、筋肉をつけたり、動作の改善などのリハビリにおいては重要です。一方で、マイナスになることは、ジャンプなど体重をかける運動になります。

 骨の組織が回復するまで体重をかける運動を制限しながら、治療とリハビリを進めていくことになります。

 リハビリでも状態が改善しない場合は手術も検討するかもしれません。

 北京五輪、そして、出場権をかけた全日本選手権を前に苦渋の決断だったと思います。ですが、まだ19歳。ここで無理をして、競技生活の継続に致命的な古傷にしてしまうより、先々を見据えた前向きな決断になると思います。紀平選手の1日も早い完治を祈念しております。(THE ANSWER編集部)