【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆先週の血統ピックアップ ・8/8 レパードS(GIII・新潟・ダ1800m)  好位を追走したメイショウムラクモが直線で楽に抜け出し、初の重賞タイトルを獲得しました。  ジャ…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・8/8 レパードS(GIII・新潟・ダ1800m)

 好位を追走したメイショウムラクモが直線で楽に抜け出し、初の重賞タイトルを獲得しました。

 ジャパンダートダービーやユニコーンSの上位組が参戦しなかったので、出走各馬の戦績を比較すると、3勝している上にオープン特別で2着の成績がある本馬が最上位の存在でした。その実力をしっかり発揮することができました。

 父ネオユニヴァースはヴィクトワールピサ(ドバイワールドC、有馬記念、皐月賞)、ロジユニヴァース(日本ダービー)、アンライバルド(皐月賞)などの父ですが、ダートでもグレンツェント(東海S、レパードS)、ウェスタールンド(アンタレスS)といった活躍馬を出し、母の父としてルヴァンスレーヴ(最優秀ダートホース)を出しています。

 当レースとは相性が良く、11年のタカオノボル(2着)、16年のグレンツェント(1着)に次いで3頭目の連対馬となります。「母の父キングヘイロー」は、ディープボンド(阪神大賞典)、ピクシーナイト(シンザン記念、CBC賞2着)、キングズガード(プロキオンS)、ヴァイスメテオール(ラジオNIKKEI賞)、アサマノイタズラ(スプリングS2着)、など最近活躍が目立っています。

 今後も要注目です。

・8/8 エルムS(GIII・函館・ダ1700m)

 中団を追走したスワーヴアラミスが馬群を割って抜け出し、オメガレインボーに競り勝って2つめの重賞タイトルを手にしました。集中力に欠け、ズブさもあるこの馬にとって、今回初めて装着したブリンカーの効果はてきめんでした。

「ハーツクライ×スライゴベイ」という組み合わせで、母ベイトゥベイはカナダの芝重賞を2勝しています。ただ、母の父スライゴベイがサドラーズウェルズを父に持つ重厚な血統構成で、それがパワー方向に適性を寄せているのか、本馬とその全弟デッドアヘッドは、いずれも父がハーツクライでありながら、ダートでしか勝ったことがありません。

 晩成型で持久力に富んだ血統背景だけに、まだまだ活躍の余地があるでしょう。ハーツクライ産駒は芝連対率18.8%、ダート連対率17.0%という通算成績ですが、直近3年間のアベレージはダートのほうが良く、2018年9月以降、芝連対率18.0%、ダート連対率19.4%という成績です。

 スワーヴアラミス、ロードゴラッソ、ロードレガリス、タイムフライヤーなど、ハーツクライ産駒がダートのトップクラスで活躍したことが手本となって、芝からダートへ活路を見出す同産駒が増えたからではないかと思われます。

◆今週の血統注目馬は?

・8/15 博多S(3勝クラス・小倉・芝2000m)

 小倉芝2000mと相性のいい種牡馬はキズナ。連対率34.5%と素晴らしい成績を挙げています。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した59頭の種牡馬のなかで第2位。

 当レースにはグランスピードとフィオリキアリが登録しています。グランスピードはデビュー以来一貫して芝1800mを使われてきましたが、今回初めて芝2000mを使います。

 小倉コースは[2-1-0-1]と相性がいいので、今回もいい結果が期待できます。

 (文=栗山求)