●ライバルに新型マシンが出そろう今年が勝負の年昨2016年の全日本ロードレースJSB1000クラスで5連覇7度目のチャンピオンを決めたYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が、今年の目標に「JSB1000クラス6連…
●ライバルに新型マシンが出そろう今年が勝負の年
昨2016年の全日本ロードレースJSB1000クラスで5連覇7度目のチャンピオンを決めたYAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が、今年の目標に「JSB1000クラス6連覇、鈴鹿8耐3連覇」を公言した。
昨年、カワサキがZX-10Rをフルモデルチェンジしたが、新型から2年目を迎えたヤマハYZF-R1を駆る中須賀はこれを撃破。そして今年は、スズキGSX-R1000とホンダCBR1000RRが新型化される。
「ライバルが新しいマシンになるのは、実は僕自身も望んでいたことです」と中須賀は語る。なぜか。それは新型ヤマハYZF-R1が登場して以来、その圧倒的な速さから、中須賀が勝てているのはマシンが速いからと一部で囁かれていたからだ。それだけに、ライバル勢に新型マシンが出そろう今年こそが、中須賀は勝負の年と闘志を燃やす。
「YZF-R1は、フルモデルチェンジから3年目にして最古参のマシンになりました。ホンダとスズキのマシンがどのようなパフォーマンスを持っているのかはまだわかりません。でも、今年、僕が負けるようなことがあれば、これまではYZF-R1が速かったから勝てていたということになります。でも、昨年までのように勝利を重ねることができれば、YZF-R1の速さはもちろん、僕自身のポテンシャルも認められることになります。だから、本当に勝負の年なんです」
その全日本JSB1000クラスは、4月22日・23日のNGKスパークプラグ鈴鹿2&4レースで開幕し、ここでスズキとホンダの新型マシンの実力が明らかになる。一方で、注目されるのが“コカ・コーラ”鈴鹿8耐だ。今年、中須賀が優勝すれば、1993~1995年のアーロン・スライト以来の3連覇となる。
「過去最多が3連覇ですか。俄然、やる気が出てきました。レーシングライダーである限りは過去の記録にこだわりたいし、そうしたチャンスがあるのであれば、絶対に成し遂げたい。でも、鈴鹿8耐は本当に難しいレースなんです。強くて速いライダーを揃えれば勝てるというものではありません。ライダーがお互いをリスペクトして、チームとともに信頼関係が構築されないといけない。ここが難しいところなんです。これまでのポル・エスパルガロ、ブラッドリー・スミス、アレックス・ローズとは、そうした信頼関係が成り立っていました」
●新体制で“コカ・コーラ”鈴鹿8耐に挑むヤマハはファクトリー2台体制
そのエスパルガロとスミスはMotoGPでKTMに移籍したことから、YAMAHA FACTORY RACING TEAMは昨年までとはまったく違うライダー構成となる。さらに、ヤマハのモータースポーツ体制発表会で、ヤマハ発動機の木村隆昭副社長がファクトリーでの2台体制を表明した。
中須賀は「まだ、体制の詳細は聞いていません」と語るが、昨年の鈴鹿8耐で優勝に貢献したSBK(スーパーバイク世界選手権)のアレックス・ローズ、そして今年からSBKでローズのチームメイトとなったマイケル・ファン・デル・マークが有力候補だろう。
なぜなら、このファン・デル・マークは、ホンダのライダーとして過去に鈴鹿8耐を連覇しており、勝ち方を知っているライダーだからだ。そしてこれまでのヤマハのライダー起用の流れからMotoGPライダーの加入が自然な流れと言えるが、ここにバレンティーノ・ロッシやマーベリック・ビニャーレスの名前を挙げるよりも、Monster Yamaha Tech3の2人、ヨハン・ザルコとジョナス・フォルガーらを有力候補とする方が現実的だろう。今年、全日本のYAMAHA FACTORY RACING TEAMにもMonster Energyがチームサポートをすることから、スポンサー面でも問題はない。
鈴鹿8耐3連覇に向けて着々と地盤を固めつつあるYAMAHA FACTORY RACING TEAMだが、ホンダ関係者は「鈴鹿8耐での3連敗は絶対に許されない」と語っており、再びHY戦争激化の様相だ。そのホンダは、過去に鈴鹿8耐10連覇の偉業を成し遂げており、これまでの39回大会で2連敗したのはわずかに2回だけと圧倒的な強さを見せているのだが、昨年のホンダユーザーの最上位は8位と惨敗。しかも鈴鹿8耐での3連敗は過去に例がないだけに、ホンダにとって今年の“コカ・コーラ”鈴鹿8耐は正念場だ。
2016年の全日本ロードレースJSB1000クラスで5連覇7度目のチャンピオンを決めたYAMAHA FACTORY RACING TEAM
中須賀選手
中須賀選手
中須賀選手