一般社団法人渋谷未来デザイン(以下、渋谷未来デザイン)をはじめとするSOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA実行委員会は、「 HELLO! IDEA. 」というスローガンの下、カンファレンスや体験プログラムが開催される都市型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2021 (以下SIW)」を11月5日(金)〜14日(日)の10日間で開催した。 今年も去年と同様、 SIWは渋谷エリアの多拠点会場とオンライン配信を並行して行われた。
今回は「Respect is knowing スポーツと女性のこれから」のセッションのレポートをお届けする。
11月10日の水曜日、16:30~18:30、渋谷キャストにて 「Respect is knowing スポーツと女性のこれから」のトークセッションが行われた。
スピーカーは、 株式会社インフォバーングループ本社代表取締役CEOの今田素子、株式会社文藝春秋 スポーツ・グラフィック ナンバー編集部 メディア・プロデューサーの藤森三奈、DAZN JAPAN Vice President Communications & PRの松岡けい、SIWエグゼクティブプロデューサーの長田新子が登壇。更にリモートで公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ チェアの岡島喜久子、日本初の女子プロサッカーリーグWEリーグの選手から、ちふれASエルフェン埼玉所属の荒川恵理子、 INAC神戸レオネッサ所属の田中美南、の7名でのトークセッションとなった。
近年、DEI(多様性=ダイバーシティ、公平性=エクティ、包括性=インクルージョン)という動きがグローバルで活発になる一方、スポーツ界においては大きな男女格差が存在している。
日本の女子スポーツ界における男女格差について、女性スポーツ選手をとりまく環境や現状、メディアの役割、そして今後の課題にどう取り組んでいくべきか、7名で熱い議論が交わされた。
世界的な女子スポーツ界の現状
「女性スポーツがメディアを通して見られていない状況を打破していかなければいけない」と松岡けいは語る。
松岡けい
松岡:グローバルのリサーチによると、主に欧州とアメリカのスポーツファンの方々の中で、93%の方が男性スポーツしか観ていません。しかしその中の63%は女性スポーツにも関心があることが分かりました。ではなぜ女性スポーツが見られていないのか。その理由として「選手やチームのことを知らない」「見る機会が少ない」「どこで試合が観戦できるかわからない」ことがあげられました。
更に日本国内においての女性スポーツのメディア露出は(DAZN 関連の調査で)、2020年は全体のわずか0.03%となっています。2021年はUEFA女子チャンピオンズリーグやWEリーグなどの権利獲得報道があったにも関わらず、0.07%という現状になっています。「この状況をどうやって打破していくべきか」、しっかり考えていけなければいけないと思っています。
左から今田素子、藤森三奈
この現状に関して、「メディアの責任が大きいと思っている」と話すのは自身もメディア事業を行う今田素子。
今田:メディアは人の人生や意識を変える力があると思っています。まずはそこを意識して、 メディアが感動を生み出すストーリを伝えていかないと女性のスターもリーダーも生まれないし、社会も変わっていきません。なので女性がメディアを通して、様々な場所に出ていく事がまず大切だと思っています。
日本女子プロサッカーリーグ チェア の岡島喜久子もこう続ける。
岡島:女子スポーツを推し進めていくため、特に次世代の女の子たちにスポーツの価値を伝えていくためにはメディアの力がとても大きいです。まずは女性が女子スポーツを応援していく事が大切なので、メディア側も含めて今の現状を変えていきたいと思っています。
日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」開幕後の ”いま”
日本初の女子プロサッカーリーグが開幕した中で、選手の荒川恵理子選手と田中美南選手はWEリーグの現状をこう語る。
荒川:まずWEリーグの開幕が決まって、メディアの方から取り上げて頂くことは増えました。でも実際には開幕したことを知らない一般の方が多くて、リーグもサラっと始まったという感じはしました。
田中:サッカー界において「WEリーグ開幕」は一大イベントで、盛り上がりを感じました。でも荒川選手と同じように、他のメディアでの盛り上がり方を見るとあまり盛り上がってないし、開幕してからもそれは変わっていないのかなと思います。
この現状に対して、スポーツメディアのプロデューサーである藤森三奈はこう語る。
藤森三奈
藤森:やはりメディアに取り上げられるには、男女の性別は関係なく「どれだけ人の心を動かせる選手か」というのがキーになってくると思います。そのためにはインタビューの際でも、ご自身のSNSでもなるべく多く発言して欲しいし、自分のことをさらけ出して欲しいと思います。そうすればメディアとの協力関係が上手くできて、メディアとしても「この選手に手を差し伸べたい」ということもあります。
なので、できるだけ「自分の個性をアピールする事」が大事だと思います。それはファンサービスにも繋がるし、皆さん、そしてWEリーグのストーリーに繋がっていきます。 この情報社会で、どれだけ自分をさらけ出すかがメディアと上手くやっていく方法ではないかと考えています。
普段、スポーツをあまり見ないという今田素子は客観的な立場からこう語る。
今田:個人の露出という点ではとても必要だと思っています。ですが、やはりどこかで広報機能を担う存在があって、スター選手を押し出していくことが大切だと考えています。もちろんご自身のプライベートを露出し過ぎるのも良くないですし、そのバランスを取るためにはチームの中にしっかりとした広報機能があると、より良いのではないかと思っています。
またリーグ全体としては、WEリーグが発足したことを「社会の変革の象徴」となるようなレバレッジを効かせることで、メディアを巻き込み、ストーリーをアピールする事で、スポーツメディア以外もWEリーグを取り上げ易くなるのかなと思いました。
今回は、女子サッカー界の中でどのような課題があるのか、選手、リーグ運営、メディア関係者という異なる立場の方々が議論を交わすことで、女性スポーツの現状とこれからの課題を深く知るきっかけとなった。 そして最後にはスピーカーの7名が「アイディアの短冊」に想いを綴り、このセッションを締めくくった。
また、こちらのセッションもアーカイブ配信がオフィシャルYouTubeチャンネルから視聴可能である。詳しくは下記からチェックしていただきたい。
Long Panel Discussion|Respect is knowing スポーツと女性のこれから
SPEAKER:岡島喜久子 荒川恵理子 田中美南 今田素子 藤森三奈 松岡けい 長田新子
AGENDA PARTNER:DAZN
<日付>11.10 WED
<時間>16:30-18:30
<場所>渋谷キャスト
<オンライン配信>オフィシャルCH
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