2大会ぶりの優勝を目指して第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦う野球日本代表「侍ジャパン」は、1次ラウンド・プールBを3連勝で1位通過し、2次ラウンド・プールEにコマを進めた。そ■岩村氏が分析する“死闘の分かれ目”、流れ変…

2大会ぶりの優勝を目指して第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦う野球日本代表「侍ジャパン」は、1次ラウンド・プールBを3連勝で1位通過し、2次ラウンド・プールEにコマを進めた。そ

■岩村氏が分析する“死闘の分かれ目”、流れ変えた2投手とは

 2大会ぶりの優勝を目指して第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦う野球日本代表「侍ジャパン」は、1次ラウンド・プールBを3連勝で1位通過し、2次ラウンド・プールEにコマを進めた。そして迎えた12日初戦は、メジャーリーガーで内野を固めるオランダとの死闘となった。タイブレーク方式による延長11回までもつれた試合は、4時間46分という長丁場の末、中田翔内野手(日本ハム)が決勝二塁打を放ち、日本が8-6で勝利した。

 文字通りの死闘を演じた侍ジャパンだが、勝機を呼び寄せたのはどのタイミングだったのか。第1回、第2回WBC優勝メンバーで、現在はルートインBCリーグ福島ホープスで選手兼監督を務める岩村明憲氏は「4回の平野、5回からの千賀の投球がデカかったね」と語る。

 2回、日本は秋山翔吾外野手(西武)の犠飛で1点を先制するが、直後にJ・スクープのソロ弾で追いつかれ、3回にも中田の3戦連発3ランなどで4点を勝ち越すが、その裏にヤクルトのバレンティンによる2ランなどで同点とされた。まさに試合はシーソーゲーム。勝ち越されても食らいつくオランダに勢いがあるかに見えたが、それを止めたのが4回の平野佳寿投手(オリックス)の登板だった。

「あの平野のピッチングはよかったね。オランダの勢いを完全に止める3者凡退だった。点を取った後に取られるっていうのは、すごく嫌な展開。どうしても追い上げる方に勢いが付くからね。そこをピッタリ抑えられた。彼のピッチングが5回の1点勝ち越しを呼んだと言ってもいい」

■千賀は無死二、三塁のピンチを「自作自演なので…」と反省

 日本は5回に坂本勇人内野手(巨人)が中前打で出塁し、捕逸などで2死三塁となると、小林誠司捕手(巨人)がセンターへ適時打を運び、1点勝ち越しに成功。ここで登場したのが、1次ラウンド第2戦のオーストラリア戦でも2回を無失点と好救援した千賀滉大投手(ソフトバンク)だった。

 5回は先頭シモンズに中前打、プロファーに右翼線二塁打を浴び、無死二、三塁のピンチを招く。だが、続くボガーツを見逃し三振、バレンティンを空振り三振、グリゴリアスを一ゴロに仕留めて無失点。6回にも走者を三塁まで進めたが、得点は許さなかった。

 千賀自身は5回の投球について「ゼロで抑えられたのはよかったですけど、僕が出した走者。自作自演なので、そこは何とも言えないです」と反省しきりだったが、岩村氏は1死二、三塁から迎えたバレンティンの打席を絶賛する。

■千賀vsバレンティンの勝負を絶賛「内角を攻められたのはバッテリーの勝利」

「もちろん、無死二、三塁を作ったのは千賀自身だけど、そこからが落ち着いたピッチングを見せることができた。特に、ボガーツを見逃し三振に取った後のバレンティンの打席だね。150キロを超えるストレートで2アウトまで追い込んだ後、恐れずに内角に速球を投げたでしょ。あれでバレンティンの体を起こしたからこそ、最後のフォークがより効果を増した。千賀のフォークはただでさえ落差があるのに、あそこで内角を攻められたのは、小林も含めバッテリーの勝利だよね。千賀の持ち味が十分に生きた攻め方だった。

 3回までは打ち合いで大味な試合になりそうだったのを、平野、千賀の無失点リレーが締まった投手戦に変えたよね。ピリッと締まったからこそ、7回にニンジャ菊池の好プレーも生まれたし、両者譲らない見応えのある試合になったんじゃないかな。

 9回にノリ(則本)が同点に追いつかれたけど、あそこで勝ち越されずに踏ん張れたのもよかった。もちろん、追いつかれないで終わるのが最高のシナリオだったけど、それは仕方ない。あの流れでもう1点取られず凌げたからこそ、10回の出塁や11回の勝ち越しにつながったんじゃないかな。4時間を超える長丁場だったけど、いい試合だったと思う。いや、ホント勝ってよかったよ」

 侍ジャパンは、これで1次ラウンドから4連勝。14日にはキューバとの再戦が待っている。2次ラウンドも全勝で勝ち抜け、勢いを持って決勝ラウンド進出を果たしたい。