“ポスト中村憲剛”。

 先日の韓国戦でA代表デビューを果たした脇坂泰斗は、そう称され、期待される場面も多い。

 脇坂もクラブの大先輩で、同じトップ下やボランチでプレーしてきた中村から多くのアドバイスを受けてきた。

 そして話を訊けば、代表初選出を通じて、中村からふたつのメッセージを送られたという。

 脇坂にとって中村と同じ25歳での代表入りはサプライズでもあった。本来、招集されていたC大阪の坂元達裕が怪我のため不参加に。そこで追加招集として急遽、声をかけられたのが脇坂だった。

 本人も驚いた初のA代表入り。中村からは“らしい”メッセージが届いたという。

「追加招集だけど、入ったらこっちのものだ。どんどんいってこい」

 韓国戦には86分から出場。限られた時間ではあったが、それでも持ち味を出そうと、ピッチを走り回り、ボールを持てば味方を生かそうとする脇坂の姿があった。

 残念ながら続くモンゴル戦ではピッチに立つチャンスを得られず。それでも得た経験は貴重で、「小さい頃から代表を見ていて、実際に入ったらまったく別のもので、より結果を求められる。国を背負うことの重要さも感じましたし、またそういう舞台で戦いたいと強い気持ちになりました」と話す。

 川崎に復帰後、7節の大分戦の前にはグラウンドを訪れていた中村に改めて言葉をかけられた。

「刺激を受けただろと。ケンゴさんもそういう想いを経験されていて、かけられた言葉は『チームでやっていることが評価されて行っているわけだから足りない強度を伸ばしながら、さらに質を高めていく』ということ。自分が考えていたことをそのままアドバイスいただけたので、間違ってなかったと感じました」

 脇坂にとっては指針となる助言と言えるのだろう。

 代表活動中、脇坂はこんな言葉も残している。

「僕自身のシナリオとして(25歳での代表入りは)遅くはないけど、世界的には遅い。今後が大事になってくる」

 そして川崎サポーターとしてはグッとくるような意気込みも語っている。同じように大卒で代表入りを果たした中村、そして小林悠の名前を出しての決意表明である。

「ケンゴさんなり悠さんの背中を見て、この3年間(今季がプロ4年目)、プロとしてプレーしてきましたし、ピッチ外の取り組みもすごく影響を受けて、人間的にも成長できたのでそういう人間になっていきたいと思います。ピッチ内だけではなく、ピッチ外で背中を見せられる存在になっていきたいです」
 責任感が増した姿も評価され、今季からは副キャプテンも担う。周囲へ声がけするシーンも増え、チームの軸へと成長しているのだ。

 A代表を経験し、尊敬する中村のメッセージを胸に、どこまでレベルアップするか。これからの活躍も楽しみだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)