ロジャー・フェデラー(スイス)はプレーする際に、小さな騒音に煩わされることはない。それどころか歓迎さえしている様子も見せる。 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金…

 ロジャー・フェデラー(スイス)はプレーする際に、小さな騒音に煩わされることはない。それどころか歓迎さえしている様子も見せる。

 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、第4シードのフェデラーは劣勢を覆して、第10シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)を倒した。この激しい3セットマッチの間、観客たちは明らかにフェデラーのほうに肩入れして応援していたのだが、このグランドスラムの王者は、いわばテニスの伝統である、ポイント間にできるだけ静粛にするようにとの観客への呼びかけについて聞かれ、こう答えた。

 「ときどき赤ん坊が泣いたりするのは、言うまでもなく、それほど気にならない。そういうのには、かなり慣れている」と2組の双子の父であるフェデラーは言った。「それもテニスの一部なんだ。正直言って、テニスで観客がすごい騒音を立て、またものすごく静かになり、それからまた超喧しくなるのは、すごく素敵なことだと僕は思っている。それがテニスをとても特別なものにしているんだ」。

 ベルディヒの最高のショットは、もっともいい場合で礼儀正しい拍手を受けるのがせいぜいだった。フェデラーのウィナー、あるいはベルディヒのミスさえが、轟轟たる歓声を引き出した。そしてベルディヒは過去に、自分は例えば全米オープンのように客席からの興奮が激しく伝わってくる環境より、典型的なウィンブルドンの雰囲気のように静かな環境のほうが好きだと言っていた。

 フェデラーが見せたスタンスは、過去にノバク・ジョコビッチ(セルビア)やマリア・シャラポワ(ロシア)が示したスタンスに類似している。

 そしてこの議論は、もう何十年も激しく繰り返されてきた。

 フランスの元スター、セドリック・ピオリーンは1993年、全米オープンの観客について「いいものじゃない」と言った。声援云々以上に、ポイント中にしゃべったり動き回ったりする者の多い全米の観客に難色を示す選手は、昔から少なからずいる。

 先週末、キルステン・フリプケンス(ベルギー)とドミニカ・チブルコバ(チェコ)の女子の試合の間に、喧しい観客に対して主審から短い“たしなめ”があったが、大会の間、マイアミの観客についてのプレーヤーからの不平はほとんどなかった。

 「もし、より叫び声や喚き声があがり、より動きがあっても大丈夫だよ」とフェデラーは言った。「皆が非常に静粛であってほしいと願うポイントはある。それに異議は唱えない。それは、よりよい雰囲気を生み出す役に立つが、でも我々は練習で非常に多くの違ったコンディション下でプレーしているから、多少のことには対処できるようであるべきだよ」。(C)AP