アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝。ロジャー・フェデラー(スイス)の進撃は、終焉まであと1ポイン…
アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝。ロジャー・フェデラー(スイス)の進撃は、終焉まであと1ポイントというところにあった。トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)に対して、第3セットのタイブレークで4-6とリードされた彼の状況は、どう見ても絶対絶命だった。
しかし、そんな瞬間でさえ、フェデラーはいくばくかの希望を感じていたのだという。
「僕はあのときでさえ、状況を逆転できると信じていた」とフェデラーは言った。
なぜかは説明しがたいが、彼は正しかった。そして彼の2017年の輝かしいスタートは、いまだ続いている。第4シードのフェデラーはその2つのマッチポイントをしのぎ、第10シードのベルディヒを6-2 3-6 7-6(6)で退けた。これは、彼がいまだ“勝つべき試合だった”と考えている、7年前のマイアミ・キービスケーンにおけるベルディヒに対する第3セット、タイブレークの末に敗れた、あの試合のリベンジでもあった。
「信じられないほどラッキーだった」と試合後、フェデラーは言った。「どちらにも転び得た。今日の試合は、(7年前とは逆に)僕が負けてしかるべきだったんじゃないかとさえ感じた」。
フェデラーは今、2017年の戦績を17勝1敗に伸ばし、準決勝で第12シードのニック・キリオス(オーストラリア)と対戦する。
キリオスは、2時間半を要した最後の男子準々決勝で、第16シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を6-4 6-7(9) 6-3で倒した。キリオスは16本のサービスエースを決め、ダブルフォールトは皆無で、一度も相手にブレークポイントを与えなかった。反対に19歳のズベレフは最終的に屈する前に、5度ブレークポイントをセーブした。
ズベレフは第2セットのタイブレークで3つのマッチポイントをしのぎ、そのセットを奪った。第1セットのあるポイントで、得意の股下ショットを放って成功を収めていたキリオスは、セットポイントでも股下ショットにトライしたが、このときには失敗に終わった。
「自分が何を考えているのかわからないよ」とキリオスは言った。
彼はそこから立ち直って勝利をおさめ、今、フェデラーと対戦することになった。彼はフェデラーを「史上もっとも偉大な選手。僕のお気に入りのテニスプレーヤー」と呼ぶ。フェデラー対キリオスは、ある意味で今年のインディアンウェルズ(ATP1000)の準々決勝のリマッチだ。そのときにはキリオスが食あたりのために棄権を余儀なくされていたのである。
もうひとつの準決勝は、第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)とノーシードのファビオ・フォニーニ(イタリア)の対戦だ。ということはつまり、日曜日の決勝がフェデラー対ナダルとなる可能性は、いまだ生きている。
「そうなったら素敵だね」とフェデラーは言った。
フェデラーは今大会でプレーしたタイブレークで、4勝0敗という勝率を誇っているが、最初の3つのどれもが“準々決勝のそれ”ほどプレッシャーに満ちてはいなかった。彼は5-3から自分のサービスに入ったが、そこでブレークされて、しかし、次のベルディヒのサービスゲームでマッチポイントを握ったがものにすることができなかった。それから、もつれ込んだタイブレークで一時4-6とリードされたが、最後の4ポイントを連取して勝利をもぎ取った。
実際、ベルディヒはトータルで91ポイントを取り、フェデラーは89ポイントだった。ベルディヒが勝つためには92ポイントが必要だったのだ。彼は最後の2セットでビッグショットに次ぐビッグショットを放っておきながら、1本のダブルフォールトによってすべてを台無しにしてしまった。それは最後のポイントだった。
「僕はたった1ポイントの差で負けた。それが今日起こったことだ。非常に簡単でわかりやすいことだよ」とベルディヒ。「自分のサービスをキープすれば勝ちという立ち場にいたのは彼だったが、彼はそれをやってのけられなかった。僕は2本のマッチポイントを握り、それをものにできなかった。それ以外、何が言えるというんだい?」。(C)AP