女性たちがトライした北海道北見エリアのスノーライド「流氷ライド」は2日目を迎えた。1日目は常南ビーチとノーザンアークヒーローズパークの特設コースを練習がてら走った。※初日のレポートはこちら2日目は、まさに初の試みとなる、国定公園のワッカ原生…

女性たちがトライした北海道北見エリアのスノーライド「流氷ライド」は2日目を迎えた。1日目は常南ビーチとノーザンアークヒーローズパークの特設コースを練習がてら走った。

※初日のレポートはこちら

2日目は、まさに初の試みとなる、国定公園のワッカ原生花園の散策路と海岸線を走る。この日からJALの北海道アンバサダーの谷口由紀さん、山内聖美さんに加え、元プロロードレーサーの横山杏菜さんも参加。朝から快晴に恵まれ、皆やる気満々だ。この日も、ノーザンアークヒーローズパークを運営するヒロさんが参加し、サポートをしてくれることになった。
まずは海と空を見渡せる常南ビーチからスタート。集合してビーチを見渡せる場所に上がり、言葉を失う。夜のうちに流氷が接岸し、あたり一面が氷に覆われていたのだ! こんなことが起こりうるなんて!



ビーチには流氷が接岸し、あたり一面が氷の世界へと変わっていた



どこまでも続く流氷。まるで大地のよう



岩に上り、氷に包まれた景観を眺める。圧巻の眺めだ

前日とは路面状況も変わっていたが、走れる場所を探し出し、ファットバイクでのライドを楽しむ一同。



さすがの身体能力で、周辺エリアに挑戦する横山さん。脚力があれば乗り切れるエリアも広がる



岩々の間を縫って走る。前日とは眺めが一変し、氷が繋がったため、陸が広がったような不思議な感覚に

JALのアンバサダーのお二人も、ぐんぐんライディングテクニックを高めていく。この日はアドバイスを受けることもなく、ライドに繰り出して行った。

好天のうちに、ワッカも走りに行こう! 早々に切り上げ、ワッカ原生花園に向かうことになった。トラックなどにバイクを積んでもらい移動する。ここには、開催予定だったイベントの枠組が活かされた。
到着し、まずは海岸から挑戦することになった。たどり着いて、絶句。ここを、自転車で走れるのか? 広がるビーチは海水浴場ですらなく、人が歩いた気配も皆無。まさに自然のままだ。大きな氷や雪の塊が点在し、雪もところどころ深く、眺めるには絶景なのだが、走るフィールドとなると、まさに未知数だ。
そんな空気を察したのか、さっそうと横山さんが斜面を降り始める。



難度の高い積雪した斜面に挑戦する横山さん

雪が深すぎてタイヤが埋まってしまい下車したが、その勇気に一同が圧倒された。よし、行こう!
凡人の極みを自覚する筆者は、ずるずるとファットバイクを引きずって斜面を降りて合流。見回すと、迫力の空間が広がっていた!



走行可能なエリアを探すインストラクターのヒロさん。まさに冒険だ



自然のままの路面だが、探せば不思議と走れるラインがある

走れる路面を探して動く。柔らかい雪が深く積もった場所は走れない。タイヤが噛む場所を探りながら、慎重に海岸線沿いを進んでいく。最初は全く走れないように見えたが、意外と走れるエリアが見つかる。行けるところまで行って、ダメだったら足をついて再スタート。「走れた」瞬間の快感は最高で、皆が夢中になって海岸を探索した。



絶景の中、バイクを走らせる



自然が作り上げた迫力ある景観が広がる

散策路を走る。完璧に除雪されており、ママチャリでアスファルトを走るに近い安定度。だが、周囲の景観は圧巻だ!



凍りついたサロマ湖に接するワッカ原生園の散策路。緑が茂るグリーンシーズンとは全く違う場所のようだ



グリーンシーズンの散策路。多様な植物が自然のままに生い茂る

時間も限られているため、さっと腹ごしらえし、デザートでカフェに向かうことに。



カフェに到着!

この日訪れたのは、常呂のカフェ「しゃべりたい」。ホタテフライが乗ったカレーなどが人気なのだが、皆の目当ては、あまーいデザート「流氷ソーダ」だ。



他のどこよりもアイスの量が多い!? 名物ドリンク「流氷ソーダ」。食べ応えは満点

美しいアクアブルーのソーダに浮かべられたのは、先ほどまで眺めていた“流氷”のような「バニラアイス」。アイスの迫力もさるものながら、さすが北海道! アイスが美味しいのだ。最初は皆そびえ立つアイスの壁に圧倒されるのだが、アイスをそのままパクパク食べて、ソーダと混ぜているうちに、意外とペロリと食べられてしまう。ソーダも甘さが控えめに作られており、一般的に飲まれているクリームソーダなどとは、明らかに一線を画するおいしさ! 大満足の笑顔で、ペロリと平らげたのだった。
「ついつい食べすぎちゃったから、腹ごなしをしたい!」。
乙女たちの声を受け、午後は常呂川の堤防上を走ってみることになった。除雪区間は、ファットバイクで走行できるという。

例年より気温が上がっていることもあり、一部は路面が露出しているほど、しっかりと除雪されていた。近隣の皆さんの生活道路になっているのだろう。路面は安定していて走りやすく、ストレスフリー。これまでの奮闘を思えば、物足りなく感じるほどだが、悪路を乗りこなすワクワクではなく、ここで堪能するのは、素晴らしい景観の間を走り抜ける経験だ。



常呂川堤防上を走る



遠くの山々、広がる雪原、どこを見回しても美しい

堤防の両側には、河川敷の草原や畑が広がっており、見渡す限りの真っ白な雪原。この上を走るのは野生のキタキツネのみとあって、時々見える小さな足跡以外は、まっさらな雪が広がる風景は、海岸沿いとはまた異なる絶景だ。視界の端に映る雪化粧した遠くの山並みも美しい。



堤防上の快適な走行を楽しむ一同

少し日が傾いてきて、日差しに色がついてきたようだ。やわらかい日差しに照らされる里の風景に感動。これまで見てきた風景とは、また風情の異なるやさしい美しさ。絶景の間を貫くこのルートの走行を、皆が楽しんだのだった。

雪の中って、夕景はどうなのだろう? このあたりで夕陽といえば、サロマ湖であるが、スノーシーズンの夕景については聞いたことがない。地元の方に聞いても、誰一人「冬の夕景」を意識したことがないという。なんらかの影響で冬は夕焼けが起こらないのか、起きているが誰も気にしていないだけなのか? この日のライドの締めくくりに、ワッカ原生花園方面の夕景を検証しに行くことにした。日暮れまで時間がない。急がなくては!
午前中に走行を楽しんだワッカ原生花園に戻ると、この日の保守作業が終わる時間を迎え、車が次々退出してくる時間帯だった。園の中には入らず、門の手前のサロマ湖に面したエリアで日没を待つことにした。日が傾き、色づいている。雪は、果たして何色かに染まるのだろうか?



ワッカ原生花園に到着。日中とはまったく雰囲気が変わり、別世界のよう

太陽は少しずつ落ちていく。凍りつき、白い雪で覆われたサロマ湖の湖面に色づいたやわらかい陽射しが差し込み、えも言われぬ幻想的な空間を作り出している。日暮れとともに急激に気温が落ちてきたが、刻々と色を変える眼前の景観のあまりの気高い美しさに、誰もその場を動こうとはしなかった。これまで、こんなに真剣に落ちていく夕日を見つめたことがあっただろうか。



太陽が落ちていくさまに釘付けになる一同。貴重な体験だった

太陽は完全に山の向こうに姿を消した。あと少しで、一気に日暮れがやってくるだろう。朝から屋外では動いていたためか、ほとんど寒さを感じることはなかったが、日没を見届けた安堵感なのか、突然、寒さが身にしみてきた。ファットバイクを積み込み、退避の準備を始める。
朝からスケールの大きい奇跡のような景観の中で、路面と奮闘し、まったく思いのままに走れない自分に笑う。ここまでの日常なんて、自分の中からどこかに消えてしまったみたい!

谷口さん、山内さんは、スポーツバイクにも慣れてはおらず、ファットバイクも、雪上のライドも初めての経験だった。それでも見事に乗りこなし、存分にライドを楽しんだようだ。
「美しい景観が記憶から離れません」と語る谷口さん。「流氷を見ながらのファットバイクは、冬のオホーツクで限られた日しか体験できない貴重な経験。特別感がありました」。流氷のそばを走るのは、夢のような経験だったと語る。
これまで日本のトップで数々のレースを走ってきた横山さんも、ロードレースとはまったく違うチャレンジに、エキサイトし、満喫した様子だった。さあ宿に戻り、最後は新鮮な海の幸を楽しもう!

今回のスノーライドは3本立てで企画され、常南ビーチやワッカ原生花園を走る第1弾、ワーケーションをおこなう第2弾、子連れのママたちが走り、子供たちは雪遊びを楽しむ第3弾が開催された。
次回のレポートもお楽しみに!

※ガイドラインに従い、感染予防への最大限の配慮をして走行しております

画像:サイクルアドベンチャーオホーツク推進協議会
提供 Naoki YASUOKA(Cyclowired.jp)