これはある野球好きのサラリーマンが侍ジャパンの六連勝を振り返って書いた独り言だ。スポーツブル編集部として是非みなさまに読んで頂きたいとおもい、記事化に踏み込んだ。彼はもともと野球を本気でやっていた根っからの野球少年だ。あるサラリーマンにとっ…

これはある野球好きのサラリーマンが侍ジャパンの六連勝を振り返って書いた独り言だ。スポーツブル編集部として是非みなさまに読んで頂きたいとおもい、記事化に踏み込んだ。彼はもともと野球を本気でやっていた根っからの野球少年だ。

あるサラリーマンにとってのWBC

先日、イスラエルに勝利して、世界のベスト4進出!というよりも、世界一への権利を掴み取ったサムライジャパン。間違いなくこの10日余りの間、私たちの心を大きく揺さぶってくれた。

2017年の年明けからこれまでを振り返ってみると、

大谷の離脱から始まり、壮行試合などは負け越し。

3月7日の本番を迎えるにあたって、好材料はないとばかりにマスコミは騒ぎたてた。あたかも負けることを想定して不安を煽ればというくらいな無責任ささえ感じるほどだった。結果本番で負けてたら、やっぱりね、ほら言ったでしょと鬼の首を取ったような報道が並ぶんだろうなぁと。

2月28日。壮行試合を友人たちと見ていた。負けた試合だった。

「こんなんで大丈夫か!?」と聞かれた。「こんなもんですよ!」と即答した。

その意味は彼らのピークは3月7日であり、実践に対しての準備をすることがすべてなので壮行試合などはファンからすればふがいない結果に見えている事でも選手はその一打席や一球に対して本番から逆算した準備をしているので三振だってよい。打たれたってよい。負けたっていいんですよと答えた。

選手からすればピークに向けて今自分が「どこ」にいるのかを確かめられればよく、監督をはじめとした戦略スタッフはそのコンディションを把握できればよい。それでいてこういった壮行試合も勝てればマスコミにたたかれなくていいよねという事なので、別に勝敗や凡打に一喜一憂しなくてもいいですよ、という意味で「こんなもんですよ!」と説明した。

実は、自分の中のネガティブな気持ちを打ち消そうと強がって理由を並べていたというのが本音で、侍ジャパンが本番に勝つことの確信なんて全くなかった。

それをかき消したのが本番直前に伝えられた青木選手のコメントだった。

「自分が正しいと証明しろ」

勝たないと全てを否定されると本番初戦を迎えるにあたってサムライジャパンの選手達に発したという。

戦力的な確固たるデータはないが出場選手の所属先や実績などを加味すると、中国以外の7チームはそれほど差がないと思っていた。だからこの言葉は強く感じた。

3月7日。点の取り合いを制してキューバに勝利した。

山田選手のホームラン性の当たりをレフトスタンド最前列の少年がグローブでキャッチをして2塁打となったことが大きな話題となった。これは憶測だが、この少年をあたかも事件を起こした犯人に仕立て上げ、その犯人のあることないことをネット上で楽しんでいた野球ファンではない「ただのネット住民」がネタにして楽しんでいるだけだったと思う。

山田選手が「今度はしっかりスタンドに放り込むから、またグローブを持って球場に来てください」と少年にコメントし、その解答は1発ではなく、14日のキューバ戦で文句なくスタンドに2発たたき込んだ。

4番バッター筒香で印象的だったのは、キューバ戦で”ランナーを返した”センター前へ抜ける2本のヒットだった。ホームランバッターであるがホームランよりかっこよかった。

内川選手の技術とこれまでの経験からきていると思われる代打という仕事への心技体の持っていき方と結果の出し方。

キャッチャー小林選手のマスク越しの次を見据えた目。

菊池選手は美技を連発したが最も印象的だったのはオランダ戦で9回の裏にグラブに届かせながらも取れずに同点とされた時で、センター前に抜ける打球は取ってアウトにして当たり前と言わんばかり表情はかっこよかった。そもそもあの打球は当然センター前ヒットだと思った。ボールにグローブが届いている時点で間違いなくスーパープレイだ。

5番中田選手は「やっぱり持ってるなー」という印象。

「自分が正しいと証明しろ」

結果がすべてだから6連勝はそれを証明し、ファンたちをこれ以上ないくらい楽しませた。全部終わったらゆっくり選手たちのお話を聞いてみたい。

イスラエル戦は、会社の送別会だったため、テレビ観戦できなかったのだが、スマホで一球速報をちょいちょい見ながら筒香選手のホームランににんまりしていると、送別される女性が「今日はWBCですよね!私も気になっちゃって。WBCだけは見に行っちゃうんですよね。今回はオーストラリア戦しか行けなかったんですよ~」結局、そこからは速報ページを見ながら思い出話に花を咲かせ日本の勝利を見届けた。

この10日間ほどは、日本全国の酒場や電車や車や仕事場や家でテレビだったりラジオだったりスマホの一球速報だったりでWBCに触れた方々に侍ジャパンは「最高の肴」として存在し、シーソーゲームあり逃げ切りありのドキドキながらも最後は歓喜を提供し続けた6連勝は野球が持つ力をこれ以上ないほど示したと思う。

準決勝と決勝は共に日本時間の午前10時の予定。

あのイチローが2009年に決めた決勝戦のシーンも平日の昼間だった。当時はワンセグなるもので会議中に携帯で映像を見ていてガッツポーズしていたことを思い出す。横に座っていた方も「よし!」って小さな声で言っていた事を思い出す。会議の進行役の上司も一瞬にらんだけれど、会議終わりで俺の話なんかよりそっちだよなって笑っていた事を思いだす。

今年も平日の昼間。テレビで見られない人、ラジオを聞けない人もたくさんいると思うが、リアルタイムで更新される一球速報なんかもあるから、2009年の時のような会議室や電車や日本全国でガッツポーズがあふれることを想像するだけでわくわくする。

あと二つ。

悔いなくなんて綺麗事ではなく勝ってほしい。

必ず勝つと信じている。