島津アリーナ京都(京都府立体育館)で開催されている「第53回 島津全日本室内テニス選手権大会」(本戦2月20~26日/賞金総額600万円/室内カーペット)は7日目、女子シングルス準決勝と女子ダブルス決勝が行われた。 シングルスは第1シー…

 島津アリーナ京都(京都府立体育館)で開催されている「第53回 島津全日本室内テニス選手権大会」(本戦2月20~26日/賞金総額600万円/室内カーペット)は7日目、女子シングルス準決勝と女子ダブルス決勝が行われた。

 シングルスは第1シードの桑田寛子(島津製作所)がノーシードで勝ち上がってきた藤原里華(北日本物産)を6-3 6-2で退け、第4シードの荒川晴菜(吉田記念テニス研修センター)は馬場早莉(フリー)に7-5 6-2で勝利。敗れた藤原はその後のダブルスでは高畑寿弥(橋本総業ホールディングス)との第1シード・ペアで決勝に臨み、予選から勝ち上がってきた上唯希/大矢希(ともに早稲田大)を6-2 6-4で退けて優勝を飾った。

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 冠スポンサーである“島津”への恩返し、いつも応援してくれているファンの方への恩返しのために----。島津製作所に所属する選手がこの大会で毎回、口にする言葉だ。それが彼女たちにとっての最大の出場理由、モティベーションである。先の日本リーグでは4連覇を達成。しかし、そのメンバーでもありJTAランキング10位の大前綾希子と16位の今西美晴(ともに島津製作所)が今大会には出場しなかった。

 そんな中、やはり前述のような理由で出場を決めたという島津のエース桑田。一昨年は「全日本選手権」を制し、世界ツアーでも2014年の全米オープンから全グランドスラムの予選に挑戦している。しかし、この大会では大前や今西が過去に優勝しているのに対し、まだ決勝に進んだことがない。例年に比べて出場選手の上位層が薄いことも桑田の使命感を引き出し、奮起させた。

 ここまで、1回戦で予選勝者の宗公美(狛江インドアジュニアATPチーム)にセットを奪われ苦戦したが、そのあとの2試合はストレート勝ち。初の決勝進出をかけて迎えた藤原は、WTAランキング最高84位、ダブルスでは全仏オープンのベスト4(パートナーは杉山愛)に進出したこともあるベテランだ。35歳になったが、156cmと小柄ながらトレーニングで鍛え抜いて生まれ変わった体でショットのキレに磨きをかけてきた。

 しかし、ダブルフォールトで自分の首を締めた藤原に対し、桑田は攻守のバランスのとれたプレーで競ったラリーも多くをものにした。

 「スコア以上に難しい試合だった。でもラリーでしっかりボールを押し込んでいこうと思っていて、大事なところで攻めきることができた」と桑田。

 第1セットは第3、第4ゲームをブレークし合ったが、3-3から3ゲームを連取し、第2セットは5-1までリードを広げ、優位を保ったまま締めくくった。

 「世界をまわって、自分に足りないところは理解できるようになってきた。もっと頭を使ったプレーをしていきたい」

 そんな26歳の決勝の相手は17歳の荒川だ。前日、清水映里(グリーンテニスプラザ)との10代対決を制し、準決勝では今大会ダブルスのパートナーでもあった馬場にストレート勝ち。

 「私、ほんとに全国の優勝ってほとんどなくて、大きなタイトルは全日本ジュニアの12歳以下くらい」とニコニコ笑いながら話す荒川は確かにジュニアの全国大会で準優勝やベスト4が多い。しかし同時に、昨年9月に京都で行われたITF大会「GSユアサオープン」(賞金総額1万ドル)でも準優勝の経験がある。京都と相性がいいのか、チャレンジャーの立場に強いのか。

 「桑田さんは全日本で優勝されたり、WTAでも200位台の選手なので(実際は187位)、今大会は試合をほとんど見させてもらっていました」という研究熱心な荒川でもあるが、今度こそ大きなタイトルに手が届くだろうか。壁が高いことは確かだ。 

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)