マッチョ体型を披露する野田クリスタル「スポーツ」としての側面も持つボディビル。これまではごく一部の人たちが厳しい筋トレと食事管理で、究極の肉体美を追求するニッチなスポーツだと思われてきたが、近年マッチョな体型へのイメージが変わりつつある。 …



マッチョ体型を披露する野田クリスタル

「スポーツ」としての側面も持つボディビル。これまではごく一部の人たちが厳しい筋トレと食事管理で、究極の肉体美を追求するニッチなスポーツだと思われてきたが、近年マッチョな体型へのイメージが変わりつつある。

 その火付け役となっているのが、マッチョを目指すタレントや芸能人の存在だ。特に、松本人志(ダウンタウン)を筆頭に、春日俊彰(オードリー)、小島よしお、なかやまきんに君、駒場孝(ミルクボーイ)などお笑い界にはマッチョが多い。その中でも今ブレイク真っただ中にいるのが、野田クリスタルだ。

 ピンとして『R-1ぐらんぷり2020』で優勝すると、マヂカルラブリーとして『M-1グランプリ2020』も制覇し、一躍時の人となった野田クリスタル。彼はなぜマッチョを目指したのか。直接話を聞いた。

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――2013年から本格的に筋トレを始めたそうですが、それはなぜでしょうか。

 小学生の頃からバスケットボールをやっていたんですが、ダンクシュートをするにはどうしたらできるんだろうとずっと考えていました。大人になって引っ越しをした時に家の近くにジムあったので、ダンクシュートをしてみたいという思いから、そこに通い出したのが筋トレの始まりですね。

 当時、ジムに通い始めた人のためのキャンペーンがあって、3カ月間で増えた筋肉の量で割引になるというものだったんですが、そういうのがあるとやっちゃうんですよ。それで確か5kgくらい筋量が増えて、そのジム史上一番の記録になったんですよね。そういう目標があるからやれたんです。

 結局、ダンクシュートはハンドボールでならできるようになりました。ジャンプ力を測ってみたら助走をつけて1メートルは跳ぶことができました。もともとジャンプ力はなかったので、トレーニングで培ったものですね。

――筋トレのどんなところに魅力を感じましたか。

 できなかったことができるようになるのが、楽しいですね。苦しいことを乗り越えた感じはなくて、途中から辛さは感じなくなりました。筋肉をつけることは面白いなと思いますね。

――筋トレを最もしていた時で週にどれくらいジムに通っていたんですか。

 週5くらいです。トレーニングメニューについては、1カ月単位で考えていて、基本的に決まっています。たとえば、スクワットで最高に上げられる目標値を設定して、そのためのトレーニングメニューを組んでやっていくと、あらかじめ設定していた日に上げられます。それを計算して筋トレをやっています。

――ちなみにそれぞれ数値はどのくらいですか。

 ベンチプレスは150kg。バーベルのスクワットは、ハーフスクワット(※1)が220kgで、フルスクワット(※2)だと190kgですね。デットリフト(※3)は230kgまでいきました。ただデットリフトがジャンプ力に直結しないのに気づいてから、やめちゃったんですよ。あのままやっていたら、たぶん250kgまではいけました。スクワットについては250kgまでいく計算でトレーニングしていましたから。
※1 太ももが床に平行になる前にしゃがむのを止め体を起こすスクワット
※2 太ももが床に平行になるまで、あるいはそれ以上しゃがんで行なうスクワット
※3 バーベルを体の前面(スネや太もも)に沿わせるように持ち上げていく筋トレ

――体脂肪率や骨格筋量はどれくらいですか。

 ベストな時で体脂肪率が9%で、骨格筋量が39kg。ちなみに身長は178cmで体重は85kgです。M-1優勝後は、筋トレをやる時間がなくて、ジムにも行けてないので、体脂肪率は20%くらいですかね。



鍛えぬいている頃の体(本人提供)

――今後、部位として鍛えたいところはありますか。

 お尻、腰回りに可能性を感じています。腰を前後に振る力は多くのスポーツで必要なんですが、腰を押し出す力が強いと、ジャンプ力にも影響を与えるし、スタイルもよくなるし、腰痛にもよくなると思います。大きな可能性を秘めていますよね。

――筋トレはケガのリスクもあると思いますが、そのあたりも考えたトレーニングをしているのでしょうか。

 大事なのはアップをしっかりすることと、無理な重量を使わないこと、それから体調を整えて行なうことですね。その3つがそろっていれば、多少フォームが悪くてもケガはしないと思います。

――ケガをしたから対処法がわかってきたということはありますか。

 そうですね。何年もケガとずっと付き合ってきましたから。なんでケガしたんだろうとか、このケガはどうしたら治るんだろうとか悩んでいて、ジムのトレーナーさんとも話をしてきましたし、何度も整形外科に行きましたし、ずっと調べ続けてきました。筋トレはとんでもなく調べることが多くて奥が深いですね。

――マッチョになったことによって、よかったことはどんなことですか。

 誰かに絡まれることはもう一生ないでしょうね。やばそうな人も俺を見て、目を背けますからね。あと温泉の水風呂で頭から水をかぶった時に、周りにいた子供たちが、「おー」と感心してましたね。

――優越感に浸れることが多いんでしょうか。

 でもマッチョな体型は、恥ずかしいと感じることもありますね。「マッチョが来た」って思われているんだろうなって感じます。変な衣装を着ているような感覚になることもありますからね。僕の周りにも意外にそう思う人が多いですよ。照れちゃうというか。まあ面白い体だなとは思いますが。

――お笑い芸人の中にはマッチョな人がたくさんいますが、なぜ芸人さんはマッチョを目指す人が多いのでしょうか。

 やった分だけ成果が出るからですね。そこはお笑いにはないので、それがうれしくて仕方ないんでしょうね。お笑いの勉強や努力なんて、そもそもそれが勉強かどうかも怪しいですよね。筋トレはやるべきことがわかりやすいので、いいですよね。追い込めば誰だって筋肉はつくので、やる気と比例します。お笑いはやる気や努力と面白さが比例するわけじゃないですから。

――野田さんにとって、ズバリ筋肉とは何ですか。

 うーん、何だろうな。盆栽ですかね(笑)。丁寧に作り上げていく。急に変わることはない。常に気にしていて、趣味でもある。だから筋トレができていない今は、すごくストレスを抱えてますね。

――筋トレはやはりいいものですか。

 はい。いつも健康診断の数値はいいですよ。常に体のことを気にしているので、何か悪い部分があったとしてもすぐにわかりますね。たとえば、歯をホワイトニングすると、その後汚したくないという意識になるから、すごく歯を磨きだすじゃないですか。それと同じですね。自分の体と向き合うことが習慣づくので、筋トレはとてもいいことだと思いますよ。

【Profile】
野田クリスタル
1986年生まれ。マヂカルラブリーのボケ担当。「M-1グランプリ2020」優勝。コンビで漫才を披露する一方、自作ゲーム「野田ゲー」の制作でも話題となり、「R-1ぐらんぷり2020」で自作ゲームをプレーするネタで優勝している。
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