2月8日から11日まで、カザフスタン・アスタナ(ナショナルテニスセンター/室内ハード)で開催されている女子国別対抗戦「フェドカップ(フェド杯)」のアジア/オセアニアゾーン・グループⅠ。大会3日目の10日はグループリーグの第3戦が行われ、…

 2月8日から11日まで、カザフスタン・アスタナ(ナショナルテニスセンター/室内ハード)で開催されている女子国別対抗戦「フェドカップ(フェド杯)」のアジア/オセアニアゾーン・グループⅠ。大会3日目の10日はグループリーグの第3戦が行われ、日本は中国を3勝0敗のストレートで下し、グループリーグを首位で突破。ワールドグループⅡのプレーオフ進出をかけて、カザフスタンと明日の決勝を戦うことになった。

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 中国のシングルス2は世界ランク135位のジャン・カイリン。56位の大坂なおみ(日清食品)に対し、ジャンは立ち上がりから積極的に飛ばし、ストローク戦でも互角の打ち合いを見せる。大坂は4-4からの第9ゲーム、ジャンから2本のダブルフォールトをもらいながらブレークに失敗すると、ラケットを投げて苛立ちをぶつけた。

 第1セットは6-4でジャン。重い空気が日本チームに流れかけたが、第2セットのスタートから今度は大坂が飛ばした。声を上げ、ガッツポーズをつくり、怒涛の大反撃。「集中力を高めて、気持ちを強く持った」と大坂が言う。一気の5ゲーム連取で5-0とし、第2セットは6-1でジャンを圧倒した。

 ファイナルセットに入っても大坂のペースだった。パワーに頼らず、緩急を使って相手を揺さぶり、ミスを引き出す。ジャンのセカンドサービスではぐっと前に入って重圧をかけた。1-1から4ゲームを立て続けに奪い、最後は6-2で締めた。「絶対勝つ、と思って、みんなのために頑張った」と、まずは大坂がチームに貴重な1勝をもたらした。

逆転勝利を飾った大坂(右)

 中国のメンバーの中で71位ともっとも世界ランクの高いドゥアン・インインは、やはり出てこなかった。エースの代役を担ったのは118位のジュ・リン。あとがない中国はジュ・リンにすべてを託し、23歳のハードヒッターは42位の土居美咲(ミキハウス)に全力でぶつかっていった。

 第1セットはタイブレークの末に土居が奪った。第2セットも一進一退の攻防となり、ふたたびタイブレークに突入する。ジュ・リンの闘志は凄まじく、土居はポイント4-6とダブルセットポイントをつかまれた。

 追い込まれた土居だが、そこから驚異の粘り強さを見せる。4-6から気迫の3ポイント連取で7-6とマッチポイントをつかむ。だが、これを逃すと、あとはセットポイントとマッチポイントが交互に訪れる展開となった。

「どっちに転んでも受け入れようと思っていた」と土居が言う。11-11から2ポイント連取したのは土居だった。その瞬間、日本の勝利が決まり、土橋登志久監督が声を張り上げ、ベンチから立ち上がった。

勝利を決めた瞬間の土居

 敗戦後のダブルスで中国はダブルスにインインを投入してきた。風邪で体調を崩し、これが今大会は初めての出番となった。中国はシングルスで何とか1勝をもぎとり、インインを投入するダブルスにつないで勝機を見出したかったが、大坂、土居がそれを許さなかった。

 青山修子(近藤乳業)/穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)はインイン/ヤン・ジャオシュアンを巧みなコンビネーションから7-6(3) 7-5で沈め、日本は3試合すべて負けなしの完全勝利を飾った。

 「今日は修さん(青山)に引っ張ってもらった」と穂積。自分のプレーには納得がいかないようだったが、力強いサービスとストロークは大きな武器だ。青山もネットでの動きは素早く、中国ペアを翻弄した。「今日も最後まで気持ちを切らさず、集中できた」。そのふたりが声を揃え、「明日も勝つ」と力強く語った。

最後を締めた青山(手前右)/穂積の日本ペア

 「難しい試合になることはわかっていた。その中で選手たちは大事な場面で、自分を、仲間を信じて戦った。チーム力の差が出た試合だったと思います」と土橋監督。全勝で3対戦を終えたことについては「予想以上の出来」と口にし、「明日も全員で戦う」と言葉に力を込めた。

恒例の円陣を組む日本チーム

 決勝の相手は予想通り、地元カザフスタンとなった。世界ランク26位のユリア・プティンセバと46位のヤロスラーワ・シュウェドワ、強力なトップ2が立ちはだかるが、日本も好調をキープしている。どちらが勝つにしろ、接戦となるのではないか。決戦は明日の11日、現地時間10時30分(日本時間13時30分)からスタートする。

(テニスマガジン/編集部◎牧野 正)

※トップ写真は、チームの勝利を決めた土居を祝福する土橋監督