東京五輪が8日に幕を閉じた。24日からは東京パラリンピックが始まり、半年後の来年2月には北京冬季五輪が待っている。 パラリンピックで4個の金メダルを持つアレックス・ザナルディ。2020年のハンドサイクルレース中の事故で生死をさまよい…

 東京五輪が8日に幕を閉じた。24日からは東京パラリンピックが始まり、半年後の来年2月には北京冬季五輪が待っている。

パラリンピックで4個の金メダルを持つアレックス・ザナルディ。2020年のハンドサイクルレース中の事故で生死をさまよい、東京大会は断念(BMW提供)

・今すぐ読みたい→
F1業界に激震 ホンダがF1からの撤退を決めた理由とは? https://cocokara-next.com/athlete_celeb/honda-withdraw-from-f1/



 スポーツ史をひもとくと五輪・パラリンピックに出場した元F1ドライバーは意外に多い。

 アジア人初のF1ドライバーとして1950年代に活躍したプリンス・ビラ(タイ)はセーリングで夏季五輪に4度出場。1964年の東京五輪でもドラゴン級混合で22位を記録した。

 1953~55年にマセラティなどでF1に参戦し、最高位が4位だったロベルト・ミエレス(アルゼンチン)も60年のローマ五輪にセーリングで出場した。夏季では62年のF1オランダGPにスポット参戦したベンジャミン・ポン(オランダ)が72年のミュンヘン五輪で射撃のスキート種目にエントリーし、31位だった。

 冬季ではボブスレーで過去に3選手が出場している。1956年のイギリスGPでフェラーリの一員として2位表彰台を獲得したアルフォンソ・デポルターゴ(スペイン)が同年のコルティナダンペッツォ五輪(イタリア)にスペイン初のボブスレーチームを結成して出場。男子2人乗りで4位に食い込んだ。

 その後はロビン・ウィドウズ(英国)がインスブルック(オーストリア)、グルノーブル(フランス)の2大会にボブ・セイド(米国)がグルノーブル、札幌の2大会にいずれも男子4人乗りで出場した。ただし、2人ともF1出場は1戦のみだ。


 女性ドライバーで1970年代にF1に計3戦にエントリーし、いずれも予選落ちだったディビナ・ガリカ(英国)はアルペンスキー競技で五輪4大会に出場。札幌五輪では女子大回転で7位に輝いた。F1公式戦では結果を残せなかったものの、ノンタイトル戦だった1977年の英ブランズハッチ大会では12位完走を果たしている。

 最近ではパラリンピックで金4個、銀2個を獲得したアレックス・ザナルディ(イタリア)が勇名をはせた。F1ではウィリアムズなど5チームを渡り歩き、米CART(現インディカー)では1997、98年にシリーズ連覇を成し遂げた。

 2001年のCARTで両脚を断裂する大事故に巻き込まれたものの、不屈の闘志で復活を果たし、手元で操作できる特別車両で世界ツーリングカー選手権などに参戦。リハビリを兼ねてトレーニングを積んだハンドサイクルで力をつけ、2012年のロンドンパラリンピックに初出場。個人タイムトライアル、個人ロードレースで2冠に輝き、続くリオデジャネイロ大会でも個人タイムトライアル、チームリレーで金メダルに輝いた。

 今回の東京パラリンピックでも金メダルが期待されていたが、2020年6月19日、イタリア国内のハンドサイクルレースでトラックと衝突。頭部に重傷を負った。何とか一命を取り留め、現在もリハビリを続けているものの、東京大会には出場できなかった。

 2019年にはパラ大会競技会場予定地の富士スピードウェイ(静岡)で行われたスーパーGTと独ツーリングカー選手権(DTM)の交流戦に出場。モータースポーツについては既に第一線から退いていただけに「自分がレースができることは贈り物のようなものだ」とも語っていた。

 ちなみに五輪金メダリストがモータースポーツに転向した例もある。自転車のトラック競技で6冠を持つクリス・ホイ(英国)は2014年に英国GT選手権にフル参戦。15年に欧州ルマンシリーズで王者となり、16年に初出場した仏ルマン24時間では17位で完走した。

 2006年のダカールラリーを制したリュック・アルファン(フランス)も元スキー選手で、1997年のアルペン競技のW杯で年間総合王者を獲得。五輪での最高位は1988年のカルガリー大会(カナダ)のアルペン複合で記録した4位だった。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

・今すぐ読みたい→
大谷の「規格外ぶり」はプレーだけじゃない!金村義明が試合を見て驚いた「あること」とは
次のステップに脱皮したいホンダ 4度目のF1撤退を決めた「真の理由」とは
「今度こそ国民栄誉賞ものの快挙ではないか」との声も 佐藤琢磨が3年ぶり2度目のインディ500優勝