右足首の負傷でWBCを欠場していた日本ハムの大谷翔平投手が今度は左太ももを痛めて戦線を離脱した。野手に専念する形でシーズンを迎えたが、8日のオリックス戦の走塁で負傷。その後、左大腿二頭筋肉離れの2度と診断され、実戦復帰までは4週間を要する見…

右足首の負傷でWBCを欠場していた日本ハムの大谷翔平投手が今度は左太ももを痛めて戦線を離脱した。野手に専念する形でシーズンを迎えたが、8日のオリックス戦の走塁で負傷。その後、左大腿二頭筋肉離れの2度と診断され、実戦復帰までは4週間を要する見通しとなった。

■打者専念も左大腿二頭筋肉離れで離脱となった大谷

 右足首の負傷でWBCを欠場していた日本ハムの大谷翔平投手が今度は左太ももを痛めて戦線を離脱した。野手に専念する形でシーズンを迎えたが、8日のオリックス戦の走塁で負傷。その後、左大腿二頭筋肉離れの2度と診断され、実戦復帰までは4週間を要する見通しとなった。

 その後、インフルエンザB型を発症しており、リハビリの開始がずれ込む形となったが、同様の負傷の場合、一般的に実戦復帰までどのようなプロセスを踏むのか。専門家に話を聞いた。

「大谷選手は左大腿二頭筋肉離れと発表されました。大腿二頭筋とは、ももの裏にある筋肉です。サッカー、陸上、バスケットボールなどの競技で非常に肉離れが多い箇所です。一般的な分類として、3つに分けられます。

Ⅰ型(軽症)、筋腱移行部の血管損傷(筋組織)のみ。
Ⅱ型(中等症)、筋腱移行部(特に腱膜)の損傷。
Ⅲ型(重症)、腱性部(付着部)の完全断裂。

 一般的に復帰への目処としてはI型で3週、II型で4~8週必要になります」

 こう解説してくれたのはサッカー元日本代表MF中村俊輔(ジュビロ磐田)のパーソナルトレーナーを務める入船しんもり鍼灸整骨院の新盛淳司院長だ。これまで様々な肉離れの症例の治療に当たってきた同院長は左太ももの故障について以下のように話す。

■専門家から見る懸念点とは…

「今回はⅡ型に分類される肉離れと報じられています。しかし、同じⅡ型と言っても、重症度には幅があります。回復速度も個人差がありますので、復帰目処は、目安にしかなりません。大腿二頭筋肉離れは、再発の多い部位でもあるので、慎重なリハビリが求められます。アスリートのように専門家の管理下にない方は、痛みがなくなったから、と早期に復帰して再発するケースはよく見れらますので注意が必要です。痛みは、一つの信号でしかなく復帰には専門家の意見を聞く必要があります」

 また新盛院長は「大谷選手の肉離れについては、きちんとした時間をとってリハビリすれば、治癒するでしょう」とする一方、同様の肉離れが別の負傷につながる危険性があることも指摘する。

「復帰を焦ると、肉離れの再発を恐れるあまり、太ももをかばい、投球、バッティング、ダッシュの際に、肩や肘に余計な負担がかかる可能性があります。他の箇所が故障するという、負のスパイラルに絶対に陥らないようにしなければなりません」

 同院長が大谷について危惧するのは右足首の負傷と左太ももの肉離れの関連性だ。大谷は打者として迎えたシーズンで開幕から好調を維持し、8試合の出場で打率.407、2本塁打、3打点をマーク。順調に復帰への階段を上がっているかに見えたが、ここにきて負傷に見舞われた。

 同院長は「足首の故障をかばい、逆足の筋肉トラブルを新たに起こしてしまうケースは、プロサッカー選手でも大いにあります」と指摘し、「大谷選手の場合、大事なことは今後どうするかです。今回、左大腿二頭筋の肉離れの原因を考えた場合、右足首の怪我をかばった影響がどこまであるか、それを見極めることが、負のスパイラルを断つには不可欠になると思います」と話す。

 プロ入団から二刀流を貫き、際立った活躍を見せてきた右腕には海外からも大きな注目が寄せられている。オフから続く負の連鎖を断ち切り、再び躍進できるか。日本ハムの日本一連覇にもその力は不可欠だ。

◇新盛淳司(しんもり・じゅんじ)【新浦安しんもり整骨院入船院】【新浦安しんもり整骨院今川院】【クローバー鍼灸整骨院】代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。サッカー元日本代表MF中村俊輔をセルティック時代から支える。ブリオベッカ浦安チーフトレーナーも務める。