東京パラリンピックに向けて様々な競技やアスリートの魅力を紹介してきた、MEN’S NON-NOの連載「2021年TOKYOへの道」。今回は、「2022年パラリンピックへの道」として、来年3月に迫った北京冬季パラリンピックをめざす注目株にフィ…

東京パラリンピックに向けて様々な競技やアスリートの魅力を紹介してきた、MEN’S NON-NOの連載「2021年TOKYOへの道」。今回は、「2022年パラリンピックへの道」として、来年3月に迫った北京冬季パラリンピックをめざす注目株にフィーチャーする!

先頃閉幕したばかりの東京パラリンピックの余韻が冷めやらない中、早くも北京冬季パラリンピックが約半年後に迫っている。パラアルペンスキーのメダル候補、高橋幸平もそれを心待ちにするひとりだ。

「東京五輪・パラリンピックで選手の皆さんが頑張っている姿からすごく勇気や刺激をもらったといいますか、北京に向けて『自分もこれからいくぞ』『負けていられないぞ』っていう気持ちになりました。ここからヨーロッパでの合宿や大会が続くのでギアを入れていきたいですね」

初出場となった2018年の平昌パラリンピック後、明確になったという自身の課題と向き合いながら意欲的に強化に取り組んできたという。

「平昌が昨日のことのように感じますが、当時の自分を超えられている確信はあるので早く北京に行きたい気持ちでいっぱいです。自分の課題はスタートダッシュでしたが、十分な体重をスキーに乗せていいスタートに持っていくイメージを持ちながら今年は肩まわりや下半身の筋力トレーニングを重点的に行いました。それをしっかりと生かして、得意なスラローム種目である回転、大回転、スーパー大回転でメダルをめざすことはもちろんスピード系のダウンヒル(滑降)にも出場したいですね」

五輪種目と同じく、疾走感とダイナミックさをあわせ持ったウインタースポーツの花形パラアルペンスキー。その醍醐味への自負もある。

「パラのアルペンスキーは選手一人ひとりが異なる障がいを抱えているので滑りにもそれぞれの個性が出て、ひとりとして似た選手がいないのが面白さ。そのあたりに注目してもらいたいですし、僕の滑りに関してはブレーキングなしでアグレッシブにターンするところも見てほしいです」

2026年のイタリア・ミラノ/コルティナダンペッツォ大会まで視野にとらえつつ、その後は意外な分野で活躍したいという思いも。

「農業高校に通っていたので、スキーはここまでだと納得できたら、いつか農業に戻って人や動物の生命に関わる仕事をしたいと思っています」

【プロフィール】

高橋幸平さん
たかはし・こうへい●2000年10月18日生まれ、岩手県矢巾町出身。日本体育大学スキー部所属。先天性の脳性まひによって右半身に機能障がいを負う。3歳でスキーを始め、中学ではハンドボール部に所属しながらアルペンスキーの練習を重ねる。2017年にジャパンパラアルペンスキー競技大会の回転種目で優勝し、2018年平昌冬季パラリンピックでは回転で17位、大回転で21位。今年3月のアジア杯でも優勝し、来年に迫った北京大会でのメダル獲得に弾みをつけた。