木村和久の「新・お気楽ゴルフ」連載◆第6回 新型コロナウイルスの感染拡大は、第5波が終息に向かいつつあり、うれしい限りです。これで、およそ600万人のアマチュアゴルファーも、秋から堂々とゴルフができるってものです。期待しましょう。 ここで問…

木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第6回

 新型コロナウイルスの感染拡大は、第5波が終息に向かいつつあり、うれしい限りです。これで、およそ600万人のアマチュアゴルファーも、秋から堂々とゴルフができるってものです。期待しましょう。

 ここで問題になるのは、最近増えたビギナーたちの行く末です。せっかくゴールを覚えたのですから、未来永劫ゴルファーとして、すくすく成長してほしいものです。

 とはいえ、ここから先は、途中で投げ出してしまう人や、経済的な事情でできなくなってしまう人など、さまざまな人間模様が展開されることでしょう。

 また、ゴルフを始めて「100切り」を達成できる人は、従来8割ほどと言われています。それをクリアすることで、さらにゴルフにのめり込んでいくのですが、最近はハートの優しい人が多いので、途中でリタイアしてしまう人がもっと増えるかもしれません。


ビギナーのみなさん、

「100切り」というのは、そう簡単にクリアできるものではありませんぞ

 そんな話をするのは、「そう簡単に100は切れないぞ」と言いたいのです。今回は、そうした微妙な、ビギナー事情を考えてみたいと思います。

 まず、最近のゴルフ事情の参考までにと、新宿にあるビギナー専門店『初心者専用GOLF5 新宿フラッグス店』に行ってみました。ここは、来年の5月ぐらいまでの期間限定(予定)で、ビギナー専用の販売フロアを展開しています。

 ギアやウェアはお値ごろの価格で提供されており、お店には非常に入りやすいし、見やすい陳列がなされています。いきなり従業員が寄ってくるようなこともなく、ゆったりとした雰囲気の中で、いろんな商品をじっくりと見ることができます。

 驚いたのは、中古ドライバーの充実ぶりです。有名メーカーのユーズド品が1万円台から売られているのです。ゴルフ歴40年の私も、思わず購入したくなるほどでした。

 ただ、ビギナーの場合、中古ブランド品といっても、何が自分に合うのかわからないもの。鳥かごで試打してデータを出されたとしても、本当に納得できるかどうか。

 それでも、ここでは『GOLF5カントリー オークビレッヂ』という系列コースを利用しての"ゴルフデビューツアー"を実施しています。5500円(税込み)で、現地でのレッスンと練習、そして3ホールのラウンドを手ぶらでできる優れモノです。

 こういうのを利用して、自らに合うクラブを見定めたり、自分のスキルをどんどん上げいったりするのもいいでしょう。

 ゴルフをするきっかけは、これまでは親や友人、会社の上司に誘われて、というのが多かったと思います。ゴルフを教えてくれるのも、そうした関係がほとんどでした。

 しかし、少子化の時代となった現在、そういった村落共同体的なつながりは希薄になりました。結果、スクールに単独で申し込み、ひとりで黙々とスキルアップしていく、そういうビギナーも増えているみたいです。

 そして、ショップやスクール主導で、ラウンドレッスンやコンペに参加すれば、それなりに充実したゴルフライフが送れるってものです。

 そうやってスクールからゴルフを始めるよさは、最初からきちんとしたスイングを学習し、習得できる点です。いまだにひょっとこスイングの私は、女性のきれいなスイングを見て、何度も羨ましく思いました。どうせ覚えるなら、基本をしっかり、は鉄則です。

 さて、見事ゴルフ場でのデビューを飾ったビギナーたち。実はここからが長い戦いの始まりです。スコア100を切るために要する時間は、平均3~4年と言われています。そして、100を切るまでに必要なラウンド数は、20~30ラウンドだそうです。

 もちろん、毎週練習し、毎週ラウンドする人は、半年以内で100を切れるでしょう。でも、たまにしかラウンドしない人は、10年経っても100を切れない。実際、そういう人は結構います。

 ゴルフは単にラウンド数をこなせばうまくなる、というものではありません。やはり、どこかで覚醒しないと、次のステップには進めないのです。

 私も40年ぐらい前を振り返って、なんで100を切れるようになったのか、思い出してみました。

 当時、デビュー戦は確か140台後半。それも、かなりオマケしてもらっての数字でした。そして、デビュー2年目くらいまでは、120~130台で低迷していました。

 それでも、いつか100は切れると、気楽に思っていたのですが、どっこい、いつまで経っても成長せず......。なかなか100を切れなくて、焦りを感じ始めていました。

 そこで、自分のゴルフを総点検。「なんで叩いてしまうのだろう」「どうすれば叩かないのか」といったことを分析しました。

 そうして、問題はセカンドショットだと気づいたんです。ドライバーの精度は半分半分。当たる時もあれば、当たらない時もありますが、それは他の仲間たちも同じようなものでした。ところが、セカンドショットに関しては、私だけ異常にミスが多かったのです。

 ウッドを使えばチョロだし、アイアンで打ってもボールがあらぬ方向に飛んでいってしまう......。もともとアイアンは下手なので、シャンクやダフリ、引っかけなど、ミスショットのオンパレードでした。

 そう思い悩んでいる時、残り180ヤードくらいのフェアウェーからの第2打で、誰かが赤いユーティリティーを使ってナイスショットをしているのを見かけます。そのクラブこそ、通称「タラコ」と言われるインテスト(横浜ゴム/PRGR)でした。

 その直後、私もすぐにショップに行って試打。驚きの性能に驚愕しました。即決で中古品を買ってコースで使うや、もうあっという間、ほんの半年で100切りを達成しました。

 ゴルフは自分の実力を把握し、それに見合った道具を見つけることが大事だと、改めて痛感させられました。難しいクラブとか、自分に合わないクラブを使って、闇雲に練習しても効果は出ないのです。

 アマチュアの場合、ミドルホールならグリーン周りまで2打で運んで、そこからグリーン狙いのサードショット(アプローチ)を打つ、というのが現実的な戦略でしょう。そういう意味でも、セカンドショットは非常に重要な位置を占めます。

 というわけで、ビギナーのみなさん、単にゴルフを覚えて漫然とやっていても、決して100は切れません。技術を向上させる前に、まずはどこで一番叩かくのかを考えないと。

 そこからは、最終的には精神力の問題となります。要するに、ラウンドデビュー後、叩いてばかりのラウンドが2~3年くらいは続くからです。その時、いかに腐らずにやり続けるか――それが重要です。

 なにしろ、この長いトンネルの時期に「叩いてばかりで、やっぱりオレ、ゴルフは向いてないかも」とか、「付き合いで行くだけで(ゴルフの)何が楽しいのかよくわからない」「毎回、友だちに見下した目で見られる」「打つたび、上司から『クラブ3本持って走れ』って言われてつらい」など、苦しいエピソードが繰り返されますからね。

 自分を信じてラウンドしないと、100切りは見えてきません。

 ですから、叩いてばかりの時期は「(自分は)明日に向かって打っているんだ!」と自らに言い聞かせましょう。目線を2~3年後の自分をイメージし、地道にプレーするのが賢明かと思います。