鈴鹿サーキット(三重県)を運営するモビリティランドが会見し、F1日本GPの開催が2024年まで延長されることが決まったと発表した。親会社のホンダは今季でF1活動を終了するが、グランプリ開催は継続。F1の世界からの完全撤退はしない方針が貫か…

 鈴鹿サーキット(三重県)を運営するモビリティランドが会見し、F1日本GPの開催が2024年まで延長されることが決まったと発表した。親会社のホンダは今季でF1活動を終了するが、グランプリ開催は継続。F1の世界からの完全撤退はしない方針が貫かれた形だ。

2019年のF1日本GP(ホンダ提供)

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 モビリティランドの田中薫社長は24日に鈴鹿サーキットで行われた記者会見で「今後も世界中のファンに愛される鈴鹿であり続け、モータースポーツ文化の繁栄に貢献できるよう、三重県、鈴鹿市をはじめとする地域の皆さんと力を合わせていきたい」と語った。3年間の契約延長で、2022年はサーキット開業60周年にあたり、節目の年の開催となる。今年はホンダが3年ぶりに大会の冠スポンサーとなって開催される。

 鈴鹿サーキットがF1初開催をしたのは1987年。83年からスタートした第2期F1プロジェクトの真っただ中で、グランプリ招致に成功し、フジテレビがF1放送権を獲得。中嶋悟が日本人初のフルタイムF1ドライバーとして活躍したこともきっかけとなり、F1ブームに火が付いた。

 92年にホンダはF1からいったん撤退するが、鈴木亜久里、片山右京ら多くの日本人ドライバーがF1に参戦し、ヤマハ、無限ホンダもエンジン供給していた時代で、日本GPの開催は当然のごとく続けられた。

 2000年にホンダがF1に復帰。その後、トヨタもF1参戦を果たし、07、08年にトヨタ系の富士スピードウェイ(静岡)で日本GPが実施されたこともあった。リーマン・ショックが追い打ちをかけ、ホンダ、トヨタともF1から撤退するが、09年からは鈴鹿でのF1開催に一本化され、開催契約はここまで順調に更新されてきた。

24日に行われた日本GPの報告会見(ホンダ提供)


 ホンダ側も鈴鹿をF1文化の発信基地ととらえている。かつてはオートバイのロードレース世界選手権の日本GPも鈴鹿で開催されてきたが、2004年からは同じホンダ系サーキットのツインリンクもてぎ(栃木)へ移行。03年のグランプリで将来のホンダのエースライダーと期待された加藤大治郎選手が事故死したことも影響しているとみられるが、2輪の世界では鈴鹿は「鈴鹿8耐」、もてぎは「モトGP」というすみ分けとなっている。

 ホンダがF1を撤退してからも鈴鹿サーキットで展開されている「鈴鹿サーキットレーシングスクール」(SRS)はフォーミュラ部門を含めて継続していく方針で、ホンダの渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長は会見の中で「ホンダが活動を終了することで、確かに機会は可能性として少なくなることはあるが、基本的にはホンダがいなくてもF1の世界で参戦できるようなレベルの選手をしっかりと育てていく。F1だけでなく、世界のトップカテゴリーで通用する選手の育成を続けていく」とした。

 ちなみにアルファタウリ・ホンダのF1デビューを飾った角田裕毅(20)もSRSの出身。ホンダがF1活動を中断している間もスクールは継続しており、角田自身はホンダがF1復帰して2年目の16年にフォーミュラ部門の「SRS―Fアドバンス」に入校。世界へ羽ばたく進路が切り開かれた。SRS自体もホンダが第2期F1の活動を終了した1992年に2輪部門からスタート。その後、カート、フォーミュラと部門が増やされ、拡大していった経緯があり、ホンダのモータースポーツ活動を支えた一面も持つ。

 モータースポーツはここ数年で脱ガソリンエンジンへの道が議論されており、F1も開発費が高騰する現行のハイブリッドエンジンによるパワーユニット方式をどのように転換させていくかが課題となっている。これはあくまでも私見ながら、F1がカーボンニュートラルの理念に沿った大掛かりな構造改革を模索した場合は、ホンダも復帰の可能性を探るかもしれない。

 自動車業界も五里霧中の状態にある。今は過去のF1中断期間と同様に、F1とのパイプを維持して、選手の人材育成も続ける。あからさまに「未練」を世の中に示すのも一つの手ではないかと思う。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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