木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第7回 緊急事態宣言が解除され、新型コロナウイルスの感染拡大もだいぶ落ち着いてきたので、ゴルフのスケジュールをバンバン入れています。 それはよろしいのですが、自分は子どもの頃から続いている妄想癖があり、そ…

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第7回

 緊急事態宣言が解除され、新型コロナウイルスの感染拡大もだいぶ落ち着いてきたので、ゴルフのスケジュールをバンバン入れています。

 それはよろしいのですが、自分は子どもの頃から続いている妄想癖があり、それが最近ゴルフに飛び火してやや困っています。

 子どもの頃は地図と時刻表が好きで、自分の頭の中で"妄想旅"を繰り広げたものです。

 妄想といえども、馬鹿にするなかれ。これは、ものすごくたくさんの人が同様のことをやっていると思います。それが証拠に、現在BS日テレでは『友近・礼二の妄想トレイン』(毎週月曜、21:00~)なる番組がオンエアされていて、多くの人がやっているであろう妄想旅の再現版として、人気を博しているのです。

 具体的にどんな内容かというと、理想の旅を妄想し、そのプランに沿ったものを番組スタッフが撮影。その映像を見ながら、旅した感覚に浸るといったものです。

 そして、この前は兵庫県の"天空の城"竹田城跡の、朝もやを見に行くプランの妄想旅でした。

 これ、実際の旅行だと、朝4時に起きて宿泊先を出発しなければいけません。リアルはそこが難しいところです。また、実際に苦労して行ったはいいけど、朝もやにならず、ただの雨になるリスクさえありますから。

 そういう時、妄想旅の番組なら、現場にいったスタッフやリポーターがオイシイところだけピックアップしてくれるので、精神的にすごくラクです。妄想旅はいつでも最高の旅環境を作ってくれる。ボンボヤージュ!

 そんなわけで、子どもの頃の妄想癖の延長はいまだ続いております。ゴルフの場合は、ゴルフの会員権相場表を見ながら、「もし自分がメンバーになったら、どんな生活を送るかな」と妄想するのが楽しいのです。

 過去に自分はそうした妄想を経て、実際に南総カントリークラブ(千葉県市原市。1992年頃入会。購入価格1450万円)、鶴舞カントリー倶楽部(千葉県市原市。1998年頃入会。購入価格580万円)のメンバーになっていました。

 最初に南総CCの会員となりましたが、経営危機が囁かれたため、同コースを退会。その後、鶴舞CCのメンバーとなりました。どちらも会員権はローンでの購入です。

 ところで、なんで当時、市原市にある南総CCのメンバーになったかですが、それは東京湾アクアラインができて、交通の便がよくなるからです。ついでに会員権価格も値上がりし、ぼろ儲けするという妄想もしていました。

 当時の高速道路は、京葉道路が館山道とつながっていなくて、開通していたのは浜野IC(現在の蘇我IC付近)まででした。市原のゴルフ場に行くにはそこから一般道をえっちらおっちら。行きはいいのですが、帰りは大渋滞で大変でした。ゴルフ場を出てから浜野ICにたどり着くまで2時間、なんてこともありました。

 それでも、アクアライン開通までの辛抱と思っていたのですが、結局1997年の開通を待たずに南総CCの会員権は売ってしまいました。

 馬鹿なことをと思うでしょうが、南総CCは当時経営不安説が流れ、挙句、経営側とメンバー側とで運営権を巡ってトラブルとなってしまうのです。あの時は、やめて正解でした。

 そんな南総CCも今はすっかり元気になって、健全経営で運営しています。ここは「また戻ってもいいかな」と思うくらいのいいコースです。

 それにしても、当時は東京湾アクアライン開通を当て込んで、お金儲けしようと企んだ人の多かったこと。ゴルフ会員権は、純粋にプレーを楽しまないといけませんよね。

 南総CCのあと、鶴舞CCのメンバーになりますが、2つのコースにはある共通点がありました。それは何か?

 どちらも36ホールある、大型コースでした。

 ただ、18ホールのコースがふたつある場合、どちらかが人気となり、人気コースに予約が集中。実際に使えるのは18ホールのみ、ということが往々にしてあります。しかも、メンバーは18ホールの倍いますから、ものすごく混むことが多いです。

 ところが、南総CCは東西どちらのコースも人気で、豪快な西、趣のある東という評価でした。一方の鶴舞CCも、東西どちらのコースも人気があって、甲乙つけがたい評価となっていました。そういう部分を調べて、南総CCの次は鶴舞かなと思ったのです。

 鶴舞CCでのメンバー生活は楽しかったです。でも、いろいろあってやめることに。

 こちらも、退会したあとに館山道や東京湾アクアラインからの圏央道が一気につながり、鶴舞ICができて超便利に。またしても、なんだんねん。館山道の姉崎袖ヶ浦ICを降りて、えっちら30分以上も下道を運転していたのが懐かしいですな。

 という過去を踏まえて現在に至り、またしても会員権購入妄想癖が起こり、最近は連日相場表を見ています。

 それでは、会員権の購入とはいったい何なんでしょうか。

 それは、結婚と一緒です。そのこころは?

 冷静だったら、絶対にしない(買わない)......って、ちょっと問題発言ですが、あくまでパーソナルな妄想ジョークということでお許しを。

 ゴルフ会員権(預託金方式の場合、株主会員権を除く)とは、不動産の購入とは少し違います。あくまでもプレー権を買うのです。

 ならば、多くのコースでビジターもプレーできる現在、あえてメンバーになるメリットはあるのか?

 それは、舶来の腕時計をするようなものでしょうか。

 スマホ全盛の今、時計の必要性はないでしょうけど、腕時計の需要はあります。会員権はそれと同じニュアンスかな、と。高級外車、高級腕時計、ゴルフ会員権は、オヤジの"3大道楽"とも言えますからね。

 ということで、もし今、自分の目の前に現金500万円あったら、どのコースの会員権を購入するか。まずは関東のコースを3つ、選択肢に挙げるでしょう。

 具体的に名前を出すと、会員権屋さんの手先と思われかねないので、やめておきますね。ここからはイニシャルでの紹介とします。

 第一候補は、茨城県の「R」。第二候補は埼玉県の「H」。そして、第三候補は神奈川県の「R」です。

 いずれも古い名門コースで、電車のアクセスがいいです。つまり、クラブバスの本数が多く、いつでも気軽に電車ゴルフを楽しめます。

 これは、今からだんだん歳をとり、車を運転してゴルフなんてできなくなるのを予測してのプランです。どうです、先見の明があるでしょ。

 でも、今から会員権を買ってゴルフをしても、せいぜい20年。そのために500万円を払うのか? ゴルフをやめた時に会員権を売れば、お金は半分以上戻ってくるでしょうけど、その頃には棺桶に片足を突っ込んでいる状態かもしれませんから、さほどうれしくないです。

 あと、メンバーライフを送るには、図太い精神力も大事になってきます。南総CCや鶴舞CCでも誰も知り合いがいないなかでメンバーになって、転校生みたいなものでしたから。

 それでもその頃は、若くて勢いもありましたから、メンバーデーや競技に参加して、顔見知りを増やしていきました。しかし今、老いて誰も知らない倶楽部のメンバーになって、そこまで積極的に動けるのか? メンバーとして、メインストリートを歩めるのか?

 いじめを受けて、すぐやめたりしたら、元も子もありません。まあ、いじめはないとしても、やんわりしたパワハラはあります。上から目線というか、そういう陰湿な部分はどのコースでもありますから。

 そこで、改めて思うのです。そんな未知の倶楽部に500万円も払って行く価値があるのかな、と。


盆栽でコースを再現することはないでしょうが、お目当ての倶楽部の

「メンバーになったら......」と妄想するのは楽しいものです

 メンバーシップコースに通うということは、銀座の高級寿司屋にひとりでふらっと行って、大将とカウンターで語りながら、楽しいひとときをすごす――そんな感覚に似ています。

 要は、日曜日にふらっとひとりでコースに行って、メンバーと仲よく回れるか? そういうことです。

 とまあ、いろいろとあ~でもない、こうでもないと思いを巡らせているうちが花なんですかね。何か決まりましたら、また報告させていただきます。