島津アリーナ京都(京都府立体育館)で開催された「第53回 島津全日本室内テニス選手権大会」(本戦2月19~26日/賞金総額600万円/室内カーペットコート)は最終日、女子シングルス決勝が行われた。第1シードの桑田寛子(島津製作所)が第4…

 島津アリーナ京都(京都府立体育館)で開催された「第53回 島津全日本室内テニス選手権大会」(本戦2月19~26日/賞金総額600万円/室内カーペットコート)は最終日、女子シングルス決勝が行われた。第1シードの桑田寛子(島津製作所)が第4シードの荒川晴菜(吉田記念テニス研修センター)を7-5 6-0で下して初優勝。2年前の全日本チャンピオンが今度は室内を制して“ダブル”全日本制覇を達成した。

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 いわば順当な優勝、だ。しかし、第1シードという立場は精神面で余計な労力を強いる。そのことと、多くの選手が「速い」「特殊」と口を揃えるサーフェスとの関係においても、桑田は難しさを感じていた。

 「プレッシャーなく思いきり打ってくるような相手だと、守備力が追いつかない。受け身になったら一気にやられる。集中力がいるコートだなと思います」

 そういう意味では、嫌な対戦相手だったかもしれない。17歳の荒川は実に挑戦者らしい新鋭だった。昨年の全日本ジュニア18歳以下の準優勝者で、プロの大会でも9月に行われたITF大会(賞金総額1万ドル)の「GSユアサオープン」で準優勝という成績を残しているが、桑田のことは「ずっと遠いところにいる選手。食らいついていきたい」と話していた。

 桑田は立ち上がりのサービスをいきなりブレークされ、第2ゲームと第4ゲームでブレークバックのチャンスを逃したが、第6ゲームでようやく追いついた。

 しかしコントロールよくボールを散らす荒川は、ドロップショットやドライブボレーなど多彩なショットを駆使。第9ゲームを2度のデュースで荒川がふたたびブレークに成功した。桑田はこれを悔やんだが、すぐにラブゲームでブレークバック。ミスが早くなった荒川の自滅だったといっていい。

 「リードされたら集中力が上がるんですけど、リードしたあと簡単に追いつかれてしまうことが多い。まだまだ未熟だと思いました」と荒川。桑田は第11ゲームでもブレークポイントを握られたが、2度のデュースの末にキープ。次はふたたびラブゲームでブレークし、このセットをものにした。

 経験や実績の差を考えれば、窮地を切り抜けた桑田が第2セットを圧倒したのはわかりやすい展開だ。第1ゲームで2度ブレークポイントを握られたものの結局1ゲームも与えず、第2ゲーム以降は5ポイントを許したのみ。第1セットの4-5から9ゲームを連取したことになり、地力の差を見せつけた。

 「4年間プロとしてやってこられたのはスポンサーの島津製作所のおかげ。これまで(今大会で)優勝したことがなかったので、どうしても勝ちたいという気持ちがありました」

 記者会見では、もう国内に思い残すことなく…という質問者の言葉を途中で引き継ぎ、「あとは世界で活躍するだけですね」と笑った。26歳が次に狙いを定めるのは、今のところ予選の壁に繰り返し阻まれているグランドスラムでの本戦出場、そしてWTAツアーでの優勝だ。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)