米ツアー7勝目を飾った松山に進藤氏「余力さえ感じた」 米男子ゴルフツアー日本開催大会のZOZOチャンピオンシップ最終ラウンド(R)が24日、千葉・アコーディア習志野CC(パー70、7041ヤード)で行われ、松山英樹(LEXUS)が通算15ア…

米ツアー7勝目を飾った松山に進藤氏「余力さえ感じた」

 米男子ゴルフツアー日本開催大会のZOZOチャンピオンシップ最終ラウンド(R)が24日、千葉・アコーディア習志野CC(パー70、7041ヤード)で行われ、松山英樹(LEXUS)が通算15アンダーで優勝を飾った。2位キャメロン・トリンゲール(米国)に一時は抜かれながらも、終わってみれば5打差をつけて米ツアー7勝目。松山の元キャディーでゴルフ解説者の進藤大典氏は「これぞマスターズ王者の勝ち方です」と歓喜した。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)

 最終18番パー5。3メートル、スライスラインのウイニングパットを決めた松山が、両手を挙げて満面の笑みを浮かべた。ウェアはマスターズを制した際と同じく、薄黄色の勝負カラーを選んだ。日本人初の快挙を達成した6か月前はパーパットを外したが、今回は鮮やかなイーグルで締めくくった。

「マスターズ以来の優勝は、日本で遂げることができ本当にうれしいです。たくさんの方々の応援のおかげで、最後まで集中力を切らすことなくプレーできた。ありがとうございます」

 優勝スピーチで感謝を口にした松山。その姿を見つめていた進藤氏は「余力さえ感じるマスターズ王者の勝ち方でした」とうなずき、こう続けた。

「10番で逆転されても慌てなかったですし、11番ですぐに追いつき、勝負どころの15番で突き放す。そして、あの18番ですからね。もう、完璧です」

 進藤氏は、2013年4月から19年3月にかけて松山のキャディーを務めてきた。明徳義塾高、東北福祉大の先輩でもあり、松山のプロ転向に合わせてサポートを始め、現在も交流を続けている。だからこそ、プレーの状況、心理が良く分かる。この日に関しては「決して無理はせず、狙うホールは大胆に攻めていました」と振り返った。

松山の攻め方に感じたこと「フィーリングがかなり良かったのだと思う」

 最初に「狙った」と感じたホールは、6番パー5だ。池越え右ドックレッグだが、第1打は大胆なショートカットの上にスライスをかけて、フェアウェーをとらえた。そして、2オンに成功して10メートルのイーグルパットを決めた。

 さらに池越え左ドッグレッグの10番パー4でも、最短距離で第2打を残り90ヤードにつけた。前日は左に大きく曲げた左ドッグレッグの18番パー5でも、左コーナーを狙った第1打で、フェアウェーをとらえた。こうした攻め方について、進藤氏は「英樹は自信がないとやらないタイプなので、ショットのフィーリングがかなり良かったのだと思います」と分析した。

 優勝を決めた後、松山は「2年ぶりの(日本)開催ということもあり、上限はありましたが、たくさんの方々に来ていただきありがとうございます」と言った。2年前の同大会は、タイガー・ウッズとの一騎打ちになっての2位。昨年はコロナ禍を理由に米国開催となり、今回は「1日上限5000人」に入場制限するなど、感染対策をした上での日本開催。18番グリーン奥に巨大テントを立て、VIPをもてなす本場と同じ設定がされた中、期待の松山がリベンジ優勝を飾った。

 今年4月のマスターズでは、日本人男子として初めてのメジャー大会王者にもなった。それにもかかわらず、「松山に国民栄誉賞」の声は上がらなかった。米ツアー3勝の丸山茂樹も、今大会のテレビ中継で「もっと、騒ぎになってほしかった」と言ったように、多くのプロゴルフ関係者は「松山はもっと世間に評価されるべき」と願っている。今回の優勝は、そこに向けた意義ある「新たな一歩」になった。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)