第16回ボルダリングジャパンカップ(以下BJC)の男子決勝が31日午後、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(東京都世田谷区)で女子に続いて行われ、競技中に膝を負傷するアクシデントに見舞われながらも気迫の登りで全完登のアテンプト勝負を…


 第16回ボルダリングジャパンカップ(以下BJC)の男子決勝が31日午後、駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(東京都世田谷区)で女子に続いて行われ、競技中に膝を負傷するアクシデントに見舞われながらも気迫の登りで全完登のアテンプト勝負を制した藤井快が男子最多を更新する4度目の栄冠に輝いた。

 天笠颯太、石松大晟、楢崎智亜、緒方良行、原田海、藤井快の6名が進出した男子決勝は、第1課題の1番手・藤井に1トライ目からトラブル発生。昨年のエキシビションマッチ「Top of the Top」での出来事と同じように、不安定な姿勢から落下し着地をした際に左膝を負傷してしまう。長い間座り込んだ藤井だが、競技を続けるうえでの支障は少なかったようで、トライを再開。するとムーブを見事に修正し、軽快な動きでTOPホールドに到達した。

着地の際に左膝を負傷した藤井。

 藤井は第2課題で1トライ目失敗時に苦痛の表情を浮かべるが、2トライ目には左足を頻繁に使うこの緩傾斜課題をスルスルと登り頂点まで駆け登った。第1課題を完登していた緒方、楢崎も連続完登とし、藤井とゾーン獲得に要したアテンプト数まで並んだ楢崎が準決勝順位へのカウントバックで首位に浮上した。

藤井は第3課題も完登で勢いづく。

 第3課題にも左足を軸にゴールへのムーブを生み出すパートが用意されていたが、藤井は負傷を感じさせずに一撃で制圧。緒方、楢崎も再び完登を記録する。

 そして最終第4課題。完登に要したアテンプト数の差で楢崎を抜き首位に上がっていた藤井は、左トウフックで体を安定させながら130度の強傾斜課題を進んでいく。ゾーンを獲得してゴール前まで迫ると、最後は雄たけびを上げながらダイナミックにTOPホールドを捉え、魂の一撃。この時点で残りの選手に優勝の可能性がなくなったため、藤井の3年ぶり、自身の持つ男子最多記録を更新する4度目の優勝が確定した。

今大会のハイライトとなるであろう魂の一撃を見せた藤井。

 2位には藤井と同じ全完登の楢崎、3位にはこらちも全完登で初のBJC表彰台に上がった緒方がランクイン。4位には初の決勝で2課題完登と見せ場を作った天笠、5位には石松、6位には原田が入っている。2021年シーズン初戦の第16回ボルダリングジャパンカップは、女子の森秋彩に続いて男子でも準決勝6位選手が逆転優勝を果たす結果となった。

表彰台=(左から)楢崎智亜、藤井快、緒方良行

<決勝リザルト>

1位:藤井 快(TEAM au)/4t4z 6 5
2位:楢崎 智亜(TEAM au)/4t4z 9 7
3位:緒方 良行(-)/4t4z 12 10
4位:天笠 颯太(日本大学)/2t2z 7 5
5位:石松 大晟(Base Camp)/0t2z 0 3
6位:原田 海(日新火災)/0t2z 0 3

※左から氏名、所属先、成績
※成績は左から完登数、ゾーン獲得数、完登に要した合計アテンプト数、ゾーン獲得に要した合計アテンプト数

CREDITS

取材・文

編集部 /

写真

窪田亮