SUPER GT開幕戦は9日、岡山国際サーキットで決勝日を迎え、GT500クラスは6台参戦のレクサス勢が1-2-3-4-5-6フィニッシュを達成。乱戦模様の展開のなかで、ニューマシン「LC500」が前評判に違わぬ速さをしっかり見せつけた。優…
SUPER GT開幕戦は9日、岡山国際サーキットで決勝日を迎え、GT500クラスは6台参戦のレクサス勢が1-2-3-4-5-6フィニッシュを達成。乱戦模様の展開のなかで、ニューマシン「LC500」が前評判に違わぬ速さをしっかり見せつけた。優勝はトムスの平川亮&ニック・キャシディ組。
決勝日、岡山国際サーキットの天候は朝から小雨~曇り~晴れという概ねの推移。今季からファンのためにより一層内容を充実させたオープニングセレモニー等を経て、午後2時34分のパレードラップスタートを迎える頃には明るい陽も差し、路面は完全ドライといえる状況になっていた(気温19度、路温25度)。
レースは開始早々、いや実質的には始まっていないうちから波乱が相次いだ。パレードラップ発進時以降、GT500のホンダNSX-GT勢にトラブルストップと見られる状況が連発してしまったのだ。
NSXは結果的にこのレース、5台中4台がリタイアもしくは勝負権喪失。そのなかにはポールポジションの#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀&小林崇志/タイヤはブリヂストン=BS)も含まれていた。ポールからの発進で粘る、というドライバー両名の誓いは、それを試みる機会さえなく潰えてしまっている。
フォーメーションラップ中の赤旗中断から、1周減算の81周となってセーフティカー(SC)先導ランで始まったレースは、その後も乱戦模様になっていった。新季開幕戦はSC導入が相次ぐ長いレースと化していくが、GT500クラスの戦況は、10周を過ぎる頃にはレクサスLC500の1-2-3-4-5-6態勢がほぼ確立されることとなる。
NSXが全滅に近い状況に沈み、日産GT-R勢も予選同様に下位低迷というなか、LC500軍団が前評判通りの強さを発揮したわけだが、レクサス勢の同門バトルは終始、熱い展開だった。強いレクサスのなかでも勝つのは自分たちだ、という意地がぶつかり合う、素晴らしいバトルの連続だったといえよう。
それを制して勝ったのは、#37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N. キャシディ/BS)。平川とトムスチームにとっては15年最終戦以来、キャシディにとっては初優勝となった。
平川はレースを振り返り、まずは実質的なレーススタートの直後に「まだみんなのタイヤが冷えている状態の時にニック(キャシディ)がトップに立ってくれたこと、それが良かったと思います」と僚友に賛辞を贈る。そして「僕がバトンを受けた時は、ピットインのタイミングとかで前に出られたマシンを抜かないといけなかったのでタフな状況ではありました。後半パート用に選んだタイヤがハードすぎたところもあったんですが、(後半にも)SCが出て実質的な周回数が減る(後続車のチャンスが減る)などの運も味方してくれましたね」と、決してラクな展開ではなかった旨を話す。
しかし、自らの好走と「チームとニックがいい仕事をしてくれました」という勝因の連鎖で、平川は勝利をつかんだ。レクサス勢同士の激戦を制しての価値ある勝利で、接戦が予想されるタイトル争いにまずは先手を打った格好だ(成績連動のハンデ制度の影響で、一概に先手有利とはいえない面もあるのがSUPER GTではあるが)。
初優勝のキャシディは「テストの段階からマシンの速さには自信があったし、昨季をチームとともに戦って得た自信も自分にはあった。今日はスタート(のパッシング)もパーフェクトだったよ。思った通りのレースになって良かった」と喜びを語っている。
1994年生まれ同士の若手気鋭コンビが、レクサス圧勝の予感も漂うシーズンの最初のウイナーとなった。
決勝2~6位は以下の通り。タイヤ面ではブリヂストンが1-2-3-4-5フィニッシュを成し遂げている。
2位 #6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&A. カルダレッリ/BS)
3位 #1 DENSO KOBELCO SARD LC500(H. コバライネン&平手晃平/BS)
4位 #38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)
5位 #36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&J. ロシター/BS)
6位 #19 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛&国本雄資/ヨコハマ=YH)
ホンダ勢では展開上、大きなトラブルなくレースを終えたと見られるのは#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀&中嶋大祐/YH)のみで、9位。また、厳しい開幕戦となったのは日産勢も同じで、#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R. クインタレッリ/ミシュラン=MI)の7位が最高という結果に。レクサスの強さだけが際立つ開幕戦決勝だった。
第2戦は5月3~4日、ゴールデンウイーク恒例の富士500km戦となる。レクサスがこのまま17年規定車元年を圧倒するのか、あるいはホンダと日産が、通常より200kmロングの長距離戦であることと、レクサス勢に重いウエイトハンデが積まれる状況を利して、巻き返しの予兆を見せるのか。1メーカー圧勝でも面白い展開になる今季のSUPER GT、約1カ月先の戦いが今から楽しみだ。
GT500クラスの表彰式(中央左がキャシディ、右が平川)。《撮影 益田和久》
決勝1位の#37 LC500。《撮影 益田和久》
決勝1位の#37 LC500。《撮影 遠藤俊幸》
決勝2位の#6 LC500。《撮影 益田和久》
決勝2位の#6 LC500。《撮影 遠藤俊幸》
ポール発進だった#8 NSX(左はドライバーの野尻)。《撮影 遠藤俊幸》
しかし#8 NSX(写真先頭)には不運が待っていた。《撮影 益田和久》
決勝3位の#1 LC500。《撮影 益田和久》
決勝9位の#16 NSX。《撮影 益田和久》
決勝7位の#23 GT-R。《撮影 益田和久》
GT-RとNSXは次戦以降、厳しい戦局を打破できるか。《撮影 益田和久》
今年も盛大にスタートしたSUPER GT。《撮影 益田和久》
#38 セルモチームの石浦宏明(左)と、チーム創始者である名将・佐藤正幸氏のバースデー祝い。《撮影 遠藤俊幸》
優勝会見にて。右から平川、キャシディ、GT300クラス優勝の谷口信輝、片岡龍也。《撮影 遠藤俊幸》
岡山戦を終え、次なる戦いはゴールデンウイークの富士スピードウェイ。《撮影 益田和久》