『エコカー技術の最前線』高根英幸・著SBクリエイティブ定価:1000円(消費税抜き)ISBN978-4-7973-5468-3現在エコカーと呼ばれる車は、EV、PHEV、PHV、FCV、クリーンディーゼル、そして一般的な低燃費なガソリン車と…
『エコカー技術の最前線』
高根英幸・著
SBクリエイティブ
定価:1000円(消費税抜き)
ISBN978-4-7973-5468-3
現在エコカーと呼ばれる車は、EV、PHEV、PHV、FCV、クリーンディーゼル、そして一般的な低燃費なガソリン車ということになるだろう。しかし、これでは現在の車のほとんどが「エコカー」になってしまわないか?
今の車は、以前に比べて低燃費化が進んでいるので、事実市販されている多くの車が、いわゆる「エコカー減税」対象車になっている。その意味で本書は近年の車、とくにエンジン(原動機)に関する解説書といっていいだろう。文章は平易で、専門的な解説を避け、イラストと写真でPHEVとPHVの違いやEVのバッテリー寿命、燃料電池(FC)や水素による発電について解説している。
「マイルドハイブリッドってなに?」「ディーゼルなのになんでクリーンなの?」といった素朴な疑問に答えてくれるとともに、初心者にもEVやハイブリッド車の基本的な構造や特徴が理解できるように配慮されている。本書は、ハイブリッド車やEVが、今後の車の主流となるなら、ドライバーの常識として押さえておくべき知識を得る目的で読むとよいだろう。
近代パワートレインの動向をつかむだけでなく、雑学的なトピックもある。ページ数も本文180ページほどとそれほど多くないので、飽きずに一気に読めそうだ。
全体としては、ハイブリッド車とEVに関する内容が多いが、関連したバッテリー技術、回生ブレーキ、燃料電池、直噴エンジン、クリーンディーゼル、ダウンサイジングターボなど、環境性能に貢献する主だった技術もコンパクトにまとめているので、最新のエンジン技術動向を俯瞰するために読んでもよい。
ちなみに、タイトルにある疑問の答えは、本書の中にちゃんと記述がある。e-POWER駆動の日産『ノート』は、従来のエンジンを発電機のみとして使い、車載バッテリーを通じて電気モーターが直接車を動かしている。これはいわゆる「シリーズハイブリッド」と呼ばれる技術だ。ガソリンエンジンと駆動用の電気モーターを搭載しているが、トヨタ『プリウス』などのようにエンジンだけによる走行、モーター(+バッテリー)だけによる走行(こちらはパラレルハイブリッドなどと呼ぶ)はできない。
この分類は一般的だが、電気モーターでしか走行できないならEVでもよいような気がするのは、筆者個人の感想である。