国内のサイクルロードレースのシリーズ戦JBCFシリーズの最上位レベルに位置するJプロツアーの第5戦「東日本ロードクラシック」が4月24日に開催された。これは、今年で55回目の開催を数える伝統ある大会だ。今年もレースの舞台は群馬サイクルスポー…

国内のサイクルロードレースのシリーズ戦JBCFシリーズの最上位レベルに位置するJプロツアーの第5戦「東日本ロードクラシック」が4月24日に開催された。これは、今年で55回目の開催を数える伝統ある大会だ。今年もレースの舞台は群馬サイクルスポーツセンター。Jプロツアーの中では東日本レースの開幕戦という位置づけになる。

シリーズ戦の中でレースは「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の4つに分類されるが、東西のクラシックは「ゴールド」に該当し、獲得ポイントが高い。中間スプリント賞として獲得できる「優勝ポイントの10%」も、年間優勝を狙っていくには、それなりのインパクトを持ってくる。



スタートラインに並ぶ選手たち。赤いリーダージャージはホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が着用

この日は普段JCLリーグをメインに参戦する宇都宮ブリッツェンから、東京五輪ロードレース日本代表に内定している増田成幸が、JCF(日本自転車競技連盟)強化指定選抜チームのメンバーとしてオープン参加することになり、注目を集めていた。
レースは1周6kmのサーキットを25周回する150kmで競われる。天気は快晴にめぐまれ、群馬県の高所に位置する普段涼しい会場でも、少し汗ばむほどの陽気となった。

リーダージャージを着るホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)を最前列にラインナップし、レースがスタート。



一斉にスタートする選手たち

比較的長い距離でのレースではあるが、スタート直後から積極的にアタックが仕掛けられ、ハイスピードの展開となった。集団は逃げ集団を作る動きを許さず、なかなか動きが決まらない。



形成された7名の逃げ集団

ようやく逃げ集団が形成されたのは7周目だった。小森亮平(マトリックスパワータグ)、當原隼人(愛三工業レーシングチーム)、河野翔輝(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、井上文成(弱虫ペダルサイクリングチーム)、風間翔眞(シマノレーシング)、原田裕成(CIEL BLEU KANOYA)、平井光介(JCF強化指定選抜)の7名の集団が先行し、メイン集団との差は1分程度まで開いた。メイン集団はリーダーを擁するマトリックスがコントロール。



ペースが上がり、一列に長く伸びる集団

増田らJCF強化チームがメイン集団のペースアップをはかり、実力者フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)も集団を牽引。ついに14周回に先行していた7名を吸収してしまった。
ここからマンセボ、トリビオ(マトリックスパワータグ)、今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、増田らを含む集団が先行、さらに今村がここから飛び出しをはかり、独走を始めた。



集団から単独で飛び出した今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)



愛三工業レーシングチームが集団を牽引

今村は独走で先行し、メイン集団との差は一時1分半ほどまで開いた。愛三工業レーシングチームがメイン集団を率い、ここにJCF強化指定選抜チームが連携、今村との差を見ながら、コントロールを始めた。



前方に上がり集団を牽引するJCF強化指定選抜チーム



独走してきた今村に増田成幸(JCF強化指定選抜チーム)が先頭を引く集団が迫る

独走を続けた今村は、22周目に吸収され、ここからレースは最終局面へ突入していく。

積極的にアタックが仕掛けられ、だが、すべての動きが集団に吸収され、飛び出す選手が出てこない。この頃までに、メイン集団は20名あまりにまでメンバーが絞り込まれていた。



終盤は激しいアタックの掛け合いに

ラスト3km、増田が強烈なアタックを仕掛け、集団を振り切りにかかった。



最終周回、増田がアタック



最終周回の上りで窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が増田をかわし、単独で先頭へ

これに反応したのは窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)。残り2kmからの登りで先行する増田に追いつき、さらには増田を抜き去り、先頭へ。



2年ぶりのJプロツアー優勝を決めた窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)

窪木はそのまま独走でフィニッシュラインを越え、2019年6月以来となるJプロツアー優勝を決めた。TEAM BRIDGESTONE Cyclingにとっては、今季2つ目の優勝だ。2位には、スプリンターの岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が入っている。



上位3名の表彰台

窪木は2015年のロード全日本選手権を制するなど、ロードレースにも強みを持つ選手だが、トラック競技でもナショナルチームのメンバーとなり、リオ五輪には日本代表として出場、ロードとトラックの双方でリザルトを残して来た。日本競輪選手養成所に入所し、この春に卒業。競輪選手としての道も歩み始めているが、TEAM BRIDGESTONE Cyclingに籍を置き、競技にも継続して参加しながら、世界への挑戦を志していく。この日は1週間後に競輪のデビュー戦となるルーキーシリーズを控えてのロードレース出場だったが、堂々と優勝を飾ることになった。(5月1日からのルーキーシリーズでも窪木はデビュー戦で初勝利を飾っている)



ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)がリーダージャージを守った



この日の敢闘賞は単独で逃げた今村駿介が獲得している

リーダーのトリビオは4位に入り、ポイントをがっちりと獲得。リーダーの座を守った(増田はオープン参加につきリザルトなし)。ネクストリーダージャージも平井光介(EQADS、このレースはJCF強化指定選抜チームでの出場)が守っている。

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【結果】東日本ロードクラシック 150km
1位/窪木一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling)3時間40分19秒
2位/岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)+5秒
3位/中井唯晶(シマノレーシング)+5秒
4位/ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+5秒
5位/入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)+6秒
6位/横山航太(シマノレーシング)+6秒

【敢闘賞】
今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)

【山岳賞】
平井光介(JCF強化指定選抜チーム)

【中間スプリント賞】
1回目/該当なし
2回目/小森亮平(マトリックスパワータグ)
3回目/今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)

【Jプロツアーリーダー】
ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)

【U23リーダー】
湯浅博貴(EQADS)

画像提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)