D.LEAGUE(Dリーグ)のセカンドシーズンが始まった。今年7月に幕を閉じたファーストーズンから約3カ月のシーズンオフを経て、昨シーズンの9チームに更に新規の2チームが加わり、全11チームというボリ…

D.LEAGUE(Dリーグ)のセカンドシーズンが始まった。今年7月に幕を閉じたファーストーズンから約3カ月のシーズンオフを経て、昨シーズンの9チームに更に新規の2チームが加わり、全11チームというボリュームでのスタートだ。

なんといっても、9月30日での緊急事態宣言が明けたため、11月14日、会場の東京ガーデンアリーナには観客の姿があった。未だ座席は半数の開放、拍手はOKだが声援はNGという縛りはあったが、ライブで演技が見られることを待ち望んでいた観客の喜びで、会場には暖かでハッピーなオーラが充満し、足を踏み入れた瞬間、自然に笑顔がこぼれる。

2年目のDリーグへの期待がいやがおうにも高まると共に、あらためて、ファーストシーズンのほとんどを無観客で頑張ってきた全Dリーガー達の心持ちを想い、労いと感謝の気持ちで胸がいっぱいになるのを感じていた。

2年目に入り、様々な進化を遂げたDリーグだが、今季から、ファーストシーズンでは有料会員のみに許されていたオーディエンスジャッジとしてのポイント投票が無料会員にまで解放され、より広範のダンスファンから直接の意向が汲み取られるようになった。これまでも、審査の最後に付加されるオーディエンスジャッジによって順位が入れ替わることは何度かあったが、インターネットを介し日本中、いやもしかしたら世界中のダンスファンからの清きオーディエンス票が投票され、最終結果に反映されるのだから、今後はさらに予断をゆるさないスリリングな展開となるだろう。

◆“ダンスの救世主”カリスマカンタローかく語りき 「絶対やり遂げてから死ぬ」覚悟

■ラウンド1はDREAMSとLUXの同点優勝

KADOKAWA DREAMS(C)D.LEAGUE 21-22

セカンドシーズンのラウンド1は、新規参加チームのdip BATTLESを皮切りに、SEPTINE REPTURES、Benefit one MONOLIZ、USEN-NEXT I’moon、KADOKAWA DREAMS、avex ROYALBRATS、CyberAgent Legit、LIFULL ALT-RHYTHM、FULLCAST RAISERS、KOSE 8ROCKS、SEGA SAMMY LUXの順番でパフォーマンスが行われた。この日の11チームは、先日開催されたプレスカンファレンスでのお披露目で感じた以上に、いよいよ各チームの個性が際立ち、全Dリーガーの「“自分たちの踊り”を踊りきる」という熱い想いと、決意のみなぎりが伝わる、素晴らしい演技が繰り広げられた。

ここで、全ての演技について詳細にご紹介したいところだが、膨大な長さになってしまいそうなので、今回同点優勝となった2チーム、KADOKAWA DREAMSとSEGA SAMMY LUXに触れてみたい。

5番手となったKADOKAWA DREAMSは、チーム紹介欄でも「見た目もダンススタイルもバラバラ」と謳っている通り、個性溢れる男女混合のメンバーで、総勢16人という大所帯。そこから、ラウンド1のために選ばれた8名がダークスーツにハットという、通常の彼らのイメージを払拭するようなシックな出で立ちで登場し、彼らの得意とするストリート感あるヒップホップスタイルから一転、大人のテイストを身に纏い、ジャズもバレエもフュージョンされた新しい「DREAMS」を見せてくれた。

表現の幅と奥行きの深さが増し、見るものを惹き込む独特の世界観に、レギュラー・エンターテイナージャッジのテリー伊藤氏も「成長した」と絶賛。「練習中、ハットの角度、ジャズの音嵌めのタイミング等、とにかく一挙手一投足のクオリティを上げることに専念した」というDREAMS。メンバーのMINAMIが放った「自分たち格好いい!と言える踊りが踊れました!」の言葉通り、総得点93点という高得点で1位に輝いた。

■ルールも改変、戦術の変化も要注目

SEGA SAMMY LUX(C)D.LEAGUE 21-22

一方、パフォーマンス順11番手、ラウンド1のトリを務めたSEGA SAMMY LUXは、踊り出しから16ビートをフルに使ったエネルギッシュで爆発力ある大迫力のステップが炸裂。「ダンサブル!」と叫びたくなる、見ている方もじっとしていられなくなるような勢いに満ちた踊りは、リーダーのCANDOOが「魂を込めて踊ることができた。生の、ライブのダンスが踊れた」と言った通り、その圧巻の高速ステップは、そこにいる人すべてのハートを掴んだ。

ラウンド後の会見でも、「観客の“圧”をリアルに感じて表現できたことが1位に繋がった」と有観客の有難さに言及したCANDOO。そして、「ファーストシーズンでメンバー皆がすごく成長した。Dリーガーとしての責任感やプライド、ダンスだけじゃない部分の成長も含めて、“分厚く”なった。もっともっと分厚くなる」と、彼が語った言葉は胸に強く残った。その意気が、Dリーグ全体に浸透し、実現してゆく様が見えるような気がしたのは筆者だけではないだろう。

どちらのチームも、オフシーズンには一般公開のワークショップ等を積極的に実施し、ファン作りの努力もしてきたという。自分たちのための練習だけでなく、そのように、Dリーグのミッションである「世界中すべての人に『ダンスのある人生を』もたらす」ための、ダンスの裾野を広げる地道な努力も、“ダンスの神様”はしっかりと見ていたのかもしれない。

ここからまた、約2週間隔で全12ラウンドという、非常に過酷なスケジュールで闘いが続いていくが、セカンドシーズンからはルールが改変され、12ラウンド後にチャンピオンシップへ進むチーム数が6チームとなる。「ワイルドカード」の適用により、レギュラーシーズンの上位4チームに加えて、ジャッジポイント1位のチームとオーディエンスポイント1位の2チームを加えた6チームによるトーナメント制によって優勝チームが決定する。また、さらに公平なジャッジを行うべく、8人中4名を占める“ダンサージャッジ”は、各ジャンルで権威あるダンサー8名によるローテーション制がとられるという。これらの改変により、勝ち残っていくために、採るべき戦術も変わってくるに違いない。

ことほど左様に、各チームの戦い方にまで思いを至らせるなど、観る側の面白味もさらに増して展開されることになるであろう、2年目の進化したDリーグ。チケットも現在は一般販売が開始され、ライブに足を運べるようになっている。時代の目撃者となるべく、ぜひ一度、今後日本のスポーツエンターテイメントの一角を占めることになるに違いない、“世界初のダンスリーグ”をライブで味わいに行ってみてはいかがだろう。

◆THE GREAT HEART of“8ROCKS” ブレイキン世界一のISSEI率いる熱き魂

◆Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が超えていくもの 「ダンスで新しい世界を」

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(C)D.LEAGUE 21-22

著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター 『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー。