1球1球、熱が込もるピッチング。気づけば、その球数は100を越え、200を越えていった。約1時間半にも及ぶ投球練習。終わってみれば、239球も投げていた。■約1時間半の投球練習で“代名詞”ワインドアップ交え「リズムが作りやすい」 1球1球、…

1球1球、熱が込もるピッチング。気づけば、その球数は100を越え、200を越えていった。約1時間半にも及ぶ投球練習。終わってみれば、239球も投げていた。

■約1時間半の投球練習で“代名詞”ワインドアップ交え「リズムが作りやすい」

 1球1球、熱が込もるピッチング。気づけば、その球数は100を越え、200を越えていった。約1時間半にも及ぶ投球練習。終わってみれば、239球も投げていた。

「(投げることが)苦じゃないというか。ずっと投げていられる」。右肩手術からの復活を目指し、日夜汗を流すソフトバンクの松坂大輔投手。コメントからも肩の状態が良好であることが伝わる。宮崎キャンプ第2クール初日の7日。日本球界復帰後最多となる球数を、捕手のミット目がけて投げ込んだ。

 この日のブルペン。第1クールとは違う右腕の姿があった。今キャンプは、プエルトリコのウインターリーグ参戦中に取り組んでいたノーワインドアップでの投球を続けていた。それが、この日のキャッチボールから“代名詞”のワインドアップでの投球となっていたのだ。

「個人的にはワインドアップが好きなので。子供の頃からワインドアップで投げてきたし、しっくりくる。リズムが作りやすい」という松坂。ノーワインドアップでの投球に取り組んでいたのは、実は、彼なりの試行錯誤の一環だった。

 この日、その真相の一端を明かした。

「ノーワインドアップにしたら、こういう作用があるだろうな、というのがあった」

■実感した効果「今日はこれまでと違う感覚があった」

 松坂自身の中では、実は、今でもワインドアップがベースにある。ノーワインドアップへの挑戦は、ワインドアップをイメージしたフォームを作り上げる中で、思い描く体の使い方へと近づけていくために、取り入れた方法だったという。

 第1クールには、3日目に打撃投手を務め、4日目も連投で135球を投げた。2日間で実に296球を投じてきた松坂。自身の中で、ある程度の手応えを持ち、満を辞して本来の姿を解禁。「今日は、これまでと違う感覚があった」と、効果を実感した。

 平成の怪物は「投げていて、ノーワインドアップがいいと思うかもしれないですけどね」とも言う。数々の実績、経験を積み上げてきた男は、復活に向けて、今後も試行錯誤を続けていく。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani