観戦「自粛」ほど無力なものはない。 東京五輪のマラソンコースを使用したテスト大会「札幌チャレンジハーフマラソン」が5日、開催された。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している札幌での開催自体が疑問視されるなか、観戦の完全自粛が呼びかけら…
観戦「自粛」ほど無力なものはない。
東京五輪のマラソンコースを使用したテスト大会「札幌チャレンジハーフマラソン」が5日、開催された。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している札幌での開催自体が疑問視されるなか、観戦の完全自粛が呼びかけられたが、沿道には観戦する人が一定数見られ、スタートやゴール付近には人だかりもできた。
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沿道での「密」対策のためスタッフは約300人増やして770人体制に。「観戦自粛」と書かれたプレートを首から下げ、人が集まっていると、拡声機で「自粛をお願いします」などと注意喚起した。それでも場所によっては選手に向かって拍手をしたり、動画撮影する人の姿もあった。
観戦者数は、レースのテレビ中継で目視しただけでも1万人は軽く超えていただろう。沿道には「五輪ムリ 現実見よ」と五輪開催に批判的なプラカードを掲げた人や、「オリンピック反対」とさけぶ声がお茶の間に届いた。
大会運営スタッフは、参考としてコロナ禍で行われた正月の箱根駅伝を視察していた。観戦自粛を求めた箱根の観戦者は前年の121万人から85%減の18万人。裏を返せば、自粛を呼びかけても18万人がきたという現実。同じような感染状況下で開催された札幌のプレ五輪大会で、新たな対策が講じられた様子はなく、箱根と同じように沿道には人垣ができ、教訓は生かされなかった。
レースは公道を使用するため、生活する人々がいて、観戦者「ゼロ」にすることは不可能。それでも「善意」に訴えかけるだけの自粛では、限界がある。なんらかの規制がされなければ、我慢できない人で沿道はまたあふれ返る。何十年に1度のビッグレースであれば、なおさらだ。
選手からも不安の声があがった。女子3位に入った五輪マラソン代表の鈴木亜由子は「混んでいて感染が少し怖かった。整列の指示を出してほしかったが大会スタッフの方もどうして良いか分からない様子だった」。ウオーミングアップエリアがせまく、車道3車線の幅に約120メートルの長さで設けられたスペースに出場69選手が「密」になった。
男子代表の服部勇馬は24位でフィニッシュしたレース後に「この状況下で本当に走っていていいのかと、走りながら思う時もあった。医療従事者の皆さんだったり、本当に苦しい状況の中で仕事をされていることを考えると」と複雑な思いを抱えて走った。
運営面でさまざまな課題が浮き彫りになったプレ五輪マラソン。大会を視察した世界陸連会長でIOC委員のセバスチャン・コー氏が「東京五輪組織委員会の会長じゃなくて良かった」と本音をポロリとこぼすオチもついた。逆風のなか強行した今大会の反省を、今度こそ本番では生かしたい。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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