第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕まで1か月を切った。そんな中、地元紙「ロサンゼルス・デイリー・ニューズ」電子版が「WBCに参加しないアメリカのトップ選手を非難できますか?」とのタイトルで特集記事を掲載した。■豪華野手…

第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕まで1か月を切った。そんな中、地元紙「ロサンゼルス・デイリー・ニューズ」電子版が「WBCに参加しないアメリカのトップ選手を非難できますか?」とのタイトルで特集記事を掲載した。

■豪華野手陣も昨季MVPトラウトらは出場せず、「これはアメリカの課題」

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕まで1か月を切った。日本時間9日には各国の最終メンバー28人が発表され、前回大会王者のドミニカ共和国ら中南米諸国にはメジャーリーグのスター選手が集結。世界一をかけたハイレベルな戦いに期待がかかる。

 そんな中、地元紙「ロサンゼルス・デイリー・ニューズ」電子版が「WBCに参加しないアメリカのトップ選手を非難できますか?」とのタイトルで特集記事を掲載した。

 今大会は豪華野手陣が揃ったと見られている米国代表だが、真のトップクラスの選手はまだまだ不足していると指摘。昨季のア・リーグMVPに輝いたマイク・トラウト外野手(エンゼルス)ら、WBCに出場しない選手を責めることは出来ないとしている。

 記事では、米国人投手で昨季のWHIP(1イニングあたりの四球+安打)上位14人に入った選手のうち、米国代表として出場するのはダニー・ダフィー(ロイヤルズ、WHIP1.14)のみで、米国人野手のOPS(出塁率+長打率)上位8人ではダニエル・マーフィー(ナショナルズ、OPS.985)のみだと指摘。昨季、MLBトップのWHIP0.97をマークしたマックス・シャーザー投手(ナショナルズ)は当初は出場予定だったが、右手薬指の疲労骨折で辞退した。

■侍ジャパンもメジャーで活躍する投手は不参加に

 もっとも、「これは世界的な課題ではなく、アメリカの課題だ」という。

 確かに、ドミニカ共和国やベネズエラはスター級の選手を招集しており、“本気度”は高い。ドミニカ共和国は前回大会で初優勝を果たしたが、記事では米国がここまで決勝にも辿り着いていないことを振り返っている。一方で、「過去2度の大会制覇を果たしている日本も真剣な取り組みを見せていた。しかし、その日本ですら今回のWBCにはMLBのスター選手抜きで挑むことになる」とも指摘。侍ジャパンも、岩隈久志、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太、上原浩治、田澤純一を招集できないなど、メジャーリーガーの投手の選出は米国だけでなく出場各国の課題となっている。

 ただ、米国に関しては野手陣も豪華ではあるものの、ア・リーグMVPのトラウト、ナ・リーグMVPのクリス・ブライアント内野手(カブス)がメンバーに入らないなど、決してベストメンバーとは言えない陣容。それでも、選手を責めることは出来ないというのだ。

「誰もトラウトなどの辞退した選手を非難することはできない。彼らは162試合を戦うために給料を得ている。スプリングトレーニングは7週間に及ぶ(収入に響かない)“無駄”な時間ではあるが、それでも彼らは開幕戦までのプランを実行していく。そして、彼らのほとんどはこれまでにユース世代などで、祖国への貢献を果たしてきた」

■剛腕代理人は“2A選抜”を提案、「もし負けたとしても気にはとめられない」

 選手はあくまで所属チームのためにシーズンを戦うべく、開幕へ向けて照準を合わせることが重要だと指摘。確かに、選手が収入を得られるのは球団が給料を払ってくれるからであり、記事ではその点を強調している。

 一方で、今回の記事では、剛腕代理人のスコット・ボラス氏が2Aから若手を集めてWBC代表チームを形成するべきと提案していることも紹介。大会のために、若手選手を集めて数か月準備をさせ、大会に臨ませれば、「もし負けたとしても気にはとめられないだろう。もし勝てば輝かしい瞬間となり、将来有望な若手選手を目にすることになる」としている。この一文からは、米国内でWBCへの熱がまだ決して高くないことが伝わってくる。

 この他、25歳以下で代表を形成する手もあると提案。その場合、トラウト、ブライアント、アレナド(ロッキーズ)、イエリッチ(マーリンズ)、ハーパー(ナショナルズ)、シーガー(ドジャース)、ラッセル(カブス)らが該当するという。

 同紙は最後に「想像の世界だけであれば、もっとやり方はあるようだ」としているが、WBCの本来の目的は、各国がベストメンバーでぶつかり合う真の「世界一決定戦」のはず。米国内では、WBCが今回で最後になるとの報道も出ているが、継続のためには米国代表が本気になる必要がありそうだ。