勝敗に関係なく、とにかくプレーで目についた選手をアマチュア野球ウオッチャー・西尾さんが選ぶ、センバツ高校野球「今日のベストナイン」。最後は1回戦で目に付いた選手を総括してもらいました。西尾典文が選ぶセンバツ1回戦ベストナイン▼投手三浦銀二(…

勝敗に関係なく、とにかくプレーで目についた選手をアマチュア野球ウオッチャー・西尾さんが選ぶ、センバツ高校野球「今日のベストナイン」。最後は1回戦で目に付いた選手を総括してもらいました。

西尾典文が選ぶセンバツ1回戦ベストナイン

▼投手
三浦銀二(福岡大大濠)
3年 175cm/75kg 右投/右打

▼捕手
篠原翔太(報徳学園)
3年 177cm/ 80kg 右投/右打

▼一塁手
清宮幸太郎(早稲田実)
3年 184cm/ 103kg 右投/左打

▼二塁手
北川智也(福井工大福井)
3年 166cm/ 70kg 右投/左打

▼三塁手
山田健太(大阪桐蔭)
2年 183cm/ 85kg 右投/右打

▼遊撃手
小園海斗(報徳学園)
2年 178cm/ 73kg 右投/左打

▼外野手
樺嶋竜太郎(福岡大大濠)
2年 180cm/ 75kg 右投/右打

西浦颯大(明徳義塾)
3年 178cm/ 72kg 右投/左打

藤原恭大(大阪桐蔭)
2年 181cm/ 78kg 左投/左打

目についた選手(投手編)

1回戦で登板した投手の中で総合的に見て最も素晴らしいと感じたのが三浦銀二(福岡大大濠・3年)だ。軸足にしっかりと体重を乗せてためを作ってからゆったりとステップできる下半身の使い方、テイクバックできれいに肘が立って鋭く縦に振れる腕の振り、ともに欠点らしい欠点が見当たらない。一冬超えて体重が増えたことで球威もアップし、最速146kmのストレートの威力も申し分ない。終盤でも球威が全く落ちず完投能力の高さもさすがだ。上背がないためプロの評価はそこまで高くないが、間違いなく今大会ナンバーワンの投手と言えるだろう。

1回戦で最速となる148kmをマークしたのは山口翔(熊本工・3年)だ。しかし左肩の開きの早いフォームでリリースがばらつき、8四球を与えて9失点と課題が多く残った。

金久保優斗(東海大市原望洋・3年)も147kmをマークしたが、上半身が強く体が一塁側に流れ、同じくコントロールに苦しんだ。ともに馬力は十分にあるだけにフォームが改善すれば、スピードが更に生きるようになるだろう。

大型右腕で高い将来性を感じさせたのが平松竜也(盛岡大付・3年)だ。クロスにステップして重心も上下動する少しロスの大きいフォームだが、リリースでしっかりボールを抑え込めるのが長所。時々エアポケットに入ったようなイニングがあるが、球威とキレのあるスライダーでテンポ良く打ちとるピッチングは素晴らしかった。

安定感で三浦に次ぐ存在として徳山壮磨(大阪桐蔭・3年)があげられる。最速は142kmにとどまったが、ストレートもスライダーもしっかりコーナー、低めに集められるピッチングは見事だった。フォームに悪い癖がなく、体が大きくなればまだまだ速くなる可能性は高いだろう。

サスウポーでは櫻井周斗(日大三・3年)、丸山和郁(前橋育英・3年)、川端健斗(秀岳館・3年)の三人がそれぞれ持ち味を発揮した。

櫻井は敗れたものの優勝候補筆頭の履正社を相手に13奪三振をマーク。最速142kmのストレートと縦に鋭く落ちるスライダーを同じ腕の振りで投げることができるのが最大の特長。特にスライダーは分かっていても打てないキレを誇り、立ち上がりはまさに手も足も出ないという内容だった。

丸山は小柄だがひねりやかつぐ動きの全くない完成度の高いフォームで、コーナーに投げ分ける制球力は見事。力を入れると楽に140km台をマークし、スライダーとチェンジアップの対になる変化球のキレも申し分なかった。秋はリリーフ専任でスタミナに不安は残るものの、試合を作る能力の高さは見事だ。

川端はテイクバックで左肩が大きく下がるフォームだが、真上から腕が振れておりボールの角度は抜群。縦のスライダーのキレ、セットでもスピードが全く落ちない点も素晴らしかった。

目についた選手(野手編)

最大の注目選手である清宮幸太郎(早稲田実・3年・一塁手)は4打数1安打に終わったものの、第一打席の初球を完璧にとらえたヒットに良さが凝縮されていた。無駄な力を抜いて鋭く柔らかく振り出せるスイングで、ミートの精度が非常に高い。センターフライの時の滞空時間の長さも高校生とは思えないものだった。1点を追う9回に相手投手が考えられないようなエラーを犯して打順が回ってきたことも、只者ではないスター性を感じずにはいられない。改めてドラフトの目玉と認識し直したプロ関係者も多かったはずだ。

清宮と並んで注目を集めた安田尚憲(履正社・3年・三塁手)は櫻井のスライダーの前に3三振を喫したものの、最終打席で外角のストレートを完璧にとらえてレフトオーバーのツーベースを放ちそのパワーを見せつけた。柔らかさは清宮に劣るものの、超高校級サウスポーから左方向へ長打を放ったことで更に評価が上がったことは間違いないだろう。

捕手では篠原翔太(報徳学園・3年)、森康太朗(静岡・3年)、福井章吾(大阪桐蔭・3年)、古賀悠斗(福岡大大濠・3年)が高いスローイング能力で目立った。
その中でも安定感では篠原と古賀が双璧という印象。ともに中軸を任せられており、バッティングでも力強いスイングで目立った。

左打者のリードオフマンタイプでは北川智也(福井工大福井・3年・二塁手)、安里樹羅(健大高崎・2年・遊撃手)、西浦颯大(明徳義塾・3年・外野手)、大石哲平(静岡・3年・三塁手)が目立った。
北川と安里は広角に打ち分ける技術、西浦はパンチ力、大石はスピードが持ち味で総合力は高校生トップクラスと言えるだろう。

右打ちの強打者タイプでは島村功記(高岡商・3年・一塁手)、飯島大夢(前橋育英・3年・三塁手)、東怜央(福岡大大濠・3年・一塁手)、山岸旭(福井工大福井・3年・外野手)、中島淳(作新学院・3年・三塁手)、山本ダンテ武蔵(大阪桐蔭・3年・外野手)などが目についた選手達。中でも島村、中島の技術的な良さが光った。

下級生で目立った選手

中学時代から評判の根尾昂(大阪桐蔭・2年・遊撃手兼外野手兼投手)は登板はなかったものの、体がちぎれんばかりに振れるフルスイングとヘッドスピードで一際目立った。その迫力は吉田正尚(オリックス)を彷彿とさせ、つまった打球でもあわやバックスクリーンという打球も放った。

同じ大阪桐蔭では藤原恭大(2年・外野手)、山田健太(2年・三塁手)、柿木蓮(2年・投手兼捕手)も大器の素材。藤原は抜群の運動能力、山田は長打力と内角をさばく技術、柿木は強肩を生かした140km台のストレートが持ち味。来年以降騒がれる存在になることは間違いない。

福岡大大濠の稲本侑星(2年・三塁手)と樺嶋竜太郎(2年・外野手)の二人も好素材。稲本の左右に打ち分ける技術の高さ、そして8番打者ながら二打席連続ホームランを放った樺嶋のパワーは大会でも屈指だろう。

そして1回戦で最もインパクトを残したのが小園海斗(報徳学園・2年・遊撃手)だ。スリーベースでの三塁到達はプロでも上位の11.26秒をマーク。そして最終打席では左投手の緩い変化球をしっかり呼び込んでライトポール際に叩き込んだ。守備のスピードも素晴らしく、三拍子揃ったショートとして今後も注目を集めることは間違いないだろう。

*成績は手元集計です。公式記録ではありません。

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