木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第8回 先月のコラムでは、妄想ゴルフ会員権購入話で盛り上がったのですが、そんな浮いた話はどこへやら......。私、今月はもう奈落の底へと落とされてしまいました。 なんというジェットコースター的人生なので…

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第8回

 先月のコラムでは、妄想ゴルフ会員権購入話で盛り上がったのですが、そんな浮いた話はどこへやら......。私、今月はもう奈落の底へと落とされてしまいました。

 なんというジェットコースター的人生なのでしょう。自分でもびっくりしています。

 実は私、突然右目の視力が落ちて、網膜剥離という失明にもなりかねない病気にかかってしまったのです。おかげで、手術&入院と大騒ぎとなり、右目が使えない状態がしばらく続いていました。

 さすがに片方の目だけでボールを打つのはしんどいので、約1カ月、ゴルフはお休み。でも、今では目もすっかり治って、ゴルフのスケジュールをバンバン入れていますので、ご心配なく。

 というわけで「休むもゴルフ」と題して、ラウンドを休んでいる時のゴルフは何をすべきか、考えてみたいと思います。

 元ネタは「休むも相場なり」という、株取引の格言です。

 相場には「買う」「売る」「休む」という3つの方法があり、何もしないこともアリとなっています。特に負け続けている人は、全体の相場を客観的に見られなくなっている可能性があるので、一度休んで、冷静になって相場観を見直してみるほうがいい、と言われています。

 翻(ひるがえ)って、ゴルフの場合はどうか。短期リタイヤにおいては、いろいろと考えるいいタイミングではないでしょうか。

 昨年から今年にかけて言えば、例年行事がこれほどできなかった期間はありません。毎年恒例のコンペは、コロナ禍によって全滅。泊りがけのリゾートゴルフというのも、まったくありませんでした。

 そういう意味では、休んでいる間にこの一年を振り返ってみたり、これまでのゴルフ人生について振り返ってみたりするのも悪くないと思います。

 私も休んでいる時には、過去を振り返り、テレビでトーナメントの観戦をし、自らのラウンドへの準備を整えていました。もちろん、いろいろと気晴らしもしていましたが、技術的な勉強をし、心の準備もしていました。

 ということで、その間、具体的にはどんなことをしていたのか、列挙してみたいと思います。まずはこれ。

●ゴルフを休んだ過去を振り返る
 ゴルフをやり始めて30数年、短期的に休んだことは結構あります。なかでも、情けなかったのは捻挫による離脱です。

 約20年前のこと、冬のゴルフ場でズボンのポケットに手を突っ込んで歩いていたら、斜面でスッ転んで右足首をギクッとやってしまったのです。当日は我慢して、その後もプレーを続け、車を運転して帰ったのですが、夜からものすごく腫れて病院へ行くことに......。結局、ひと月以上、ゴルフができませんでした。

 さらに、四十肩で1回、五十肩で2回ほどリタイヤ......って、なんだんねん。これらは1回やらかすと、腕が上がらず、ひと月はゴルフができなくなります。多少は打てても、フルショットなんてできません。

 また、治ったとしても、しばらくは体が回転してしまう、へんてこな打法になります。ただこれは、日本ツアーでも話題を振りまいたチェ・ホソン選手のスイングに似ていることに気がつきます。

 このスイング、決して笑うべきことではないのです。チェ選手自身、指をケガして不自由になったことで、体全体でパワーを生み出すスイングを試みた、その結果だと言っています。

 ちなみに、現在私は六十肩にはなっていません。そうならないように工夫をしたからです。

 五十肩になる原因は、私の場合、姿勢の悪さからくる肩の関節炎でした。パソコンで作業をしていると、そのうち猫背になって、俗に言う「巻き肩」になり、指から腕、肩へと凝りが回って五十肩が発生していたのです。

 そこで、ノートパソコンで作業をする際は、別売りのキーボードを手元に置いて、猫背にならないように姿勢を正してキーを打つようにしました。現在、これが功を奏して、六十肩になっていません。

 五十肩で困っている方は、とにかく変な格好で長時間労働しないこと。その点をすぐに解消しましょう。

 ゴルフにおいても長期で休むはめになった時は、その原因を究明し、今後はそうならないように心がける。それが、大事です。

 これからの冬場、ゴルフ場ではポケットに手を突っ込んで歩かないようにしましょうね。

●トーナメント観戦
 普段からプロトーナメントはテレビでよく見ていますが、休んでいる時は欠かさず見ていたような気がします。日本で開催されたPGAツアーのZOZOチャンピオンシップなんか、入院中で暇なもんだから、午前のラウンドからBS放送でがっつり見ていました。

 それにしても、松山英樹選手の強いこと。2位に5打差のぶっちぎり優勝で、まさに王者の風格が漂っていました。

 実際のところ、最終日の17番ホールまでは、2位とはわずか2打差。最後に並ばれる可能性もあったのですが、相手がボギーを叩く一方で、松山選手はイーグルフィニッシュ。以前、タイガー・ウッズが優勝した時のような、オーラを感じました。

 しかも、「調子は今ひとつだったけど、みなさんの応援があったから、頑張ることができた」なんて、大人のコメントを出すじゃないですか。松山選手、好感度がさらにアップしました。

 一方、女子では渋野日向子選手が樋口久子 三菱電機レディスで優勝。プレーオフを制して、今季2勝目を飾りました。この戦いにも身震いしました。

 今年の中でも大いに盛り上がったトーナメントを存分に堪能できた点は、ゴルフを休んでいてよかったのかな? そう解釈したいと思います。実際、渋野選手の最後まで絶対に諦めない精神――これには、とても勇気づけられましたからね。

●健康に留意
 網膜剥離と言うと、顔面を強打されるボクシングの選手がよくなる病気と思っていましたが、今回老化でもなることを知りました。要するに、網膜からの出血です。それは、動脈硬化の"シグナル"と受けとっても構わないと思います。

 ですから、現在は懲りて、バカ食いは控え、散歩多めの人生を送っています。断食するようなダイエットはイライラするので、ただひたすら歩くようにしています。

 そうして最近は、ものすごく健康を意識するようになりました。日本人男性の平均健康寿命って、72歳台ですよ。同じく日本人男性の平均寿命が81歳台ですから、最後の約9年間はスポーツなどができない体になってしまうということ。できれば、そうならないようにしたいじゃないですか。

 じゃあ、どうすればいいのか。私は嫌いな野菜ジュースを毎日飲むことから始めています。

 今回の入院で、やっぱり自分はもう少し長生きしたいんだ。生への執着がすごくあるんだってことがよくわかりました。



ゴルフをより楽しむためには、時に休むことも必要かもしれませんね...

●ゴルフギア&用品の整理
 ゴルフクラブについては、頻繁に入れ替えているので、常にラインナップはそろっています。問題は、やたらと重いキャディーバッグの中身です。

 今回、ちょうどいい機会だったので、中身を全部調べてみました。すると、カイロや保冷剤、日焼け止めの類いが山ほど出てきました。あと、ロストボールも。いつの間にか拾っていたんですね......って、犬かよ。

 こうした掃除癖はエンジンがかかると止まりません。そのままキャディーバッグの中身を探ると、タオルやティッシュなどがごっそり。その多くはバッグの底でガビガビになっていました。さらに、帽子を整理してみると、どこかでもらったり、観光のついでに買ったりしたものが20個以上も出てきました。

 そんなわけで、いよいよ年末。少し早いですが、みなさんも今一度、今年のゴルフ、自分のゴルフ人生を振り返ってみてはいかがでしょう。一度整理すると、妙にやる気が出てきますよ。