日本最高峰の富士山の5合目を目指すヒルクライムレース、「第17回Mt.富士ヒルクライム」が6月6日に開催された。1,225mの標高差を上るタフなチャレンジではあるが、5合目に向かうルートとしてはもっとも勾配の緩いスバルライン(平均勾配5.2…

日本最高峰の富士山の5合目を目指すヒルクライムレース、「第17回Mt.富士ヒルクライム」が6月6日に開催された。1,225mの標高差を上るタフなチャレンジではあるが、5合目に向かうルートとしてはもっとも勾配の緩いスバルライン(平均勾配5.2%、最大勾配7.8%)を用いるため、ビギナーや、軽量のロードバイク以外の自転車でも挑戦できる。同時に、本格派のクライマーにとっては、この緩急のあるコースは、ハイスピードに乗せるエリアもあり、挑み甲斐のあるもので、全国のクライマーが競い合う「日本一」と格付けされるステイタスの高いレースの一つになっている。レベルの差はあれど、この大会を一年の目標とするサイクリストも多い。



美しい富士スバルラインを駆け抜ける参加者たち

近年この大会は1万人を超える参加者を集めていたが、昨年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、開催を断念。秋には代替大会が企画されたものの、今年、多くのサイクリストが待ちわびた本大会開催を2年ぶりに果たすことになった。もちろん、世の中はいまだコロナ禍にあるため、今大会も可能な限りの拡大防止策を講じた上での特別な形式での開催だ。

大会前日には、メイン会場となる富士北麓公園の陸上競技場で参加受付が行われると同時に、出店テントが並び、自転車関連の展示や販売が行われる「サイクルエキスポ」が開催される。



陸上競技場にテントが並ぶサイクルエキスポ。例年は来場者でごった返す人気イベントだが、今年は制限をかけての開催になった



受付は、密を作りにくいよう、例年より受付時間を延ばし、広いスペースを確保して設営された



今年は近場に駐車場を設定し、参加者は駐車場からの無料シャトルバスか自転車で会場を訪れた

例年、大会にエントリーせずとも、このエキスポのために会場を訪れるエキスポファンも少なくない。だが今年は、来場対象は大会参加者のみとし、通路を一方通行に設定するなど、感染症防止のための制限をかけた開催となった。



入場時には検温など健康チェックが行われた



健康チェックを済ませた印のリストバンドを装着すれば入場が可能に



ブースめぐりを楽しむ来場者たち



大会のオリジナルジャージの特別販売。鮮やかな発色と美しいグラデーションが性別問わず好評だった

この日は時折、真っ青な空が顔をのぞかせる薄曇り。試乗車を含めた完成車だけでなく、ウェア、サプリメント、メンテナンス、トレーニング機器と自転車関連の幅広いジャンルのブースが並び、過ごしやすい天候の中、多くの参加者が、買い物やブースめぐりをのびのびと楽しんだ。



参加者の名前が盛り込まれた記念撮影用のパネル。多くの来場者が自分や仲間の名前を探し、撮影を楽しんでいた



人気ブランドの最新モデルの試乗を楽しむ来場者たち



インドアトレーニングを実際に試すことができる体験型のブースも



メンテナンス方法を実際に教えてくれるサービス



パワフルな走行を支えるサプリメントの特価販売も好評



足つりを予防するミネラルのサプリメントも登場



カジュアルウェアを販売するブースも

だが、午後になって数日前まで好天を示していた日曜の天気予報が、時間を追うごとに悪化。それなりの降水量の雨が降り、気温も下がる可能性を示唆し始めた。ヒルクライムレースでは下山に備え、防寒具を前もって預けるのだが、スタート方式が変わったことで、この荷物預かりは前日午後6時締め切りになっていた。幸い、エキスポ内にアウトレットの防寒具や雨具の販売をするブースもあり、急遽購入し、装備を整えた参加者もいたようだ。



受付で渡される専用の袋に下山用の防寒具を入れ、預ける。スタートとゴールで気温が10度ほど異なることもあり、例年防寒具の準備は必須

この大会には、過去の大会リザルトや、他の主要大会の結果から、事務局がセレクトした主催者選抜クラスが設定されており、選ばれた選手たちの多くは、このレースに照準を当て、仕上げてきている。この2年、集団で行うヒルクライムレースは全国的にほぼ開催されない状況だった。その空白の2年が、結果にどのような影響を及ぼすのだろうか。



翌日に向け、気合の入る主催者選抜クラスの選手。どのようなレースが展開されるのだろう



笑顔でガッツポーズ。試走の最高記録はなんと55分34秒(大会記録は57分10秒)と驚愕のタイムを語った池田隆人選手

会場からは、時折、富士山の美しい姿を見ることができる。翌日は皆がこの山に挑むのだ。訪れた参加者の気持ちの高揚がまだ漂うような空気の中、サイクルエキスポは幕を下ろした。



神々しい富士山が雲の間からふと姿を見せることも。この大きさ、オーラに圧倒される

翌日はいよいよヒルクライム本番だ。朝6時半の主催者選抜スタートから、参加者それぞれのチャレンジが始まる__。

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画像:Mt.富士ヒルクライム大会実行委員会、編集部