◆競泳 東京都オープン 最終日(21日、辰巳国際水泳場)

 池江璃花子(20)=ルネサンス=が白血病からの復帰後、初めてとなる優勝を飾った。女子50メートルバタフライに出場し、25秒77。非五輪種目ながら、19年世界選手権8位相当となる好タイムをたたき出しての圧勝だった。レース後には東京五輪代表選考会を兼ねる4月の日本選手権(3~10日、東京アクアティクスセンター)の出場を明言。病を乗り越えて、いよいよ五輪への道筋が見えてきた。

 もう復活という2文字を使っていいだろう。池江の泳ぎは、無双だったあの頃を思わせた。今大会で解禁した代名詞のバタフライ。中盤から抜け出し、2位以下に体ひとつ分ほどの差をつけた。「ビックリした。どんな試合でも1位を取れてうれしい。85点くらいはあげてもいいかな。今の自分では結構高い方です」。全国規模の大会ではなくとも、復帰5戦目でついに「1番」を手にした。

 50メートルバタフライは非五輪種目だが、25秒77は国内の主要大会でも十分に優勝できるタイム。18年6月にマークした自身の日本記録にも0秒66に迫った。闘病中で出られなかった19年世界選手権であれば、ファイナリスト。「自信になった。徐々に戻ってきている」。手応えが、今後への思いを語らせた。

 4月には東京五輪代表選考会を兼ねた日本選手権がある。「出る方向で決まっている。出るからにはいい位置を狙いたい」。五輪種目では50、100メートルの自由形、100メートルバタフライの3種目で既に参加標準記録を突破。体調とも相談しながら、選択肢を定める。

 五輪そのものへの言葉にも変化が起きた。これまで「あくまで目標は24年パリ五輪」「今はまだそういう段階ではない」と話すにとどめてきた。世界で戦えるようになってから、という思いで言葉を選んできた。この日は違った。「アスリートとして狙っているところはみんな一緒。それに向けて全力で頑張る」と公の場で挑戦の意向を口にした。最大のターゲットがパリでのメダル獲得なのは変わりなく「そこをクリアできるようにどんどん記録を伸ばしたい」と続けた。

 前進する姿を届けたい人がいる。池江の憧れにして盟友の、リオ五輪金メダリストのサラ・ショーストロム(スウェーデン)だ。今月、雪で転倒して右肘を骨折し、手術を受けた。池江は、闘病中に受けた激励へのお返しで、手のひらに「Never give up」と記した写真をSNSにあげた。「彼女の気持ちがよく分かる。サラの分まで頑張らないと」

 体重は7日のジャパンオープン時点より1キロ増え、タイムもそれに比例している。「今年中には50メートル種目で王座奪還が目標。まずは一つクリアです」。試合後、SNSには「You are amazing」の一文が届いた。海の向こうのサラからだった。(太田 倫)

 ◆池江の東京五輪への道 個人で五輪出場権を得るには、日本選手権で日本水連が定める派遣標準記録を切った上で、上位2人に入る必要がある。また、100メートル自由形は400メートルリレーの代表選考も兼ねており、女子の場合は派遣標準(54秒42)を切っての上位4人が基本的には選ばれる。