日本相撲協会は9月30日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、秋場所で初優勝した関脇正代(28)=時津風=の大関昇進を満場一致で決定した。昇進伝達式ではよどみなく口上を述べ、「至誠一貫の精神」と四字熟語に真っすぐ誠実さを貫く決意を込めた。先々代師匠で元大関豊山の内田勝男氏(83)は自身の師匠で部屋の創設者、角聖と称された大横綱双葉山の精神継承を託した。

 正代が注目の口上を出足から一気、流れるように決めた。日本相撲協会がYouTubeで初めて生配信した伝達式。午前9時10分、使者から満場一致での昇進を伝えられ、さあ大勝負が始まる。

 「謹んでお受けいたします。大関の名に恥じぬよう、至誠一貫の精神で相撲道にまい進してまいります」

 昨夜遅くまで練習した成果。「かまずに止まらず言えたのでまずまず」と自ら及第点。緊張いっぱいでもさすがの勝負強さだった。

 至誠一貫の意味は「誠実に最後まで貫き通す」と説明。「こうなりたい、こうしていきたいという気持ちを込めた」と今後の相撲人生への強い覚悟だ。

 四字熟語には名門時津風部屋創設者、双葉山の魂が宿る。前人未到69連勝が止まった際、「われ未(いま)だ木鶏たりえず」の言葉はあまりにも有名。誠実に強さを追求した不世出の横綱の姿を正代に重ね、部屋後援会である「木鶏会」から「口上に使ってほしい」と望まれていた。自身でも言葉を調べ「すごくいい意味。ぜひ使わせてください」と決めた。

 先々代師匠の内田氏も、東農大の後輩で部屋では自身以来57年ぶり新大関に「立派に成長した」と目を細めた。「姑息(こそく)なことをしない基本に忠実な相撲。双葉山関の時津風の師匠の教え。相撲道場の精神を感じ取ってくれている。質実剛健の姿勢を貫いてほしい」と後継を託し、双葉山の墓前にも報告する。

 本人も双葉山魂を背負って戦う。「時津風部屋の看板を汚さないように必死に頑張ります」と決意表明した。

 角界看板として自覚も十分。「いろいろな責任を伴う。今まで以上に精進して大勢の方に応援していただける大関になれたら」と、力を込めた。

 新十両昇進時、「誰とも当たりたくない」と弱気発言で注目されたが変身。「プレッシャーとの付き合い方も分かってきた。(目標を)口にしていこうと思う」と“ネガティブ卒業”を宣言した。

 大関は最上位の横綱を目指す地位。「大関として存在感を示してから」と一歩ずつ。至誠一貫、まずしっかり大関として足場を固め、上を目指す。