アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されている「アルゼンチン・オープン」(ATP250/2月13~19日/賞金総額54万6680ドル/クレーコート)は日曜日に決勝が行われる。 第1シードの錦織圭(日清食品)は、アレクサンドル・ドルゴポロ…

 アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されている「アルゼンチン・オープン」(ATP250/2月13~19日/賞金総額54万6680ドル/クレーコート)は日曜日に決勝が行われる。

 第1シードの錦織圭(日清食品)は、アレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ)に対して6度目の勝利を刻むため、準備を整えているところだ。錦織は、これまでにふたりの間で戦われた5対戦のすべてに勝ち、しかも1セットも落としていない。土曜日の準決勝での錦織は、地元の寵児カルロス・ベロックが課してきた厳しい試練を4-6 6-4 6-3で乗り越え、22度目のツアー決勝、そして南米での初の決勝に進んだ。

 世界ランク5位の錦織は、今大会は2度目の1セットダウンからの挽回を見せ、最終セットを獲った確率で79.5%(参考◎FedEx ATPパフォーマンスゾーン)、勝敗でいえば103勝31敗(最終セットを獲得した回数103、落とした回数31)という記録をさらに伸ばした。最終セットでの強さでいうと、錦織はノバク・ジョコビッチ(セルビア)をも抑え世界1位なのだ。

 ベロックがサービスラインより前からのハーフボレーを決めて第1セットを取ったとき、錦織は苦しい状況に身を置いていた。第2セットのベロックは試合を締めくくるまでに、あとは自分のサービスをキープするだけ、あと2ポイントを獲得するだけでよかったのだ。だが錦織は、それを許さなかった。飛び込むようにして打ったダウン・ザ・ラインへのバックハンドで、錦織は試合を第3セットにもち込み、最終的に2時間43分の戦いの末に勝利をものにした。

 錦織は2013年から2016年までメンフィスで4連覇を果たしたあと、今年はブエノスアイレスに出場し、決勝まで進んだ。大会は変われど、ツアーの2月半ばの日程を支配し続けている。彼はまた、アルゼンチン・オープンの決勝に進んだ初のアジア人選手となった。

 一方、準決勝で第4シードのパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)を7-5 6-2で破った世界ランク66位のドルゴポロフは、今週、圧倒的勢力だった。彼にとって7度目のツアー決勝に進む過程では、まだ1セットも落としていない。

 ドルゴポロフは3年ぶりのタイトル獲得を目指している。タイトルのかかった試合に挑むのは、2014年のリオデジャネイロでラファエル・ナダル(スペイン)に敗れて以来のことだ。

 「気分がすごくいい。ふたたび決勝に進ことができたのは素敵なことだ。ここ数年は厳しい年を送っていたからね」とドルゴポロフ。

 28歳のドルゴポロフはカレーニョ ブスタを破るのに、69分しか必要としなかった。彼は試合の最初のゲームをラブゲームでブレークされたが、その後、落ち着いて、すぐにブレークバックすると、この対戦でカレーニョ ブスタが手にした、ほかの4度のブレークチャンスをすべてつぶしてみせた。

 ブエノスアイレスにやって来たとき、ドルゴポロフはそれまでの11試合のうち10試合で負けているところだったため、今週の成功は待ち望んでいたものだろう。あとは決勝で錦織を破り、彼の“再起の疾走”を完成させるのみだ。

 ちなみにカレーニョ ブスタの敗戦によって、これまでの8年間、スペイン人が必ずひとりは決勝に勝ち進んでいたブエノスアイレスでのジンクスがついに破られることとなった。(テニスマガジン)協力◎ATP TOUR