アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されている「BNPパリバ・オープン」(ATP1000/3月9~19日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス4回戦で、ロジャー・フェデラー(スイス)がラファエル・…

 アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されている「BNPパリバ・オープン」(ATP1000/3月9~19日/賞金総額699万3450ドル/ハードコート)の男子シングルス4回戦で、ロジャー・フェデラー(スイス)がラファエル・ナダル(スペイン)を6-2 6-3で下して準々決勝に進出した。長いライバル関係を育むふたりは故障によるランキングの降下とドローのいたずらのせいで、今回は通常より早いラウンドで顔を合わせることになった。

 フェデラーは68分の戦いの末にベスト8進出を決める過程で、4度にわたりナダルのサービスをブレークした。ふたりの間の通算対戦成績ではナダルが23勝13敗でリードしてはいるものの、フェデラーは35歳にして劇的なカムバックを果たした2ヵ月前の全豪オープンを含めてここ3対戦で3連勝しており、これはキャリア初のことでもある。

 「(ナダルに対する)ここ3対戦で勝っているというのは、気持ち的によいものだ」とフェデラー。「でも、もっとも重要なことに、僕は全豪(決勝)で勝った。あれが僕にとって大きな出来事だった」。

 フェデラーはスタジアムを埋め尽くした観客の前で、最初のゲームでナダルのサービスをブレークした。

 フェデラーは試合を通して自分のサービスゲームで一度しか相手にブレークポイントを許さず、第1セットでのそのたった一度の小さなピンチでも強烈なサービスと2本の目覚ましいバックハンドで速やかに巻き返してキープし、2-0とした。

 「彼が第1ゲームでブレークを果たした、というのが重大な点だった。僕は次のゲームでブレークポイントをつかんだが、彼は盛り返し、いいサービスを入れてきた」とナダル。「アドバンテージを握ったときのロジャーのサービスは本当によかったよ。彼はサービスに大きな自信を持っており、それもあってずっとリラックスしてプレーすることができていたように見えた」。

 ナダルのほうも3度ラブゲームでサービスをキープしたところを見れば、それほど悪かったというわけではない。しかしフェデラーのショットは冴えわたり、頻繁に両側のサイドラインに触れていた。

 フェデラーはまた、策略に富み、巧妙でもあった。

 5-1でリードしていたとき、フェデラーはナダルのセカンドサービスに素早く詰め寄って相手を驚かせ、ナダルのフォアハンドはアウトとなった。またフェデラーのドロップショットのタイミングは絶妙で、ナダルが必死に走って追いついたときでも、フェデラーはこの日決めた26本のウィナーのひとつでそれに応じた。そして、相応しい瞬間にネットをとり、目覚ましいボレーでポイントにとどめを刺した。

 「サービスがよく、攻勢を保ち、プレッシャーをかける側であるときは本当によいアグレッシブなプレーをすることができる」とフェデラーは言った。

 ふたりのスーパースターはマイアミの3回戦で初対戦した2004年以降、準々決勝より早いラウンドで対戦したことはなかった。水曜日に行われた試合は、彼らが決勝ではないラウンドで対戦した試合としてはキャリアを通してわずか5度目のものだった。

 そして同日、ビッグ4のもうひとりのメンバーも敗北を喫した。

 インディアンウェルズで3連覇中だったノバク・ジョコビッチ(セルビア)の今大会の連勝記録は、彼がニック・キリオス(オーストラリア)に4-6 6-7(3)で敗れた瞬間に「19連勝」という数字で終わりを遂げた。ジョコビッチは2回戦で不覚をとったアンディ・マレー(イギリス)、そしてナダルに加わり、時期尚早にコートから去ることになったのだ。

 ジョコビッチ、フェデラー、ナダルが皆、ドローのボトムハーフのさらに下半分の同じ“4分の1区画”に位置していたため、大会が早い段階でビッグネームを失っていくことはある程度予見されていたが、ジョコビッチのここでの敗退はやはり少し驚きを誘った。

 今月初めにアカプルコでの初対戦でジョコビッチを破っていたキリオスは、「あれが1回きりのまぐれではなかったと証明できたというのは、気分がいい」と言った。「僕はすべてのポイントで全力を尽くして戦った。コート上は暑く、僕らはその中で2時間プレーしていた。これはただただ努力の結果手にした正当な、よい勝利だった」。

 今大会で5度優勝しているジョコビッチは今回4連覇を目指していたが、キリオスの2度目のマッチポイントでのフォアハンドのリターンミスを含めた25本のアンフォーストエラーにより、自らの計画をダメにしてしまった。

 「今日のようなコンディション下では、ボールは空気の中を非常に早く飛び、バウンドは非常に高くなる。こうなるとギャンブルだ」とジョコビッチ。「キリオスのファーストサービスでセンターのTゾーンや、ワイドの厳しいアングルに打ち込まれる彼の時速225kmもの弾丸サービスを予測し、読もうとするのは難しい。いいポジションをとるのは容易ではない」。

 第15シードのキリオスは14本のサービスエースを奪い、そのサービスの最高速度は時速227kmにも及んだ。彼はファーストサービスからのポイントの86%を取り、大事な場面でセカンドサービスによってエースを取る度胸も見せた。そのキリオスは準々決勝でフェデラーと対戦する。

 日本の錦織圭(日清食品)はドナルド・ヤング(アメリカ)を6-2 6-4で下し、キリオスとともに準々決勝に駒を進めた。

 一方、第3シードでありながら、この日、事実上忘れられた男となっていたスタン・ワウリンカ(スイス)はラッキールーザーの西岡良仁(ミキハウス)を3-6 6-3 7-6(4)で、命からがら振りきった。西岡は2度、サービスをキープすれば勝利というゲームを迎えたが、チャンスをもぎ取ることができなかった。

 第17シードのジャック・ソック(アメリカ)は4-6 7-6(1) 7-5でマレク・ジャジリ(チュニジア)を下した。彼は準々決勝で錦織と対戦する。

 また、第12シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)が予選勝者のドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)を6-4 7-6(5)で、第27シードのパブロ・クエバス(ウルグアイ)は第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)を3-6 6-3 3-6で倒して勝ち上がり、両者が準々決勝で対戦する。(C)AP(テニスマガジン)