第4回WBCが開幕した。日程的に先にスタートするプールA、Bから遅ればせながら、プールC、Dでも10日から戦いの火蓋が切って落とされようとしている。プールCには優勝候補筆頭のアメリカ、ドミニカ共和国が入り、プールDのプエルトリコとベネズエラ…

第4回WBCが開幕した。日程的に先にスタートするプールA、Bから遅ればせながら、プールC、Dでも10日から戦いの火蓋が切って落とされようとしている。プールCには優勝候補筆頭のアメリカ、ドミニカ共和国が入り、プールDのプエルトリコとベネズエラも優勝を狙えるだけの戦力を揃えた。2つの「死の組」に属する8か国の中から、NPBで活躍中の選手、あるいはプレー経験のある外国人選手たちがどれだけ存在感を示すことができるか。そんな期待に胸を膨らませながら、彼らのNPB通算成績を紹介しよう。

■NPB経由WBC行きの助っ人選手、プールC&D編

 第4回WBCが開幕した。日程的に先にスタートするプールA、Bから遅ればせながら、プールC、Dでも10日から戦いの火蓋が切って落とされようとしている。プールCには優勝候補筆頭のアメリカ、ドミニカ共和国が入り、プールDのプエルトリコとベネズエラも優勝を狙えるだけの戦力を揃えた。2つの「死の組」に属する8か国の中から、NPBで活躍中の選手、あるいはプレー経験のある外国人選手たちがどれだけ存在感を示すことができるか。そんな期待に胸を膨らませながら、彼らのNPB通算成績を紹介しよう。(※は予備登録投手)

〇プールC

【カナダ】
ダスティン・モルケン投手(2012~13年・北海道日本ハム)
28試合 2勝1敗0S 29.1回 23奪三振 防御率3.38

スコット・マシソン投手(2012~17年・巨人)
300試合 21勝20敗43S 306.2回 353奪三振 防御率2.32

ジェイミー・ロマック内野手(2016年・横浜DeNA)
30試合71打数8安打0本塁打2打点 打率.113

【コロンビア】

ギジェルモ・モスコーソ投手(2014~16年・横浜DeNA)
52試合 17勝22敗0S 286.2回 215奪三振 防御率4.27

■メキシコにはレアード、クルーズらが参加

〇プールD

【メキシコ】
ルイス・メンドーサ投手(2014~17年・北海道日本ハム)
75試合 24勝29敗0S 443回 281奪三振 防御率3.76

カルロス・トーレス投手(2011年・巨人)
6試合 1勝2敗0S 27.1回 19奪三振 防御率6.26

ブランドン・レアード内野手(2015~17年・北海道日本ハム)
286試合1045打数259安打73本塁打194打点 打率.248

ジャフェット・アマダー内野手(2016~17年・楽天)
39試合132打数34安打9本塁打19打点 打率.258

ルイス・クルーズ内野手(2014~15年・千葉ロッテ、16~17年・巨人)
340試合1252打数311安打43本塁打171打点 打率.248

【プエルトリコ】
オーランド・ロマン投手(2012~15年・東京ヤクルト)
133試合 18勝22敗6S 324回 207奪三振 防御率3.00

※マリオ・サンティアゴ投手(2015年・阪神)
3試合 1勝0敗0S 16.2回 7奪三振 防御率4.32

【ベネズエラ】

ロベルト・スアレス投手(2016~17年・福岡ソフトバンク)
58試合 2勝6敗1S 53.2回 64奪三振 防御率3.19

ウィル・レデズマ投手(2012~13年・千葉ロッテ)
27試合 3勝3敗0S 31.2回 23奪三振 防御率3.69

ホセ・カスティーヨ内野手(2010年・横浜~2011年・千葉ロッテ)
217試合797打数216安打24本塁打89打点 打率.271

【イタリア】

アレックス・マエストリ投手(2012~15年・オリックス)
96試合 14勝11敗1S 217.1回 164奪三振 防御率3.44

■「何が起こるか分からない」のが短期決戦で高い勝率誇る強国

 モルケンは日本のプロ野球界では目立った活躍ができなかったが、カナダ代表としての経験が豊富だ。2013年のWBCでは2試合で4回を投げて無失点に抑え、2015年のプレミア12では救援投手のベストナインに選出された。ちなみに、昨年はデトロイト・タイガースで4試合投げて防御率4.32、3Aで60.1イニングを投げて防御率3.58の成績を残している。

 昨季39本塁打を放って自身初のタイトルを獲得したレアードは、日本シリーズでも3ホーマーを放つ活躍でMVPを獲得。ホームランを打った際の寿司パフォーマンスはもはやお馴染みで、プレー以外でもファンから愛されている好漢だ。リーグの三塁手で2年連続の最多失策はご愛敬。今度は母親の出身国であるメキシコ代表を、バットと明るい性格で牽引できるだろうか。

 またクルーズはメジャー仕込みの内野守備で、ファンの目をくぎ付けにしてきた。適切なポジショニング、見事なグラブさばき、恐ろしく球離れの速いスローイング。そのどれもが日本人の常識とはかけ離れたもので、世界大会の舞台でも「教科書以上」のプレーを期待したくなる。二塁だけではなく内野であればどこでもOKの利便性に加え、2006年、2013年WBCに出場した経験も武器だ。

 鷹のセットアッパーを務めるスアレスは既にフルスロットルだ。今年初の実戦となった2月17日の紅白戦では、いきなり155キロをマークして周囲を驚かせた。とはいえ、昨年のクライマックスシリーズでは161キロを叩き出したのだから、本番で球速はまだ上がってくるのかもしれない。高校卒業後は草野球でプレーしていた男が、自慢の速球で世界の強打者が相手の腕試しに挑む。

 先に挙げた優勝候補4か国の過去3大会における1次ラウンドでの戦績は、アメリカ6勝2敗(勝率.750)、ドミニカ共和国7勝2敗(勝率.778)、プエルトリコ8勝1敗(勝率.889)、ベネズエラ6勝4敗(勝率.600)となっている。「何が起こるか分からない」のが短期決戦での掟だが、列強国はそれぞれの潰し合いがあるにもかかわらず高い勝率を収めている。波乱と呼べるのは2009年のドミニカ共和国敗退ぐらいで、机上の戦力を見比べた時に劣るチームが割って入るのは容易ではない。厳しいグループの中で、日本のプロ野球に縁がある戦士たちはどのような存在感を放てるだろうか。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」藤原彬●文