5月23日、東京六大学野球春季リーグの第7週2日目が行われ、第1試合では東大が計3投手による完封リレーで法大を2対0で下し、2017年秋以来7季ぶりの白星を挙げた。東大が7季ぶりの勝利を挙げ、リーグ戦の連敗を「64」で止めた。上限300…

  5月23日、東京六大学野球春季リーグの第7週2日目が行われ、第1試合では東大が計3投手による完封リレーで法大を2対0で下し、2017年秋以来7季ぶりの白星を挙げた。

東大が7季ぶりの勝利を挙げ、リーグ戦の連敗を「64」で止めた。上限3000人のスタンドからは大きな拍手が沸き起こった。

 ともに春季リーグ最終戦。前日10対2で逆転勝ちを収めた法大は、今季4試合に先発して2勝2敗、防御率1.93の左のエース・山下輝(4年・木更津総合)が先発。一方、前日6回まで2対1とリードしていながらも終盤に逆転を許した東大は、奥野雄介(4年・開成)が自身リーグ戦初先発。初夏の日差しが照りつける中で試合が始まった。

 初回は両軍無得点も、2回裏に東大が動く。2死から山﨑康寛(4年・岡山朝日)が死球で出塁しすると、代走の阿久津怜生(3年・宇都宮)が二盗に成功し、そして8番・松岡泰希(3年・東京都市大)が「気持ちで打った」と詰まりながらもライト前に運んで1点を先制。「塁を進めないと点にならない。早めでも仕掛けていく」と井出峻監督。さらに4回裏にも、宮﨑湧(3年・開成)がセカンド強襲安打で出塁すると、すかさず代走・隈部敢(4年・浅野)を送る。そして安田拓光(3年・三鷹中等教育)がヒットで繋いで一、三塁とした後、阿久津選手の投ゴロの間に三塁走者が本塁生還。足を絡めたチーム一丸の攻撃で、東大が2点のリードを奪った。

4回裏、阿久津のボテボテのピッチャーゴロの間に代走・隅部が本塁生還。東大が“足攻”で2点のリードを奪い、試合の主導権を握った。

自身リーグ戦初先発となった東大の先発・奥野は、制球を乱すことなく、変化球を効果的に織り交ぜながらスコアボードに「0」を並べた。

 マウンド上では、先発の奥野が快投を続けた。「中継ぎで良かったですし、常に努力していた」と井出監督。1回表1死二塁のピンチを連続三振で切り抜けると、2回、3回と三者凡退。4回、5回とヒット1本ずつを許したが、変化球を効果的に使いながらテンポの良いピッチングで5回を2安打1四球4奪三振で無失点の好投を見せた。

そして6回からは継投へ。2番手の西山慧(3年・土浦一)は6回表に2死一、二塁のピンチを背負ったが、法大の5番・後藤克基(4年・滋賀学園)を空振り三振に仕留めると、続く7回は危なげなく三者凡退。8回からは前日先発した井澤駿介(3年・札幌南)がリリーフのマウンドへ。8回表の2死一、二塁のピンチで4番・小池智也(4年・八戸学院光星)をセンターフライに打ち取って無失点を継続すると、最終回はスタンドから1アウトごと、1球ごとに拍手と歓声が沸き起こる中、外野フライ2本で2アウトを奪った後、最後は諸橋駿(4年・中京大中京)をショートゴロに仕留めてゲームセット。東大が2017年以来7季ぶりの白星を手にし、連敗を64(3分を挟む)で止めた。

東大4年ぶりの勝利は、現在の部員全員にとっての初白星。ゲームセットとともにグラウンドに歓喜の輪が出来上がった。

 試合終了とともにベンチから飛び出した東大ナインは、強く、抱き合った。「ミーティングの時間を増やして、全員で勝つイメージ、勝つプランを追い求めてきた。むちゃくちゃ嬉しいです。言葉では言い表せない」と大音周平主将(4年・湘南)。前回の勝利は4年前のため、全部員にとって初白星。外野スタンドの応援団に挨拶した際には目に涙を浮かべる選手も。就任2年目で初白星を手にした井出監督も「夢のようです」と感激の言葉をこぼした。

 これで今季の全10試合を終え、勝点1(1勝8敗1分)で終えた東大。8敗の中に多くの課題と収穫があり、それにひとつひとつ、真摯に、丁寧に向き合ってきた。ようやく掴んだ白星を手に、「またもう1回、どうやったら勝てるのかを、攻撃でも守備でも見つめ直して、また新しいチームとして秋に臨めるようにしたい」と大音主将。早くも、次の“1勝”へ向けて気持ちを引き締め直した。

 一方、敗れた法大は打線が4安打と振るわず。「変化球をうまく混ぜられて、四球も出さない。投手陣がまとまっていた。的を絞りきれなかった。もう1本どころか、チャンスも作れなかった。言いたくないですけど、力負けです」と法大・加藤重雄監督。法大は今季を勝点4.5(4勝5敗1分)で終えた。

■法政大vs東京大2回戦
法大 000 000 000=0
東大 010 100 00X=2
【法】●山下輝、平元、古屋敷-大柿
【東】○奥野、西山、井澤-松岡泰

◎東京大・井出峻監督
「夢のようです。嬉しいです。選手が前向きに練習してくれるので、私はそれに乗っかっているだけです。本当に勝てるのかと思いはあった中で、前の監督も『勝つ時は“スッと”いくぞ』と言われていましたが、その通り“スッと”いったので良かった。継投はどうなるかわかりませんでしたけど、うまくいきました。攻撃でも守りに入らず、点が入らなくてもどんどん攻めていったのが良かった」

◎東京大・大音周平主将(4年・湘南)
「むちゃくちゃ嬉しいです。今はまだフワフワした気持ちです。言葉では言い表せない。いろんな感情が混じっていて…、やっと勝てたという感じです。今シーズン、いい試合をしていても負けて…、でも負けた後でもみんな前を向いて、そこで出た課題に取り組んできた。今日はみんながいい役割を果たして、その課題を克服できた。コロナ禍で練習時間は限られていましたけど、ピンポイントでできるプレーを練習して来た。またもう1回、どうやったら勝てるのかを、攻撃でも守備でも見つめ直して、また新しいチームとして秋に臨めるようにしたい」

◎法政大・加藤重雄監督
「昨日の試合展開が薬になって、今日はアップも時間をかけてやって、気持ちも体も集中したはずなんですけど、如何せん、元々課題だった打線が、もう1本どころか、チャンスも作れなかった。言いたくないですけど、力負けです。反省は十分するべきです。一生懸命やっていても雑なプレーになっている。いい選手は揃っている。秋に向けてしっかりと練習して行きたい。失礼な言い方かも知れませんが、我々(が学生だった)の時の東大さんとは違って、互角の力がある。本当に一生懸命に戦わないと勝てない。今日は本当に完璧に抑えられた。痛い勉強をさせてもらった」

◎法政大・三浦銀二(4年・福岡大大濠)
「ヒットも4本しか出ていないですし、守備でも雑なプレーが多かった。今の我々の実力がすべて出たんだと思う。チームとして、勝てないことを真摯に受け止めて、課題を修正して、また強い法政を作って戦えるよういしたい」