2021年5月29日、東京六大学野球春季リーグで伝統の早慶戦が行われ、既にリーグ優勝を決めている慶大が早大を3対2で下した。正木は昨秋から取り組む「足を上げて下ろすまでに一度ヒッチさせる(グリップを落とす)」という打撃フォームがハマり、今…

 2021年5月29日、東京六大学野球春季リーグで伝統の早慶戦が行われ、既にリーグ優勝を決めている慶大が早大を3対2で下した。

正木は昨秋から取り組む「足を上げて下ろすまでに一度ヒッチさせる(グリップを落とす)」という打撃フォームがハマり、今季これで4本目の本塁打となった

 昨秋の早慶戦2回戦で9回2アウトから蛭間拓哉(3年・浦和学院)に逆転本塁打を打たれ、早大に優勝を奪われた慶大。それでも今年は平常心で戦い、落ち着きのある試合運びでがっちりと勝利を掴んだ。
 2回に早大・熊田任洋(2年・東邦)のスクイズで先制を許した慶大だったが、先発・森田晃介(4年・慶應)は後続を絶って追加点を与えず。その粘りの投球に応えたのが4回だ。
「森田が頑張ってくれていたので後ろに繋ごうと思っていました」と振り返る正木智也(4年・慶應)が、やや体勢を崩されながらもバックスクリーンへ打球を運ぶソロ本塁打を放って同点に追いつく。さらに朝日晴人(3年・彦根東)の内野安打や相手の失策などでこの回3点を奪った。

 1点差に詰め寄られていた7回からは昨秋に逆転本塁打を打たれた生井惇己(3年・慶應)が登板。8回は蛭間らに安打を打たれ、満塁のピンチを招いたが「ストレートを強気にインコースに攻める自分の投球ができました」と振り返ったように、ホームを踏ませない意地の投球を見せた。この流れを今季抑えに定着している橋本達弥(3年・長田)がしっかりと無失点で締めて試合終了。昨秋の雪辱に燃える慶大がまず1勝を挙げた。

 正木は通算10号、今季4号となる本塁打を放ち、「ずっと意識してきたイン・サイド・アウト(の打ち方)で良い形で打てました」と自らの成長を実感。伝統の早慶戦ではあっても「特別な気持ちはありましたが、“これまでの相手とやることは変わらない”といつも通りにできたことが良かったと思います」と平常心も勝利の要因に挙げた。

 一方、これで単独5位が決まった早大は小宮山悟監督が「終わってみれば1点差のいい試合のように思えるのが情けない。力の差は歴然」と話したように、流れを良い形で掴むことができず点差以上の差を感じる敗戦だった。

30日の早慶戦2回戦で早大が巻き返しを図るのか。それとも慶大が返り討ちにして、良い形で全日本大学野球選手権に臨むのか。両者の意地がぶつかる第2ラウンドでも熱戦に期待したい。

今季初めて1回戦の先発を任された西垣雅矢(4年・報徳学園)だったが、3回の集中打が響き悔しい敗戦となった

■慶應義塾大vs早稲田大1回戦
慶大 000300000=3
早大 010010000=2
【慶】○森田、生井、橋本達-福井
【早】●西垣、原、加藤-岩本
本塁打:慶大・正木(4回ソロ)

2回無失点で好救援した生井は「去年の悔しさは消えないので、これからもゼロで抑えていきたいです」と話した

文・写真=高木遊