10月にF1日本グランプリを予定している鈴鹿サーキット(三重県)が10日、公式ツイッターを通じて異例の通知をした。 「F1日本グランプリを気に掛けてくださる人が多く、感謝感激です。8月10日に何か発表があるのでは?と、一部報道やSNSで噂…

 10月にF1日本グランプリを予定している鈴鹿サーキット(三重県)が10日、公式ツイッターを通じて異例の通知をした。

 「F1日本グランプリを気に掛けてくださる人が多く、感謝感激です。8月10日に何か発表があるのでは?と、一部報道やSNSで噂されていますが、本日時点で発表できることはございません」と報告し、「次の情報をご案内できる日まで、お待ちくださいますよう、お願いいたします」と続けた。

2019年のF1日本GP(ホンダ提供)

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 7月28日には新型コロナウイルスの感染が急拡大している現状を踏まえ、観戦チケットの先行販売・一般販売スケジュール、各チケット詳細の案内を延期すると発表していた。世界最大のスポーツイベントともいえる東京五輪が8月8日に無事に閉幕したことから、祝日明けの10日に開催に関する何らかの指針が示されるのでは、との臆測が流れたが、結果的には何のアナウンスもなかった。

 ちなみに昨年、F1日本GPの中止が発表されたのは6月だった。今年についてもモータースポーツの世界は慎重な姿勢だ。鈴鹿サーキットと同じモビリティランドが運営しているツインリンクもてぎ(栃木県)がホストサーキットとなっているオートバイのロードレース世界選手権日本GPは当初、10月3日決勝で計画されていたが、6月23日に2年連続の中止が決定。富士スピードウェイ(静岡県)で9月26日決勝で組まれていた4輪の世界耐久選手権・富士6時間耐久レースは7月7日に中止が発表された。

 鈴鹿側もF1日本GPをどうしても開催したいとの思いは強い。ホンダは今年限りでF1から撤退することが決まっており、ラストイヤーながらメルセデスと熾烈(しれつ)なチャンピオン争いを続けている。しかも昨年は日本GPが開催中止となったことから、仮に今年も開催ができない場合は、母国で強いホンダを見せられぬままF1から去るということになる。

 環太平洋諸国でのF1も中止が相次いでいる。4月11日決勝の中国、6月13日決勝のカナダのほか、10月3日決勝のシンガポールGP、11月21日決勝のオーストラリアGPが開催を断念。

 シンガポールGPの代わりにトルコGPが組まれたことから従来通り、日本GPは前戦からの2週連続開催となった。十分な隔離期間を確保できないまま、選手やチームスタッフを来日させなければならない状況にあり、その意味では隔離期間が用意された東京五輪とは事情が異なる。

ホンダは今季でF1を去る(ホンダ提供)


 それに新型コロナウイルスの第5波は急拡大の一途。首都圏を中心に6都府県に発出されている緊急事態宣言も9月延長が検討され、対象地域を全国に拡大させる可能性も出てきている。F1側では日本行きを断念し、トルコで2週連続開催をするとのプランも出ているという。

 ただ、中止となったオーストラリアGPの代替グランプリがまだ決まっておらず、そこに日本GPを当て込むこともできなくはない。が、その前週は南半球のブラジルGP。やはり十分な隔離期間を確保できないという問題が生じる。

 新型コロナで切迫している時期でありながら年間23戦も詰め込んでしてしまったF1側の見通しの甘さがうかがえる。昨季に1国1開催の原則が実質的に崩壊し、欧州や近場の中東で同一会場での2週連続開催など代替レースを用意できるようになったことで、いわゆるフライアウェーで行われる遠征地での開催はもともと重きを置かれていなかったのかもしれない。

 鈴鹿に来るF1関係者は1000人ほど。それを一気に招き入れるには「特例入国」させるしかなく、五輪で導入されたバブル方式をしのぐ強固な感染防止対策が必要とみる。選手やチーム首脳はサーキットホテルに缶詰にできるとしても、他のチームスタッフはサーキット周辺の他のホテルに滞在することになる。これでは容易に外部と接触してしまうことになる。いっそのこと無観客開催にして、遊園地内にチーム用の簡易宿泊施設を設置して外部と完全に遮断するくらいの対策を講じない限りは政府もきっとOKサインを出さないのではと想像してしまう。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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