写真提供=Getty Images3月7日「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)の東京プール1次ラウンドが開幕。キューバと開幕戦を戦った侍ジャパンは松田宣浩内野手(ソフトバンク)の3ラン本塁打を含む4安…

写真提供=Getty Images

3月7日「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)の東京プール1次ラウンドが開幕。キューバと開幕戦を戦った侍ジャパンは松田宣浩内野手(ソフトバンク)の3ラン本塁打を含む4安打4打点の活躍などでキューバに11対6で快勝した。

★スタメン降格危機の松田が大活躍

殊勲の松田に対し、小久保裕紀監督は「悩んでごめんという感じです」と、やや笑みを浮かべた。前日の記者会見で「ギリギリまで悩む」と話していた三塁手の起用。大会前の実戦で状態の上がらなかった松田だが、「1打席目の初球から集中することができました」と、第1打席でセンター前安打を放つと、第2打席もセンター前に打球を運び、その後犠打で二塁に進む。すると1番・山田哲人内野手(ヤクルト)の二塁打で勝ち越しのホームを踏んだ。

さらに続く5回には、中田翔内野手(日本ハム)の二盗や、坂本勇人内野手(巨人)のタイムリーで追加点を奪うと、松田がレフトスタンド中段に飛び込む3ラン本塁打を放ち、試合の主導権を侍ジャパンが完全に握った。

7回・8回は眠りから醒めたキューバ打線に5点を返されたものの、その直後の攻撃で筒香嘉智外野手(DeNA)の2ラン本塁打や松田のタイムリーなどで2点ずつを奪い、逃げ切った。

松田は「明日も超積極的にバットを振っていきたいです」と、さらなる活躍を誓った。

★走攻守で見せた日本野球

WBC初戦という独特の緊張感の中、日本らしい野球が随所に表れた。

初回、先頭打者に安打を浴び、松田のエラーで無死一、二塁のピンチを迎えたが、続く相手打者の一、二塁間を抜けようかという打球に菊池涼介内野手(広島)が飛びついた。そこから流れるような動きで二塁へ送球し併殺を完成させた。これは、立ち上がりが不安定だった石川歩投手(ロッテ)を大いに助けた。

また5回には、四球で出塁した中田が相手バッテリーの隙を突き、二盗に成功。これには小久保監督も「(足が)速い・遅いではなく、隙を突いていくという野球を示してくれました」と称えた。

★先発・石川は好投もリリーフ陣に課題

侍ジャパンの先発・石川は、立ち上がりからストライク先行の落ち着いた投球を見せ、4回を2安打1失点の好投。本人は試合後の記者会見で「甘く入った球があり、変化球もコントロールしきれない部分がありました」と反省の弁も、先発としての役割を果たし58球を投げ救援陣にマウンドを譲った。
石川からバトンを受け5回から2番手で登板した則本昂大(東北楽天)が7回に3失点を喫すと、その後を岡田俊哉(中日)、平野佳寿(オリックス)、秋吉亮(東京ヤクルト)と小刻みに繋いだものの、さらに2点を奪われる展開となりリリーフ陣に課題の残る試合となった。

いくつか課題は見られたものの、キューバ相手の勝利という形で幸先の良いスタートを切った侍ジャパン。次なる相手のオーストラリア(8日19時〜東京ドーム)に対しては菅野智之投手(巨人)の先発起用を明言。小久保監督が「日本で1番の投手に託したい」と期待をかけられたエースの投球に注目が集まる。

文=高木遊