「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#51「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など、五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。アテ…

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#51

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など、五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。アテネ五輪に出場したサッカー元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏は、独自の「ミカタ」で各競技をチェック。ブラジルから来日し、日本を愛したサッカー界の侍が、他競技からの視点で熱くなったシーンを語る。今回はバレーボール男子日本代表の死闘。1日の1次リーグのイラン戦でフルセットの末に8強進出した。実は中学時代、バレー部だった闘将は次戦の故郷ブラジル戦も日本を応援すると断言した。(構成=THE ANSWER編集部)

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 熱くなったね、男子バレーボール。日本が勝った瞬間には思わず声が出てしまった。

 29年ぶりの決勝トーナメント進出を決めた一戦はまさに死闘だった。世界ランク11位の日本と12位のイラン。拮抗した力関係で、勝てば1次リーグ突破、負ければ敗退という状況で、なかなか見ないシーソーゲームになった。

 第11セットを取ったけど、そこから一気に逆転された。3セット目は熱かった。デュースの連続で、イランの監督が凄い勢いで抗議して、31点目がイランに与えられた。

 日本のベンチもかなり熱くなって、乱闘になりそうな場面もあった。コンタクトスポーツじゃないのに、全く違うスポーツのようにエキサイトしていた。イランベンチは2回以上もチャレンジしていたけど、あれはアリなのか? それくらいイランも執念を見せていた。

 凄まじい展開で、土壇場の4セット目で追いついた日本。最終セットはリードしていたのに、終盤追いつかれそうになった。あまり勝負強いイメージはなかったチームで、ここでずるずるいってしまうのかという正念場。最後の最後まで危なかったけど、踏ん張った。メンタルの強さを感じた。

 左の西田有志選手のインパクトが凄い。186センチでそこまで長身ではないけれど、強烈なスパイクをどんどん打ち込でくる。右の石川祐希選手、高橋藍選手も素晴らしかったし、セッターの関田誠大選手も上手かった。

実は中学時代バレー部の闘莉王、次は故郷ブラジル戦「日本を応援します」

 バレーボールは思い出深いスポーツなんです。

 ブラジルの生まれ故郷サンパウロ州パルメイラ・ド・オエシチでの中学時代。日中は税理士の手伝いの仕事をしていたので夜間授業に入る前、毎日部活で30分間、励んでいた。当時から背は高い方だったのでアタッカー。1日で唯一の楽しみだった。

 醍醐味はスパイク。気持ち良く打ち抜いた時は、サッカーでいうとシュートを決めた時と同じ感覚。難しいボールをみんなでトスをつないでいく部分も楽しい。

 日本でも渋谷幕張高校(千葉)時代に授業でやっていました。サッカー部の活動がない日は、バレーボール部の練習にも参加していたくらい。バレーの実力も評価されていましたよ。

 次はブラジル戦。ブラジルは強いでしょうね。ただ、世界ランクトップですが、フランスと接戦の末に勝ち上がってきている。国内では金メダルが期待されているが、本調子ではないとも報じられている。

 ブラジルでは昔、バレーボールといえば日本というイメージだった。指導者をわざわざ日本から招待して、レベルアップを図ったくらい。ブラジルではサッカー、F1と共に人気の高いスポーツでテレビ中継で目にする機会も多い。

 日本にとっては厳しい勝負になると思うけど、勝てば4強の大一番。日本を応援します。また熱くなるような名勝負を期待している。(THE ANSWER編集部)