アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、2年の不在のあとに今大会に戻ったロジャー・フェデラー(スイス…

 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(ATP1000/3月22日~4月2日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、2年の不在のあとに今大会に戻ったロジャー・フェデラー(スイス)が、予選を勝ち上がった19歳のフランシス・ティアフォー(アメリカ)を7-6(2) 6-3で倒し、3回戦に進出した。第4シードのフェデラーは1回戦が免除(BYE)され、これが初戦だった。

 フェデラーは、ネットコードに当たったボールでポイントを取ったあとに2度、そして、叩き込んだボレーが相手に当たりそうになったときに1度、手を挙げて相手に詫びるジェスチャーをした。

 そして試合のあとには、スタジアムを埋め尽くした観客の前で立派に戦ったティアフォーに、惜しみなく賛辞を投げた。

 しかし、フェデラーの礼儀正しさはそこまでに限られ、彼はティアフォーを7-6(2) 6-3で倒したのだった。

 フェデラーは、タイブレークでほぼ完璧なプレーを見せてリードを奪い、徐々にティアフォーを引き離していった。

 「彼は本当によい選手になると思う」とフェデラーは言った。「彼は強力なショットを擁している。それに僕は、彼の精神姿勢も好きだね。彼は怖れを知らないように見える。このまま成長すれば、きっと大物になるだろう」。

 35歳のフェデラーは、ここ数ヵ月の見事な復帰ぶりで、大きな称賛を受けており、マイアミで11年ぶりのタイトルを獲得し、その快進撃をさらに延長したいと願っている。19歳のティアフォーは、アメリカ・テニス界のやや“わびしい”眺望を向上させるためのポテンシャルを持つ選手として、注目されている。

 初めてトップ10プレーヤーと対戦したティアフォーは、フェデラーを簡単には勝たせなかった。

 「彼(ティアフォー)はすごく長いこと僕についてきた。もし僕がここまで自信がある状態でなかったら、離れずついてこられることでナーバスになっていたかもしれない。楽しい試合だったよ。僕ら双方が非常によいプレーをし、双方が、かなり幸福な気持ちでこの試合をあとにできたんじゃないかと思う。これはテニスで、そう頻繁に起きることじゃない」。

 ティアフォーは、フェデラーの評価を聞かされると微笑みを浮かべた。

 「ひとりは、もうひとりよりもっと幸せだけどね」と、ティアフォーは微笑みながら言った。「僕は間違いなく幸せだ。僕らの双方がいいプレーをした。いいテニスだったよ」。

 現在、世界ランキング101位で、メリーランド州生まれのティアフォーは、第1セットではまずいことは何もやらなかった、と言ってもいいほどだった。彼は、試合でもっとも長かったラリーの終わりにバックハンドをネットに引っかけ、タイブレークで1度だけアンフォーストエラーをおかしたに過ぎなかったが、フェデラーは小さな突破口を逃さずとらえた。

 「フェデラーはものすごく堅固だった」とティアフォーは言った。「彼は僕に、どんなフリーポイントも与えてくれなかった」。

 2017年のフェデラーは14勝1敗の好成績を謳歌しており、そこには全豪オープンでの18度目のグランドスラム・タイトル獲得と、先週のインディアンウェルズ(ATP1000)の優勝も含まれる。理論上、このマイアミで彼が進む道のりは、6度の優勝経験を持つノバク・ジョコビッチ(セルビア)と、2度優勝しているアンディ・マレー(イギリス)の不在のおかげで、より容易になるはずだ。ジョコビッチとマレーは、ともに肘の故障で欠場を余儀なくされていた。

 おそらく最大の障害物は、ATPマスターズ1000の大会で初めて第1シードとなった同胞のスタン・ワウリンカだろう。ワウリンカは、ホレイショ・ゼバロス(アルゼンチン)に対する初戦を、サービスで相手を圧倒しつつ、6-3 6-4で簡単に制した。

 フェデラーの唯一のよろめきは、第2セットの第1ゲームでブレークされたときだけだった。とはいえ、彼はほかの自分のサービスゲーム(10ゲーム)ではわずか7ポイントしか落とさず、マッチポイントはサービスのウィナーで決めた。彼はそれからネットに歩み寄り、ティアフォーと温かい言葉を交わし合った。

 「あなたとプレーできて光栄です」とティアフォーは言った。「ふたたび対戦できるよう願っています。できれば、大会のこうも早い段階でないときに…」。

 フェデラーは礼儀正しく微笑んだ。(C)AP(テニスマガジン)